(10)「いつも歩く敷地に遺体」電力会社の検針員
休廷後、電力会社の女性検針員が証人として出廷した。この検針員は、三橋歌織被告によってバラバラにされた祐輔さんの下半身が発見された東京都渋谷区内の民家周辺を検針エリアにしている。やはり、証人席と傍聴席との間についたてが立てられた。被告席の歌織被告は伏し目がちでくちびるをかみ、何かを考えている様子。検察側は遺体の一部が発見された民家の地図などを証人に見せて確認している。
検察官「警察から連絡を受けたのは?」
証人「平成18年12月28日の夜7時ごろ」
検察官「毎月、この地区を点検しているのか?」
証人「はい」
検察官「12月15日にここ(渋谷区の遺体の一部が発見された場所)にいたのはなぜ?」
証人「この日が巡回の日だった」
検察官「何時ごろ行った?」
証人「午前10時ごろだった」
検察官「警察に現場写真を見せられ、あなたが(遺体の一部が)この民家にあったものだと分かったのはなぜ?」
証人「私がいつも歩く敷地の土の上だったから」
歌織被告は終始、目を伏せている。検察側は証人に詳細な現場地図を示して、証人が遺体を発見するまでを確かめている。
検察官「あなたの視力は?」
証人「裸眼で1・5。老眼鏡をかけますが」
代わって弁護側の尋問が始まる。証人の会社への勤務状況などを尋ねる。
弁護人「検針場所はこちらでいい?」
証人「はい」
ついたての向こうで、弁護人と証人が小声で発見場所となった民家内の位置関係についてやりとりし、尋問は終了。傍聴席から見えないように出口までアコーディオンカーテンが再び張られた後、15時48分、証人は退廷した。