弁護側即日控訴(2010.9.17)

 

押尾被告、即日控訴も墓穴? 量刑さらに重くなる可能性も

押尾被告

 合成麻薬MDMAを一緒に飲んだ東京・銀座のホステス、田中香織さん(30)=当時=を放置して死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、東京地裁の裁判員裁判で懲役2年6月(求刑懲役6年)の実刑判決を受けた押尾学被告(32)。今回の判決文を耳にして「実刑か、執行猶予かよくわからなかった」(弁護団)というから呆れんばかり。検察側の控訴次第で二審は厳しい判決が下される恐れもあり、即日控訴という反抗的な態度をみせた押尾被告が墓穴を掘る可能性も出てきた。

 閉廷後、記者会見した弁護団は、押尾被告の様子について「判決文を聞いたときは、実刑なのか執行猶予なのか分からなかったみたい。接見で実刑判決だと説明したらガッカリしていました」と明かした。

 裁判長の判決理由に対しては検察側の主張した死亡時刻を支持した点、押尾被告にMDMAを譲渡した知人の証言を信用した点に不信感を示し、木谷嘉靖弁護士は「押尾さんは(香織さんに)心臓マッサージをしている」などと話した。

 即日控訴した押尾被告は「控訴審、頑張ります!」と伝え、今後も無罪を訴えていくという。二の東京高裁は市民参加の裁判員の対象ではなく、プロの裁判官が善悪をジャッジする。

 今回の量刑は、致死がつけば懲役3年以上20年以下だが、つかない場合は懲役3月以上5年以下と天地の差。昨年11月に麻薬取締法違反(使用)罪で懲役1年6月、執行猶予5年の判決を受けており、今回執行猶予が取り消されて1年半が加算されて実質“懲役4年”となる。

 日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏(76)は「裁判所は『救命可能性は相応にあった』ことは認めている。最高裁判例を見ても可能性は100%である必要はない。致死は認められるべき」と語る。

 板倉氏によると、弁護側控訴のみだと量刑は今回判決と同じもしくは軽くなる。一方で検察側が控訴すれば再び「致死罪」を争うことになり、より重い量刑が科せられる可能性も。控訴期限は10月1日。検察側の動きが注目される。

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