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(11)「お前みたいな女がろくでもない男と結婚するから…」と父

検察側は、新潟に戻った歌織被告と父親との関係について切り込んでいく。前回の法廷で弁護側質問に答えた内容の矛盾点を突いていこうという姿勢だ。

検察官「前回、祐輔さんのところに戻った理由を『実家には居場所がないと父から教えられた』と話していたが、父親から何を言われたのか?」

歌織被告「父は自宅に夜11時ごろ戻ってきた。父が1時過ぎくらいまで一方的に私に対していろんなことを言っていた」

検察官「居場所がないと思った父親の言葉は何か?」

歌織被告「いろいろあって、ひとつひとつ言うことはできない」

具体的な言葉を言おうとしない歌織被告だが、検察側は追及を続ける。

検察官「一番記憶に残っている言葉は?」

歌織被告「一番記憶に残っている言葉は…『お前みたいな女がああいうろくでもない男と結婚するからこうなるんだ』『お前みたいな女が、新潟なんかに戻ってきて何ができるというんだ』」

検察官「父親は離婚を望んでいたのではないか?」

歌織被告「電話では、彼(祐輔さん)に対して『絶対に離婚させる』と言っていたが、私に対しては、『お前みたいな女が新潟に戻ってきて何になるんだ』と…」

感情が高ぶったのか、歌織被告は「ふん」と鼻で笑うような声をあげ、低い声で言葉を続けた。

歌織被告「父は矛盾していて、私を実家に戻したいのか、そうでないのかわからない」

検察官「父親に確認しなかったのか?」

歌織被告「ずっと怒鳴り続けていただけだったので、一言も話す余地がなかった」

検察官「あなたは入籍のとき、事前に親に伝えてなかったのでは?」

歌織被告「…(ため息をつきながら)多分」

検察官「父親としては、『自分勝手なことをやってる』と君を戒めたのではないのか?」

歌織被告「戒めのつもりだったかはわからない。私にわかったことは、『私という人間は実家にいてはいけないんだ』ということ」

検察官「他に覚えている父親の言葉は?」

歌織被告「私や彼に対する言葉」

検察官「あなたは父親のことがきらい?」

歌織被告「好きではないことは確か」

検察官「嫌いではない?」

歌織被告「…」

黙ってしまった歌織被告に、河本雅也裁判長が助け船を出す。

裁判長「感情的なことではなく、事実に即して聞いたらどうですか?」

検察官「感情的ではありませんが…」

裁判長「感情は伝わってきますので…」

裁判長と検察側のやりとりの最中、歌織被告は右手で涙をぬぐい左手で髪をかきあげるなど、落ち着かない様子を見せた。裁判長の指摘を受け、検察側は質問を変えた。

検察官「弁護側の質問で、あなたは新潟にいるとき、『祐輔さんから頻繁に連絡があったから、携帯を折った』と」

歌織被告「そうだ」

検察官「いつ折ったのか?」

歌織被告「実家に帰った翌日か、3日目」

検察官「携帯を折るというのは理解できないんだよね。着信拒否するとか伝言メッセージにするとか…」

歌織被告「彼との連絡を完全に絶ちたかったから」

検察官「着信拒否したり電源を切るとかではなく?」

歌織被告「それもしたと思うが、何度も、留守電がいっぱいになるまで入ってたりするので、結局…」

検察側の質問と歌織被告の答えはかみ合わない。歌織被告は少しいらいらした様子だ。

検察官「折らずに捨てれば良いのでは?」

歌織被告「捨てることと折ること、私には違いはないので」

検察官「携帯を折った後は、祐輔さんとどうやって連絡を取っていたのか?」

歌織被告「それからは連絡を取っていない」

検察官「新潟からどうやって戻ったの?」

歌織被告「父とそういう話があった翌日、彼に電話をかけた」

検察官「電話?」

歌織被告「実家の電話。家にいられないので、ああいう人を選んだのは私自身なので、帰るしかないと思って、(電話を)かけた」

検察官「あなたが弁護側の質問で祐輔さんからひどい暴力を受けていたと言ったから確認したいが、居場所がない実家と、祐輔さんの元に戻ることを天秤にかけたんだよね。なぜ祐輔さんの元に戻るという結論を出したの?」

歌織被告「父に言われたとおり、誰に頼まれたわけではなく、私自身がああいう人間を選んだのだから、戻るしかない。あきらめというか自暴自棄というか、そういう気持ちで…」

歌織被告の声は時折かすれ、ため息混じりだ。質問する検察側の方を向いてから答える回数が以前より増えてきた。

検察官「祐輔さんに新潟に迎えに来てもらったんだよね?」

歌織被告「そうだ」

検察官「平成17年6月に鼻の骨を折ってシェルターに入ったね? 前回、その原因について『家族問題を扱うサイトを見ていて、メールの着信音が鳴って祐輔さんが浮気をしているんだろうと殴った』と言っていたね?」

歌織被告「はい」

検察官「家族問題を扱うサイトって何?」

歌織被告「私のように、DVや夫の浮気、借金、子供の問題、嫁姑問題など、いろんな問題を扱っているサイトで、見た人がメールを送ったり、サイトを運営している方が、対処法というかアドバイスをあげているサイト」

検察官「この日までに何度も見た?」

歌織被告「はい」

検察官「それまでにもメールを送ったことある?」

歌織被告「はい」

検察官「前もあった?」

歌織被告「携帯でやったことはなくて、近くのネットカフェでやっていた」

検察官「で、その日、メールが返ってきた?」

歌織被告「(黙ってうなずく)」

検察官「誰から返ってきたのか?」

歌織被告「主催者かわからないが、サイトの方」

検察官「男性? 女性?」

歌織被告「それもわからない」

検察官「それまでも返ってきているのにわからないのか?」

歌織被告「…わからない」

検察官「シェルターで祐輔さんの暴力の原因を『私が他の男性とメールしていたこと』と書いた覚えは?」

歌織被告「彼が私を殴っているとき、私の携帯を見たり、『どこの男なんだ? 誰なんだ』と言っていたので」

検察側は、祐輔さんの暴力の引き金となったメールが、本当にサイトの関係のメールだったのかを明らかにしたいようだ。しかし、歌織被告は明言を避けた。

⇒(12)「スポーツクラブの男性とメール?」「ありえません」