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(16)人形使って状況再現「誘導して思い出させようと…」

弁護側は証人の検事に対して、昨年7月13日の調書の中で出てくる鈴香被告の「街の人には憎しみ、恨みに近い感情」という言葉について、質問した。

弁護人「本当に言ったのか?」

証人「被告は自分の気持ちをうまく表現できなかった。何か言葉で伝えようとしていたから、『憎しみ、恨みか』と聞いたら、それに似ている感情だったということだった」

弁護人「被告の生の言葉を調書に使わないのか? 不適切だと思わないのか?」

証人「不適切だと思わない」

7月21日、証人は机の上に欄干の模型を置き、人形を使いながら取り調べを行った。

弁護人「(彩香ちゃんを落とした具体的な状況について)被告の供述を得る前に(証人が人形を使って)体勢を示したのか」

証人「被告が『詳しいことを思い出せない』と言っていたから、人形を使った」

弁護人「本人に持たせるべきだったのでは?」

証人「『思いだすのが怖い』と言っていたし、自分でやらせると刺激が強すぎると思ったから、人形を持った」

弁護人「誘導ではないか?」

証人「誘導して思いださせようとした。被告にやらせるより、まだマシだと思った」

翌日の7月22日、鈴香被告は彩香ちゃん殺害の状況について「左手で川の方に向かって押した」と供述したが、弁護側は「誘導の影響なのか」とかみつく。

証人「このときは、そういう表現をした」

弁護人「この表現はこのときだけ。ほかでは『振り払った』になっている」

証人「被告は『彩香が体を預けてきたのを押し返した』と言い出したので、これに焦点をあて調書を取った。手の動き(の表現)について、被告も意識していなかったのかもしれない」

弁護人「あなたが押すような動作を示したのではないか」

証人「していません」

午後6時50分から、約15分間の休憩を経て、弁護側の質問がなおも続く。

鈴香被告が抵抗を示したという、調書の「殺意」という言葉。証人が言葉の意味を説明し、署名を促したという経緯について、弁護側から質問が飛ぶ。

弁護人「被告は、殺意という言葉の使い方に抵抗を持っていたか?」

証人「はい」

弁護人「あなたは何回も(言葉の意味を)説明したというが、被告は理解していたのか?」

証人「(鈴香被告は)『頭で分かっていても、言葉で、殺すつもり(という意味を)と聞くと怖い』と話していた」

弁護人「8月にあなたの取り調べの直前に会ったとき、被告は殺意について『怖いから手を払った。殺したというより事故に近い。まさにアクシデント』と言っていた。あなたには、こういう話はしていないか?」

証人「1回もしていない」

双方の証言が正しければ、鈴香被告は弁護人と証人に、全く逆の心情を伝えていたことになる。

弁護人「これに近い言葉も聞いていないのか?」

証人「途中から、『怖い』という言葉を言うようになった」

弁護人「あなたが誘導して、その言葉の内容を確認したのか?」

証人「はい」

弁護人「被告は、イライラ感情が爆発して殺意が生じたということだった」

証人「そうですね」

弁護人「その感情と、怖いという感情が同居していたと考えるのか?」

証人「あり得るかなと思った。本人がそう言っている以上は」

弁護人「『(鈴香被告本人が)何をするか分からなくて怖い』という意味にはとらなかったのか?」

証人「当初、(鈴香被告は)『彩香ちゃんが怖い』と言っていたので、彩香ちゃんのどこが怖いのか、という質問しかしていない」

続いて、弁護側は取り調べの際、情状についてどんな会話を交わしたのかを尋ねる。鈴香被告に有利な情状と引き換えに、調書への署名を迫った疑いがないかを明らかにするためだ。

弁護人「あなたは(取り調べの際に)、『あえて悪い情状は入れてないんだから』と言ったか?」

証人「言っていない」

弁護人「被告の高校時代の調書を取っていないのはなぜか?」

証人「必要ないと思ったから。中心となるのは、被告と彩香ちゃんの関係と考えた」

弁護人「逆に、被告の良い情状を積極的にとろうとしたことは?」

証人「『良いことも悪いことも全部とるよ』とは言った」

時間は7時を大きく回り、同様の質問が繰り返される印象も受ける「堂々巡り」の状態となった。

⇒(17)裁判長は疑問を口に… 9時間半に及ぶロングラン尋問終了