(2)義母を前に「どうして連れてきたのよ」と夫なじる
引き続き、祐輔さんの実母の証人尋問が続いた。歌織被告は相変わらず、目線を下に落としたまま証人尋問の様子を聞いていた。
検察官「祐輔さんと被告がケンカして、被告が新潟の実家に帰ったことは知っていますね」
証人「はい」
検察官「どうやって知りましたか」
証人「(被告の)母親から電話がありました」
検察官「平成16年4月に祐輔さんと被告にお金を貸したと話しましたね。被告の母親から電話がかかってきたのは、お金を貸す前ですか、後ですか」
証人「後です」
検察官「そのとき、母親は何と言っていましたか」
証人「どうしても(歌織被告を)返さない。父親もそう言っていると」
検察官「祐輔さんが被告に手をあげているという話はそのとき初めて聞いたのですか」
証人「はい」
検察官「平成17年8月1日ごろ、被告から祐輔さんの暴力で鼻の骨が折れ、シェルターに入ったことを聞かされましたね。それで被告は祐輔さんとの関係をどうしたいと言っていましたか」
証人「何もいらないから、祐輔と別れたいと」
検察官「義理のお姉さんと8月3日から5日まで、祐輔さんと被告に会いに行きましたね。会いに行った理由は何ですか」
証人「離婚をさせようと」
検察官「被告と会ったのはそのときが初めてでしたか」
証人「はい」
検察官「初日の8月3日、仕事場から祐輔さんを呼び出し、マンションに行ったとき、被告はどんな様子でしたか」
証人「ドアにチェーンをかけ、すごい声で『どうして連れてきたのよ。どうしてうちなのよ』と」
検察官「誰に言っていたのですか」
証人「祐輔に」
検察官「声の大きさや感じは」
証人「それは、私は親ですからある程度ケンカの話も聞いていましたが、やはり高音で、電話で聞いたときよりも迫力がありました」
検察官「結局、ホテルのロビーで被告を待ちましたね。そのとき、どうして暴力を振るったのか、祐輔さんから説明がありましたか」
証人「自分が会社から帰ってきたときに、男友達にメールを打っていたと話していました」
検察官「その後、被告はホテルのロビーにやってきましたか」
証人「はい」
検察官「そのときの態度は」
証人「マンションで見たのとは違う人が来たのかと感じました。でも声は歌織さん」