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(9)「夜に子供を欄干に乗せるのは不可解」捜査員証言

弁護側の反対尋問に続いて、藤井俊郎裁判長の向かって右に座る左陪席の男性裁判官が、証人の秋田県警捜査1課の元捜査員に質問を始めた。

裁判官「(昨年)7月23日の取り調べで、被告と言い合いになったことは?」

証人「なかった」

裁判官「24日に黙秘して、25日に検察官に言葉の行き違いがあったと言っているが、心当たりは?」

証人「23日の日は何ともなかったが、24日に突然変なことを言い出した。『床さ寝そべってるの黙って見てた』と言いがかりをつけられたので、『鈴香さん、違うでしょ。あんたがその方が楽だと言って寝そべったんじゃないの』と言った。言い合いはないが、そういう場面はあった」

裁判官「取り調べ中に雑談をすることはよくあったのか」

証人「はい。本、読書の話をした」

裁判官「被告が雑談に応じないことは?」

証人「特に。口数が少ないという感じを持ったことはあるが、雑談には応じていた」

続いて、裁判長の向かって左に座る右陪席の女性裁判官が、取り調べ中に女性警察官の○○さん(実名)が鈴香被告の手を握った経緯について質問を続けた。

○○さんにすがるようにして近寄っていったという鈴香被告。証人はそのときの様子を、「悲壮な顔をして、本当に苦しそうに助けを求めている状態だった」と振り返った。

最後に、藤井裁判長が質問をした。

裁判長「被告が休みたいというとき、具体的にどんな状態だというのか?」

証人「『頭がしびれる』とよく言っていた」

裁判長「3拘留にわたって連日調べをやっているが、こういう連日の調べはあることなのか?」

証人「ある。鈴香被告は体調が悪いということが多く、けっこう休みを取った被疑者だと思う」

最後に藤井裁判長は、彩香ちゃん事件への関与を初めて供述したときの様子について尋ねた。

裁判長「さきほど、一部ウソだと思ったと証言したが、どこがウソだと思ったのか?」

証人「これは、あの、私の考えで、ああいう夜7時前に小学生の子供を欄干に乗せるというのは不可解。もうひとつは、彩香ちゃんの死を願うようなメールを送っていたことから、サクラマスを見に行くにしても、あの時間帯に行くのは変だな、と」

裁判長「具体的にここがウソというのではなく、全体的に本当のことを言っていないという印象?」

証人「はい」

秋田県警の元捜査員に対する証人尋問は午後3時25分に終了した。

⇒(10)検事が法廷に…「震えながら黙ってしまった」