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第35回公判(2012.3.13) 【最終弁論】

 

(1)弁護側「検察の描くストーリーに過ぎない」 木嶋被告は肘つき落ち着かない様子

木嶋被告

 首都圏の連続不審死事件で練炭自殺に見せかけ男性3人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)に対する裁判員裁判(大熊一之裁判長)は13日、最終弁論が行われる。

 前日の12日の論告求刑公判では、検察側は死刑を求刑した。

 公判では、木嶋被告が婚活サイトで知り合った男性3人を、相次いで練炭自殺に見せかけて殺害した事件を中心に審理が進められてきた。

 当初は練炭自殺と判断され、司法解剖も行われない遺体もあるなど、いずれの事件も物証に乏しい。加えて、木嶋被告は3つの殺人事件については、全面的に否認する。

 検察側は状況証拠を積み重ね、他殺であり、木嶋被告以外の犯行はあり得ないという判断を示した。

 いずれの事件も直前に会っていたのは、木嶋被告であり、現場に残っていた練炭やコンロのメーカーは木嶋被告が購入したものと一致。さらに、ハルシオンやレンドルミン…。睡眠導入剤の成分も、木嶋被告の用意したものと一致していたという状況を、丁寧に示した検察側。

 その上で、ある例えを示した。「夜寝る前には降っていなかったが、朝起きると一面が銀世界になっていた。降っている雪を見たわけではないが、だれかが運んできたとは考えない。常識的には降ったと考えられる」。検察側は、この例を取り上げ裁判員に、間接的な証拠であっても、常識的な判断で木嶋被告の犯行と断定できると訴えた。

 「反省の態度も更正の意欲や可能性も皆無。死刑に処するのが相当だと思います」。検察側は前日の論告をこう締めくくった。

 これに対し、弁護側はどう反論するのか。最終弁論が始まった。

裁判長「それでは審理を始めます」

 裁判長の呼びかけに席を立った弁護士は、証言台の前へゆっくりと歩を進めた。白のカーディガン姿の木嶋被告は、その様子を目で追った。

 弁護側も3件の殺害事件を順に説明していくとみられる。

 起訴状によると、木嶋被告は、

 (1)平成21年8月、埼玉県富士見市の駐車場で駐車中のレンタカーの車内で練炭を燃やし、薬物で眠らせた交際相手の東京都千代田区、会社員、大出嘉之さん=当時(41)=を一酸化炭素(CO)中毒で殺害した。

 (2)21年1月、東京都青梅市のマンション室内で、こんろ6つに入れた練炭を燃やし交際相手の会社員、寺田隆夫さん=当時(53)=を殺害。

 (3)21年5月には、ホームヘルパーとして自宅に出入りしていた千葉県野田市の無職、安藤建三さん=当時(80)に睡眠導入剤を飲ませて眠らせた上で、こんろを使って練炭に火をつけて殺害したとされる。

弁護人「木嶋さんは寺田さんを殺害していません。安藤さんも大出さんも殺害していません」

「不確かなことで処罰することは、あってはなりません。有罪になるのは、常識的に従って間違いがないときだけで、疑問が残るとき、疑わしきは被告人に有利にというのが、刑事事件の大原則です」

 こう切り出し、可能性に合理性を欠くときは有罪認定をすべきではないと訴えた。その上で、まず大出さんの殺害事件の見立てについて疑問をなげかけた。

 大出さんはレンタカーの後部座席で遺体で見つかった。助手席には練炭が燃やされた痕があった。

弁護人「一見すると自殺のようでした」

 練炭近くにはマッチ棒が散乱していたが火をつけた際に使用したとみられるマッチ箱はなく、レンタカーのカギも現場や近くからは発見されず、警察は他殺説を強める。

 そして、ほどなく大出さんが木嶋被告と交際していたことが分かる。さらに別の男性も近い時期に死亡し、練炭が絡んでいた。

弁護人「連続殺人という疑いで木嶋さんは逮捕、起訴されて、裁判になりました」

「3つの事件は、金目的で結婚詐欺をしていた木嶋さんが、関係を断ち切りたいと、練炭自殺に見せかけて殺害したと検察官は主張します。ただ、これは検察官の見立てで、描いたストーリーに過ぎません」

 こう説いた後、弁護側は疑問を呈していく。

弁護人「このストーリーで説明できるものはかなりあります。しかし、すべての事象を説明できるといえるでしょうか」

「例えば、安藤さんの自宅で起こった火災。なぜ起きたのか。納得のいく説明はできていません」

 弁護側は、さらに続ける。

弁護人「このストーリー自体に無理なことはないでしょうか」

 大出さんの殺害現場となったのは、月極駐車場ですぐ隣はアパートだった。

弁護人「その現場で練炭をセットして、順次火をつける」

「仮に立ち去ったとしても死亡するまで時間がかかる。アパートの住民に見つかったり、契約者の車が戻ってきて、警察に通報されれば、殺害は失敗に終わってしまう」

「失敗すれば、大出さんは救出され、たちまち犯人が分かる」

 その上で、証拠についての見方についても、さまざまなものを矛盾なく説明できるだけで犯人と断定すべきではないと裁判員に訴え、再び疑問を呈する。

 大出さんの事件では遺体から睡眠薬が検出されたが、木嶋被告が用意したものと一致。さらに、コンロのメーカーも木嶋被告のもと同じで、検察官は他殺の根拠に挙げる。

弁護人「睡眠薬もコンロも木嶋さんが買ったもの。それは争いはありません。ただ、検察のストーリーではなく、大出さんは自分の睡眠薬を飲み、木嶋さんからもらった練炭に火を付け自殺したというストーリーはないのでしょうか」

 裁判官に次々に訴えていく弁護側。木嶋被告はピンク色のタオルで顔をぬぐったり、机の上にひじをつくなど、落ち着かない様子を見せている。

⇒(2)「異議あり!」弁護側に検察官噛みつく 木嶋被告は無関心