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最終弁論(4)義母は供述調書で「恨んでいても絵里子は喜ばない」

 (9)そして、平成19年11月7日、被害者のたんすの中から表札を見つけて、今までのすべての脅迫が、被害者のものであることを悟ったことから、従来の情念が爆発して、殺害を制御できなくなって、犯行に及んだものである。

 (10)このように、本件を理解する上で、被害者が加害者に加えていた数々のいじめと、被害者が実家にも帰れず、苦しみを1人引き受けていた被告人の境遇を考えるとき、被害者側の落ち度と被告人の置かれた困難で苦しい境遇は、被告人にとってくむべき事情として斟酌されてしかるべきである。

 3 事件に計画性はないこと

 (1)本件において、確定的殺意は、事件当日の表札発見時点であり、このとき、いままでのすべての自己に対する迫害が、すべて被害者によるものであることを悟った被告人は行動を制御することができなくなり、犯行に及んでいる。

 (2)10月下旬の「犯行計画メモ」との関連性は全くなく、その計画が実行に移されたものでは全くない。それは以前から、被害者に対する漠然とした殺意を抱いていたということの現れにすぎない。

 (3)本件は計画的な犯行ではなく、犯行現場に立ち入る直前に知人に出会ってあいさつするということをしており、アリバイ工作しようとする気持ちを犯行時点で有していたとは、全く認められない。

 (4)表札を現認したことから、いままでの、すべての被告人に対する迫害や、被告人の身の回りにおきる嫌な出来事がすべて被害者によるものだったと、確信したことが、範囲の発生原因となり、これが抑制できないまま、犯行にいたったものである。

 4 今後の監督、支援

 (1)被告人の夫は、被害者の実の兄という立場のものであるが、被告人とは離婚せず、今後も被告人を支えていくことを誓約しており、公判にも、証人として出廷し、その旨証言している。

 (2)被告人の家族は、傍聴券が得られずに傍聴できないものも含め、毎回、裁判所に足を運んでいるし、両親も傍聴に来ており、被告人に面会しており、被告人の社会復帰に協力的である。

 (3)被告人に対しては、友人、または地域の人ら7691人から寛大な処分を望む旨の嘆願書が寄せられており、被告人の社会復帰にとって、有益である。

 5 再犯のおそれ等

 被告人は、生来、犯罪傾向などはまったくなく、当然前科もないものであり、本件は、被害者との間の特殊な関係から発生したものであるから、当然のことながら、再犯のおそれは皆無である。

 6 子の福祉

 母親の存在は、子の福祉の観点からも、重要ではあるが、本件の事実経過、背景事情をすべて理解すれば、必ずしも、母親である被告人が本件の被告人になってしまったからといって、長女が失望したり、いじめられたり、引け目を感じたりする必要はないのであって、被告人は社会復帰後は夫と協力して長女を育て、良好な関係を保つことが望まれる。

 7 反省

 被告人は、終始、涙を流しながら、真摯(しんし)に供述しており、十分反省しているものである。

 8被害者感情

 被害者遺族である夫は、被告人に対して、寛大な処分を願っている。

 また、被害者の母親も、供述調書によれば、憎しみの連鎖が不合理であることを知り、恨んでいても被害者は喜ばないということを知っているものである。

 第3 結語

 以上より、被告人には、責任能力の欠如ゆえ刑事責任を問えるものではないと思量するが、情状としては以上の諸事情を考慮されたい。

⇒第4回公判