(6)殴られた祐輔さん「なんで…」
弁護側の質問が終わり、満を持して検察側の質問が始まる。検察側は殺害時の状況について詳細に聞き出すことで、歌織被告の責任能力を浮き彫りにさせようとする。女性検察官が質問の口火を切った。
検察官「(殺害当日の)平成18年12月12日のことだが、祐輔さんが帰宅してから殺害した時間は何時ごろだったか」
歌織被告「時間ははっきりとは分からない」
検察官「外は明るくなっていたか」
歌織被告「明るくはなっていなかったが、少ししたら明るくなるだろうな、という…」
検察官「大体何時くらいか」
歌織被告「午前6時にはなっていなかったと思う」
検察官「祐輔さんが帰宅してからはどれくらい経っていたか」
歌織被告「帰宅してから1時間は経っていた」
検察官「祐輔さんは寝ていたのか」
歌織被告「完全に寝ていたかは分からないが、寝ていたと思う」
検察官「(寝ていた)場所は居間か」
歌織被告「そうです」
検察官「(犯行に使用した)道具だが、ワインの栓は開いていたのか」
歌織被告「開いていなかった」
検察官「(ワインが)置いてあった場所は」
歌織被告「冷蔵庫の上です」
検察官「殴った回数は」
歌織被告「回数は分からないが、いっぱい叩いたと思う」
検察官「ワインの瓶はどのように持った?」
歌織被告「右手で瓶の口の方を持った」
検察官「殴った時の姿勢は」
歌織被告「(祐輔さんが)マットの上に横になっていたので、頭の方に座って叩いた」
検察官「どういう座り方だった」
歌織被告「正座のような姿勢で」
検察官「殴った時に祐輔さんは何か言った?」
歌織被告「私に向かって『なんで…』と」
殺害の瞬間について訥々と語る歌織被告。弁護側の質問時よりも幾分声が小さい。
検察官「何度か殴って祐輔さんは動かなくなった?」
歌織被告「いや、動いていた」
検察官「まだ動いている時に殴るのをやめたのか」
歌織被告「怖かったから…」
検察側の質問は遺体切断時の状況へ移る。
検察官「(切断する際に遺体を収納した)クローゼットは普段どういうふうに使用していたのか」
歌織被告「服などを入れていたが、彼が私に対して暴力を振るった時に壊れてしまい、事件当時はクローゼットとして使ってなく、扉を外して本や犬の服などを入れていた」
検察官「遺体はどう動かしたか」
歌織被告「とにかく重たくてなかなか動かせなかったが、何とかして遺体を動かした」
検察官「(事件翌日の)12月13日に買ったものだが、ブルーシートと台車の他には?」
歌織被告「他にいろいろ買ったようだが、覚えているのは防寒用具を買ったこと」
検察官「なぜ防寒用具が必要だったか」
歌織被告「寒かったので…」
検察官「どうして寒かったのか」
歌織被告「怖くて(祐輔さんの遺体がある)リビングに行けなかったので、殺害後は洗面所にいたから」
検察官「窓も開けていたのか」
歌織被告「開けたりもした」