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(4)「迫害」「落ち度」…義妹側の責任をはっきりと弁護人

弁護人の最終弁論が続く。咲被告はじっとうつむいたまま、青いハンカチを握りしめている。

弁護人「警察による第三者としての任意聴取から自供するまで、黙秘権の告知が行われなかった」

刑事訴訟法に定めた黙秘権の告知が行われなかったことは、公判の証人尋問で明らかとなっている。さらに、任意の事情聴取の段階から、容疑者としての取り調べがなされていたとも指摘。自首が成立することを主張する。検察側の冒頭陳述によると、咲被告は当初アリバイを主張していたが、被疑者としての取り調べを受けて、2時間以上経過した時点で自供している。

弁護人「(取り調べでは)被告に弁解の余地がない物証を示したわけでもない。取調官は『(子を持つ)母親なら本当のことを言おう』と言い、言おうとしていた被告を後押ししたに過ぎない。自発性があるので」

続いて、絵里子さんが交際男性と別れ、咲被告らが生活する実家に戻ったことから、絵里子さんが咲被告を邪魔だと思うようになった理由を説明する。

弁護人「被告の生活に、不幸な境遇の被害者が入り込んできたことが発端。(家族で暮らす)幸せな生活に被害者が嫉妬心を持ち、被告のせいで家族がバラバラになったと考えた」

これまでの公判で、弁護側は絵里子さんのスカートや健康食品がなくなったことを咲被告が盗んだようにしようと考え、咲被告が作った料理に文句をつけた、と主張している。

弁護人「衣類や健康食品、食事に加え、『早く出て行って下さい』というメールを送り、(咲被告の名前が書かれた)表札を外すなどいじめを行った。被告は暴力的な性格ではなく、泣き暮らしていた。耐えなければならないと考えていた」

「夫や長女、義母との生活を見捨てて実家に帰るという選択肢はなかった」

殺害に至った経緯について、弁護人は説明を始めた。

弁護人「平成19年11月7日、外されていた表札を絵里子さんの表札を発見し、思いが爆発した」

「被害者の落ち度と被告の苦しい境遇は、汲(く)むべき事情と斟酌(しんしゃく)されるべきだ」

「迫害が被害者のものと特定され、行動が制御できなくなった」

弁護人は絵里子さんについて「落ち度」という言葉を使用したことに加え、これまで“いじめ”などとしてきた表現を“迫害”と言い換える。絵里子さんの咲被告に対する言動を強調し、減刑につなげたい意図があるのだろう。

弁護人「(犯行を計画していたとされる)10月下旬のメモとの関連はない」

弁護側は、犯行を実行したのは、あくまで当日に表札を発見したことがきっかけだった−とし、メモの計画を実行に移したものではないと主張する。

弁論は情状について移る。弁護人は、咲被告の夫が法廷で『離婚せずに今後も(咲被告を)支えていく』と証言したことに触れ、さらに友人らから7691人の嘆願書が寄せられたことを挙げる。

弁護人「被告に再犯の恐れはなく、犯罪傾向も全くない。子供の福祉の観点からも、事件の背景を理解すれば、母親が被告となっても長女は引け目を感じることはない」

「本件については責任能力の欠如ゆえ、刑事責任を問えるものではないと思料する。(問えた場合も)情状として以上の諸事情を考慮されたい」

最後に刑事責任能力がないことによる無罪を改めて主張し、最終弁論を終えた。

咲被告は弁論の間、じっとうつむいたまま。裁判長に「これで審理を終える。裁判所に対して何か言いたいことは?」と言われ、証言台に立った。

咲被告「自分は罪を償っていくしかない。一日一日反省し償って、外に出られたら、一番に手を合わせられるようしっかり罪を償っていきたい」

咲被告ははっきりとした口調でかみしめるように話した。午後2時45分、第3回公判が終了。これで公判は結審した。

次回は判決公判。4月22日午前11時から開かれる。裁判所がこの事件をどう判断するか、注目される。

⇒論告要旨(1)「心神喪失、自首成立」をいずれも否定