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(7)「愛人」出廷「家賃17万4年間払った」…動揺する歌織被告

午後1時10分、お昼の休廷明けに登場した3人目の証人は、歌織被告の「愛人」だった男性だ。

検察側は冒頭陳述で、歌織被告はこの男性と結婚前からつき合っており、平成15年3月の結婚後も、同年11月ごろまで愛人関係を続けてお金を借りるなどし、それ以降も食事をするなど連絡をとり続けていた、と指摘している。

午前中に証人尋問が行われた祐輔さんの母親と同様、証人の左右と背後はコの字形に組まれた衝立で囲まれ、傍聴席から姿をうかがうことができない。

検察官「証人のことは証人もしくはA男さんと呼ばせていただきます。あなたは歌織被告と交際していた?」

証人「はい」

検察官「いつから?」

証人「平成10年の12月ごろ」

検察官「どういう交際をしていた?」

証人「家賃保証をしていた」

検察官「肉体関係はあった?」

証人「はい」

検察官「証人は結婚していましたね」

証人「はい」

検察官「つまり不倫関係にあったと」

証人「はい」

テンポ良く検察側の質問に相づちを打つ証人。歌織被告は、手をほおに当てたり、ハンカチを両手で口に当てるなど落ち着かない様子。動揺がありありとうかがえる。

検察官「家賃負担をしていたのは、歌織被告の世田谷区野沢のマンション?」

証人「はい」

検察側は賃貸契約書を証人に示した。

検察官「契約書によれば、野沢の賃料は16万5000円。どのように払っていた?」

証人「銀行振り込みで」

検察官「最初から?」

証人「最初の1、2回は歌織被告に手渡したと思う」

検察官「方法を変えたのは?」

証人「記憶が定かでないが、不動産屋から『未払いだ』と通知を受けたことがあったので」

検察側は資料をもとに、平成12年11月から約4年間にわたって賃貸契約を結んでいたことを指摘する。

検察官「歌織被告は最終的になぜ引っ越した?」

証人「本人から『これから母と弟と3人で暮らす。長い間お世話になりました』と」

検察官「関係が終わった?」

証人「はい」

検察官「歌織被告は野沢を出てどこに?」

証人「武蔵小山」

検察官「野沢を出るまでは肉体関係があった?」

証人「回数は減ったが…」

検察官「出たあとはなくなった?」

証人「はい」

検察官「家賃負担もなくなった?」

証人「はい」

歌織被告は当時を思いだしているのか、落ち着いた様子に変わってきた。

検察官「全く関係はなくなったのか?」

証人「月に1回ぐらい電話があった」

証人は歌織被告側の希望で2カ月に1回ぐらい会い、昼食をともにしたと説明する。

検察官「金を貸したことは?」

証人「1度だけ」

検察官「いつごろ?」

証人「野沢を出た15年8月の前」

検察官「貸した理由は?」

証人「歌織被告から、『弟の帰国費用として30万円貸してほしい』と言われた」

検察官「弟はどこにいたと?」

証人「オーストラリアに留学したと聞いていた」

検察官「貸した?」

証人「はい」

検察官「返済は?」

証人「されていない」

検察官「歌織被告が結婚を打ち明けて以降、いつまで会っていた?」

証人「最後は昨年7月」

検察官「電話で話した最後は?」

証人「昨年12月23日」

最後で電話で話したという「昨年12月23日」は、夫の祐輔さん殺害後にあたる。検察官は、愛人が見聞きした夫婦関係の実態を聞こうと切り込む。だが、証人はあまり聞いていなかった、という。

検察官「夫との関係はどのように聞いていた?」

証人「あまりその話題に触れていなかった」

検察官「具体的に聞いていなかったか。仕事とか…」

証人「非常に高収入だと聞いていた」

⇒(8)ひきつる被告 愛人「夫から電話あった。疑った?」