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(2)「一部ウソだと思った」「被告は1回では認めない」捜査員証言

検察側は引き続き、鈴香被告が被告人質問で「ひどい取り調べを受けた」と述べたことについて、証人として出廷した秋田県警捜査1課の元捜査員に詳しく聞いた。

検察官「弁護士の弁護を受けるのは不当だと話したか?」

証人「それはない。ただ、弁護士が都合で(接見に)来られない日に、鈴香被告が自分から『私には弁護士がいるが、豪憲君には弁護士がつかないんだよね』と言ったことはある」

検察官「自分を励ます意味で言ったということか?」

証人「そうだ」

証人はさらに、鈴香被告が弁護士との接見で話した内容を、自ら明らかにしていたと証言した。

証人「家族を守るために弁護士の先生に記者会見を頼んだとか、先生に怒られたとか、警察には話さなくていいんだといわれた、と言ってきたことはある」

被告人質問で鈴香被告が「取り調べ中に言われた」と証言した「警察はえらいんだ」「拘留期間を延ばしてやるからな」といった発言についてすべて否定する証人。証人は、鈴香被告が豪憲君の死体遺棄を自供した際、殺害については別の犯人がいるように供述したことも証言した。

検察側はさらに、豪憲君の殺害を自供した日の調べについて質問を続けた。

証人「この日は朝から○○さん(実名、鈴香被告が信頼していたとされ、前回の証人尋問で証言した女性警察官)と調べをしていた。すると、被告が『証人と○○さんに話さなければいけないことがある。弁護士が夕方来るので、待ってください』と言った。『概要だけでも』と私が言うと、鈴香被告は豪憲君の殺害を認めた」

検察官「動機については?」

証人「『豪憲君を見ているうちに、彩香がいないのに、なぜ子供たちは元気なんだろう、と苦しくなった。それで首を絞めて殺害した』と」

検察官「なぜ豪憲君を殺害したと?」

証人「殺す相手の特定はなかった。たまたま歩いてきたのが豪憲君だったので、豪憲君を選んで殺害した。要するにだれでもいいという供述だった」

鈴香被告が豪憲君殺害を自供したことによって、動機面の解明には彩香ちゃん事件との関連を探ることが不可欠となった。彩香ちゃんはなぜ死んだのか。証人は、豪憲君事件の解明のためにも彩香ちゃんのことを話さないといけないと説得を始めたという。

7月6日、ついに鈴香被告の重い口が開かれたという。

検察官「この日の午後の調べでは、取り調べの警察官が変更になっている。なぜか?」

証人「午前中、『彩香のことを聞かれると怖い。○○さんを入れてほしい』と鈴香被告から言われた」

検察官「なぜ同席を希望したと思うか?」

証人「鈴香被告は○○さんをよく頼っている状態だった。重要な話をするときには、『○○さんにそばにいてほしい』と言っていた」

○○さんに手を握ってもらったり、視線を合わせることが多かったという鈴香被告。「彩香のこと思いだすのが怖い」「もしかしたら自分がショックで思いだせないだけで、彩香に何かしているかも」「もし何かしているとしたら豪憲君のときよりもっと怖い」「自分はおかしくなってしまう」などと話し始めたという。

証人「○○さんに背中をさすってもらったりして鈴香被告は落ち着いてきた。本人はとにかく口が堅いので、『彩香ちゃんと別れたのはどこですか?』『紙をやるから書きますか?』『地図を見ますか?』と言って調べを進めた」

すると、鈴香被告は「地図を見れば本当は思いだすかもしれない」と言い始めたという。自分から言い出したものの、すぐには地図を見ない鈴香被告。説得を続けるうち、「地図帳を見せてほしい」と意を決したように希望したという。

自らページをめくった鈴香被告。大沢橋のところを開いたとたん、様子が変わったという。

証人「目を開けて『あっ!』という感じで、ちょっとの間…。それを見ていた○○が、『そこに2人で行ったの?』と聞くとうなずいた。さらに『帰りも2人で帰ってきたの?』と尋ねると、首を振って否定した」

証人によると、「サクラマスを見せるため欄干の上に彩香を乗せた。自分がかけていた足が滑って外れた。同時に手を離したら、自分の体に彩香の体が当たって落ちた。探しもしないで帰ってきた」というのが鈴香被告の最初の証言。鈴香被告は「探しもしないで帰った」という点を「探すこともできなかった」と訂正を申し出た。

検察官「被告は本当のことをしゃべっていると思ったか?」

証人「いや、一部ウソが入っていると思った」

検察官「なぜ?」

証人「豪憲君の時もそうだが、被告は1回では認めない。何度かにわたって真実をちょっとずつ混ぜて認めていく。この日の供述が出発点になってまた真実を話すだろうと思った」

⇒(3)「精神的に追いやられていたと書いて」捜査員証言