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(15)「私の常識では死刑以外ありえない」…父の悲しみと怒り

検察官による東城瑠理香さんの父親の供述調書の朗読が続く。傍聴席の右側前列にいる遺族とみられる女性は白いハンカチで涙をぬぐい、男性はがっくりとした様子で聞き入っている。星島貴徳被告は背を丸めたまま、被告人席の机をじっと見つめている。供述調書の読み上げは事件2日後の平成20年4月20日、父親が星島被告とエレベーターで鉢合わせた場面へと移った。

検察官「男はたしか『(東城さんが住んでいた)916号室の隣の隣に住む者です』『変な物音は聞いていません。役に立てずにすみません』と言っていたと思います。普通の人に見え、怪しいとは思いませんでした。話をしたことすら、後日になって警察官に聞かれるまで忘れていたくらいです」

東城さんが行方不明になって以降、父親はまな娘の無事を祈って、神頼みをするようになったという。

検察官「4月26日から仕事に戻りました。同僚は根掘り歯掘り聞いてこず、『早く見つかるといいね』とだけ言ってくれました。私はそのころから非科学的だとは思いましたが、神仏に祈ることを始めました。金のない私でもできることをやろうと思いました。心霊士にも見てもらいましたが『瑠理香さんは見えない』と言われました」

東城さんが行方不明のまま、星島被告が逮捕された5月26日を迎えることになる。逮捕とともに知ったのは、瑠理香さんがすでに殺害されていたという現実だった。

検察官「5月26日の朝、友人から電話があり『テレビでやっているのは娘さんではないか』と言われました。それで星島が逮捕され、殺害を自供をしていることを知りました。私は新聞社の支局に新聞記事を見に行きました。『そんなことはできるわけない。狂言だ』と自分に言い聞かせました。その日からまた仕事に行かなくなり、一日中、泣いていました。星島の逮捕から3日たち、下水道から骨が見つかったということを知り、その日も一晩中、泣きました」

「瑠理香は異常な殺され方をしたのです。何一つ悪いことがなかったのにもかかわらずです。私は瑠理香を信頼し、普段は忠告などはしませんでしたが、『人生は一度きり、悔いのないように、やりたいことをやれ』とだけ言っていました。瑠理香にとってはすべてが途中で、無念で、かわいそうでなりません。私は死にたいと思うようにすらなりました」

父親は悲しみのあまり、出家することを決断。自宅近くの寺へ申し出たが、受け入れられなかったという。その後仕事に行く気力もなく、職を失い、生活保護を受けるようになった。東城さんに関する思い出を語った、父親の調書の読み上げが続く。

検察官「私も妻も高卒で、他の子供たちも高卒。瑠理香は唯一、4年生大学に進学していました。英語を話せるのも瑠理香だけです。私は誇りにしていました。瑠理香がいなくなった悲しみが、癒えることはありません。瑠理香は本当に、リスクのない生活をしていたのです。普通のOLとして、午後7時半にオートロックのマンションに帰宅しただけなのです。安心できる部屋の中で、どんなに注意しても防げる事件ではありません。そんな瑠理香が1カ月以上、下水管の中にいたなんて、耐えられません」

「瑠理香が帰ってこないことはわかっていますが、心のどこかで『生きているのではないか』と思っています。まだ夢の中のように思えてしかたがないのです。事件の後、瑠理香の昔の写真をずいぶんと見ました」

ここで検察官が大型モニターに瑠理香さんの写真を1枚ずつ映し出した。遊園地で父に抱かれた姿、お遊戯会、運動会、スキー場…。まるで結婚式で披露されるスライドのように、瑠理香さんの成長に沿って、写真が切り替わってゆく。遺族とみられる女性の1人が、堪えきれずに嗚咽を漏らした。

検察官「瑠理香が死んだという実感がないのは、死に顔を見ていないからだと思います。どんな形でもいいから、死に顔を見たかった」

「検察官から(星島被告の)刑罰に関する意見を聞かれました。私は死刑になると確信して疑っていません。私の常識では、それ以外ありえません。裁判所には、公開処刑にしてほしいと思っています。死刑にするときは、星島の家族にその姿を見せてほしいと思っています」

「公開処刑にしてほしい」との部分が読み上げられると、星島被告はうつむいたまま、目を閉じた。ここで東城さんの父親の供述調書の読み上げが終了した。

続いて東城さんが勤めていた会社社長の供述調書の朗読へと移った。社長によると、東城さんは平成18年9月にアルバイトとして採用。明確な目標を持った女性という印象だったという。

「東城さんにこの会社を選んだ理由を聞くと『アートを勉強しながら、将来はファッション業界で働きたい』と言っていました。『プラダを着た悪魔』という映画が気に入って、3回も見たとのことでした。映画はファッション業界の内幕を描いたもので、主人公の女性がたくましく成長していくストーリーで、『大変だけれども、努力すれば女性でも自立してやっていける』と話していました。強い意志を持った人だなと思いました」

映画は、主人公が恋に仕事にと奮闘する姿をユーモラスに描いた作品だ。東城さんはそんな主人公に、自らの将来を重ね合わせていたのだろうか…。

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