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(13)「遺族への手紙」でふてくされ

祐輔さんの暴力は、歌織被告が主張する通りのものだったのか。検察側は、これまでの公判で行われた証人尋問の内容との食い違いを、細かく指摘していった。

検察官「平成18年3月ごろ、○○さん(実名、祐輔さんの元同僚女性)と祐輔さんがいるときに、祐輔さんがあなたに『あれ以来、殴ってないじゃないか』と言ったことはあるか?」

歌織被告「覚えていないが、また彼が自分のやってきたことをごまかすために、両手をあげて○○さんにアピールしていたのは覚えている」

検察官「私が聞いているのは、祐輔さんが『あれ以来、殴ってないじゃないか』と言っていたのかどうかということ」

歌織被告「…覚えていない」

検察官「ならば『覚えていない』で結構。また、あなたが祐輔さんに『あのこと(暴力)を告訴できる』と言ったことはあるか?」

歌織被告「覚えていない」

ここで別の男性検察官に交代し、祐輔さん殺害後の歌織被告の行動について質問する。

検察官「事件後、△△さん(実名、祐輔さんの職場の上司)の問い合わせに対し、実際には出していない捜索願を『出した』と言ったのはなぜか?」

歌織被告「自分で彼を殺害しておきながら、警察に行って捜索願を出すということはできないので…。そういう風に(捜索願を出したといううそを)言って、『何とかしなきゃ』と思った」

弁護側質問のときとはうって変わり、自信がなさそうに小さな声でぼそぼそと答えた。

検察官「(平成18年)12月15日に捜索願を出したとき、あなたは『祐輔さんの左胸に手術痕がある』と(警察に)言っているが、これは本当にあったのか?」

歌織被告「ない」

検察官「なぜ、そう言ったのか?」

歌織被告「とっさにうそをついた」

検察官「なぜ?」

歌織被告「私自身が彼を殺したので、とっさにうそをついてごまかした」

検察官「つまり『自分が犯人ではない』と言いたかったのでは?」

歌織被告「…はい」

検察側はこの後も、祐輔さんの血液が付着した布団を実家に送った日付や、自宅の壁を張り替えた日など、祐輔さん殺害後の偽装工作について詳しく質問した。

検察官「布団はいつ送ったのか?」

歌織被告「覚えてない」

検察官「(配達)伝票には平成18年12月27日とあるが、そのころでは?」

歌織被告「そう」

検察官「自宅のクローゼットやソファを処分したのは?」

歌織被告「わからない」

検察官「12月22日でしょ?」

歌織被告「そう言われると、そうかもしれない」

検察官「クロスの張り替えをしたのは?」

歌織被告「今言った、12月22日ごろ?」

検察官「26日とか29日ごろでは?」

歌織被告「そう言われると、そうかもしれない」

あいまいな答えを繰り返す歌織被告に対し、検察側の問いつめる声がより強くなる。

検察官「あなたは平成19年1月4日、祐輔さんの父親に『迷惑かけてすみません。祐輔』と(祐輔さんを装った)メールを送っている。これはなぜ送ったのか?」

歌織被告「彼の友人や同僚の方からの連絡が、とにかく来てほしくないと…」

検察官「あなた、祐輔さんのご両親が大変心配されていたのは知っていますよね? どういう気持ちでメールを送ったのか」

歌織被告「どういう気持ちか覚えていないが…。…(聞き取れず)。申し訳ない」

検察官「メールを受け取ったお父さんが、どういう気持ちが考えなかったのか?」

歌織被告「…本当に申し訳ないが、思いつかなかった」

小声で話す歌織被告の吐息をマイクが拾い、泣いているようにも聞こえる。検察側は続いて、歌織被告の反省感情についても質問した。

検察官「この1年、どういう気持ちで過ごしたのか?」

約5秒間の沈黙後、歌織被告が途切れ途切れに答えた。

歌織被告「どんな気持ちというか…。とにかく自分が犯してしまったことの事実を…。とにかく自分で受け入れなきゃという気持ちで過ごしてきた」

検察官「ちょうど(殺害から)1年後(を迎えた日)は、どういう気持ちだったか?」

歌織被告「…(聞き取れず)。…彼に対して申し訳ないという気持ちでいっぱい」

検察官「遺族への手紙を送ったのはいつ?」

歌織被告「弁護士の先生におまかせしてしまったので…」

検察官「手紙を作成したのはいつ?」

歌織被告「ちょっと覚えてない」

検察官が声を荒らげた。

検察官「大事な手紙ですよ? なんで覚えてないんですか!」

歌織被告「…はい」

検察官「弁護人は、平成19年12月7日付で、(祐輔さんの)両親に手紙を出している。なんでこんなに時間がかかったのか?」

歌織被告「いくら説明しても言い訳にしかならないが、なかなか自分の気持ちを手紙とか言葉にすることができなかった」

検察官「十分時間はあったはずだが?」

歌織被告「自分がやったことの大きさを考えると、いくら時間があるとかは関係ないと思います」

歌織被告は、ふてくされたように答えた。

検察官「まず、遺族に謝罪すべきでは?」

歌織被告「…その通りです」

検察官「今後はどうしていくのか?」

歌織被告「今後と言っても…。今の私の立場では、ご遺族の前で今後という先の話をするのは申し訳ない。とにかく一日一日、彼とご遺族の謝罪の気持ちを持って過ごすしかない」

謝罪の言葉を口にする一方、時折、不誠実な態度を見せる歌織被告の真意をうかがい知ることはできなかった。

⇒(14)謝罪は本物か…「傍聴席は見ない」