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第2回公判(2010.11.26)

 

(9)逮捕後、38キロまで激やせ 「からかい、ロッカーに閉じこめ」小中時代からいじめで孤立深め

山本被告

 中央大理工学部教授、高窪統(はじめ)さん=当時(45)=を刺殺したとして、殺人罪に問われた卒業生で元家庭用品販売店従業員、山本竜太被告(29)の第2回公判は、30分の休廷を挟み、被告人質問が始まった。

 山本被告が証言台の前に進み出て着席すると、男性弁護人がゆっくりとした口調で質問を始めた。

弁護人「私と君が初めてあったのは昨年の6月9日でした。覚えていますか」

山本被告「うろ覚えですが覚えています」

弁護人「私は君に『私は中央大学法学部を卒業し、弁護士になった』と自己紹介をしました。私が中央大出身と聞いてどんな印象を持ちましたか」

山本被告「最初は驚きました。同じ大学なので一方的に解釈されたり、誤解されたりしないか心配でした」

 山本被告は一言ひとことはっきりと、まるで文章を読み上げるようにゆっくりと質問に答えていく。

弁護人「私が、君の恐れている“圧力団体”に関与していると思いませんでしたか。今はどう思っていますか」

山本被告「関与していると思いました。今は思っていません」

弁護人「私が圧力団体に関与していないと判断できたのはいつごろでしょうか。なにがきっかけだったのかな?」

山本被告「2回目に(当時、勾留されていた)東京拘置所にきてから、警視庁から移ってからです。頼んだ書籍を購入して差し入れていただいたことがきっかけだったと思います」

弁護人「あのころ君は体調が悪かったね。体重はどれくらいだったかな?」

山本被告「38キロくらいでした。食欲がなくて食事を取らなかったことが原因だったと思います」

 山本被告は丁寧な言葉遣いで質問に答えていく。向かって右から2番目の男性裁判員は熱心にメモを取っている。

 質問は山本被告の幼少時代の話に移った。

弁護人「先ほどお母さんの調書の中で君が小学校のときにいじめにあっていたというくだりがあったけれど事実ですか」

山本被告「事実です」

弁護人「どんなことがあったのか話してみて」

山本被告「小学校6年のときに、同じ教室の男の子からときどき砂をかけられたりしていました」

弁護人「小学校では『お坊ちゃん』といわれ、からかわれていたことは記憶にありますか」

山本被告「記憶にあります。特定の、2〜3人の限られた少数の人から、何回もいわれたことです」

 山本被告は小学校時代に同級生から、からかいの対象となっていたようだ。だがいじめに気づいた担任やクラスメートがかばってくれたという。

弁護人「小学校でいじめは終わりましたか」

山本被告「中学校でもありました」

弁護人「背中をけられてくつの跡がついたと私に言っていましたが、おぼえていますか。それは1回だけでしたか」

山本被告「覚えています。2、3回はあったと思います」

 山本被告はほかにも教室のロッカーに閉じこめられるなどのいじめがあったと語った。

弁護人「中学時代は楽しい時代でしたか」

山本被告「うーん…その逆でした」

弁護人「思いだしたくない?」

山本被告「はい」

 弁護人はさらに山本被告の友人関係についての質問を続ける。

弁護人「君は習い事や塾に行っていたようだけれど、それはやりたいことでしたか」

山本被告「決してやりたいことではありませんでしたが、母の勧めがあったので習い事は習っていました」

弁護人「いじめをしないような子で友達はできましたか」

山本被告「小学校ではできました。中学校ではできませんでした。習い事では…できたと思います」

 ここで弁護人は突然過去に山本被告の家に泥棒が入ったという話を始めた。

弁護人「中学校のころに泥棒に入られましたね」

山本被告「1回だけありました。犯人は見つかりませんでした」

弁護人「犯人はどんな人だと家族と話しましたか」

山本被告「もしかしたら同じ中学の誰かじゃないかと話しました」

弁護人「君の方から家族にそういったの?」

山本被告「たぶんそうだったと思います」

 根拠は不明だが、山本被告は同級生に疑いの目を向けていたようだ。

 弁護人が大学進学時のことについて質問を始めた。

弁護人「理系と文系どちらに行きたかったのですか」

山本被告「希望はありませんでしたが、数学が好きだったので理系向きかなという気持ちはありました」

弁護人「中央大学は偏差値が高かったんじゃないの? 推薦枠でそこに進学することは胸を張れることだよね」

山本被告「…だと思います」

 山本被告は無表情のまま感情も込めず、淡々と答えていく。

弁護人「大学に進むにあたってどんなことを期待していましたか」

山本被告「学歴のある大学に行ってちゃんとした企業に就職したいという気持ちがありました」

 一言ひとこと確かめるように、時折短い沈黙を交えて答える山本被告を、左端の女性裁判員がじっと見つめる。

弁護人「大学で最初は多摩校舎だったけれど充実していましたか」

山本被告「充実はしていませんでした」

弁護人「どの点が欠けていたと思いますか」

山本被告「多摩校舎だったので…後期には後楽園キャンパスに移るので、多摩校舎にはなじめなかったことが欠けていました」

弁護人「大学のカリキュラム以外に何かやってみたいことはなかったのですか」

山本被告「管弦楽部に入りたいと思っていました。説明会には参加しましたが、実際は入りませんでした」

「その理由の一つは多摩校舎にしか管弦楽部がなかったことと、もう一つは勉強についていけるか、不安だったので入部を見送りにしていました」

 山本被告は大学進学後、積極的に自分のやりたいことを行動に移すことができなかったようだ。

弁護人「大学では話をする友人はいましたか」

山本被告「2、3人はいたと思います」

弁護人「どんな話をしていましたか。悩みとか進路とか深い話をする人はできましたか」

山本被告「サークルはどこに入ったとか…深い話をする人はできませんでした」

弁護人「それは君から避けていたのですか」

山本被告「…自分の方から話しかけはしませんでした。周りからもそういった話はされませんでした」

 弁護人は続いて山本被告の成績についての質問を始めた。

弁護人「大学1年時には6単位くらいしか取れませんでしたね。なぜですか」

山本被告「一番大きな理由は、人間関係学について学びたいという気持ちが大きくて、勉学に励まなかったことだと思います」

 大学の授業には身が入らず、試験結果も「思うようにはいかなかった」と話した山本被告。自分だけ取り残されているという孤立感を深めていったようだ。

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