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(8)「私を帰さないと大変なことに…」カッとなり殴る

平成19年3月に英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第4回公判は20分の休廷を挟み、再開された

入廷してきた市橋被告はこれまで通り、検察側の後方に座るリンゼイさんの両親に向かって頭を下げ、証言台の席に着席。裁判員らによる被告人質問が始まり、向かって右から3番目に座る男性裁判員が質問をするために挙手をした。

裁判員「(19年3月25日から)リンゼイさんを入れていた(取り外し可能な)浴槽は4畳半のどこに置いてあったのでしょうか」

堀田真哉裁判長が「図で示してもらいましょう」と言い、大型モニターに現場見取り図が映し出される。そして、4畳半の部屋の左下の角を指す市橋被告の指が映った。

市橋被告「ここです」

指を指した場所の下の方に「ラジカセ」と書かれたマークがあった。上の方には「物入れ」と書かれたスペースがあった。

裁判員「被害者の頭はラジカセの方を向いていましたか。物入れの方を向いていましたか」

市橋被告「物入れのほうです」

裁判員「浴槽の中にリンゼイさんがいたとき、(市橋被告は)左こめかみをリンゼイさんに殴られて壁に頭をぶつけたとされています。どのようにぶつけたのでしょうか」

市橋被告「私が右のこめかみをぶつけたのはここです」

市橋被告は4畳半の左側の壁を指さしたが、直後に発言を訂正する。

市橋被告「すみません。(壁にぶつけたのは右こめかみではなく)右の頭です」

裁判員「ありがとうございます」

堀田裁判長は「今の質問に関連して、私からも質問します」と言い、大型モニターに浴槽の見取り図が映し出された。堀田裁判長は浴槽のどの部分が壁と接していたかを尋ね、市橋被告は浴槽左側の縁部分を指した。堀田裁判長は「ほかの方はいかがですか」と裁判員らに声をかけ、左から2番目の男性裁判員が挙手をする。

裁判員「(縛って浴槽に入れていた)リンゼイさんを2回殴ったときに『カッとなった』ということでした。たばこを吸うことを拒否したやり取りがあって、『カッとなった』ということですが、そのときのやり取りを教えてください」

市橋被告「リンゼイさんが『たばこを吸いたい』と言ったとき、私は『できない』と言いました。その後も、リンゼイさんは『たばこを吸いたい』と3度ほど頼んできました。リンゼイさんからたばこを吸いたいと言われる前、私はリンゼイさんの手首の結束バンドをキッチンバサミで切りました。リンゼイさんに『足も外してほしい』と言われ、私は『できない』と言いました」

「そしてリンゼイさんに『たばこを吸いたい』と言われて断った後、リンゼイさんに(再び)『足が痛いから足のバンドを外して』と何回か言われました。私が『やはりできない』と言うと、リンゼイさんは『棒のようなものに(私を)つなげればいい』と言いました。しかし私の部屋には棒はありませんでした」

リンゼイさんとのやり取りを細かく述べる市橋被告。説明はさらに続く。

市橋被告「リンゼイさんから『たばこを吸いたい』と言われる前、リンゼイさんから『甘い物がほしい』と言われ、台所にあった黒砂糖をリンゼイさんの口に入れました。『たばこを吸いたい』と言われた後、今度は『白砂糖がいい』と言われました。白砂糖はありませんでした」

「だんだんイライラしてきました。私が考えていたことは何とか…リンゼイさんに許してもらい、(リンゼイさんを)帰したかった。でもだんだんイライラしてきました。イライラしてるとき、リンゼイさんに『私を帰して。帰さないと大変なことになる』と言われ、私はカッとなりました」

長い間しゃべり続けた市橋被告。通訳も長くなり、リンゼイさんの父親のウィリアムさんは女性通訳の顔を見ながら耳を傾けていた。通訳が終わり、続いて左端に座る男性裁判員が質問を始めた。

裁判員「結束バンドについて質問します。(英会話レッスンを終えて2人で)部屋に戻り、そのあともみ合いになり、リンゼイさんの手足に結束バンドをつけたと言っていましたが、それ以降、足の結束バンドを外したことはありますか」

市橋被告「はい、あります」

裁判員「どんな状況で外したのか説明してください」

市橋被告「4・5畳(4畳半)の和室で、浴槽の中にリンゼイさんを入れていましたが、リンゼイさんは私に『トイレに行きたい』と言いました。私は(トイレに行かせるため)リンゼイさんの足の結束バンドをキッチンバサミで切りました」

裁判員「リンゼイさんがトイレから戻ってきたところで、再び足に結束バンドをはめたのですか」

市橋被告「はい、そうです」

裁判員「部屋に戻ってきたとき、部屋の明るさはどんな感じですか」

ここで堀田裁判長が「いつのことですか」と質問を詳しくするよう促した。

裁判員「(事件当日、レッスンを行った)コーヒーショップから帰ってきて、部屋に入ったときのことです」

市橋被告「玄関を開けます。玄関にはライトがついていません。廊下から続く台所、リビングの…リビングはカーテンが開いていて、日の光が廊下に差し込んでいました。玄関から左手にある浴室と、洗濯機のある水場は真っ暗でした」

「玄関から入って右手にある5・5畳の洋室はカーテンが開いていて、日の光が入っていました。ライトはついていません。4・5畳の和室と、6畳の和室もカーテンが開いていたので、日の光が入り、明るかったです。私が帰ってきたとき、どの部屋も照明はついていませんでした」

裁判員「照明をつける機会はありましたか」

市橋被告「あります」

裁判員「4・5畳の和室に浴槽を持っていき、リンゼイさんを入れたとしているが、それ以降、照明を消したことはありますか」

市橋被告「もう1度お願いします」

裁判員「まず2人で4・5畳の部屋にいたとき、照明をつけましたか」

市橋被告「つけました」

裁判員「その後、消す機会はありましたか」

市橋被告はしばらく沈黙した後、口を開いた。

市橋被告「リンゼイさんが動かなくなるまで、照明は消していません。(リンゼイさんが死亡した後の)26日午後2時か午後3時ごろに私が目を覚ましたときに、4・5畳の和室の照明がついていたかは覚えていません」

検察側や弁護側による質問のときに比べ、やや落ち着いた様子で説明する市橋被告。裁判員らによる被告人質問は続く。

⇒(9)結束バンドと避妊具を準備? 裁判官が「計画性」追及