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(14)「トラックは2コマ記録」防犯カメラ解析の警察庁技官が証言

休廷中の法廷に、加藤智大(ともひろ)被告(27)が再び入廷してきた。加藤被告が無表情なままで被告席に腰を下ろすと、村山浩昭裁判長が公判の再開を宣言した。裁判長が『入廷してください』と促すと、紺色のスーツ姿の男性が入廷した。事件現場付近の防犯カメラが撮影した画像を解析した警察庁の男性技官だ。裁判長は証言台の前に立つ男性技官に宣誓を求めた。

裁判長「名前を明らかにしても支障はありませんか」

証人「はい」

裁判長「では、名前からお願いします」

証人「○○(実名)です」

続いて宣誓書を読み上げる男性技官。はきはきとした口調が法廷に響く。裁判長が検察側に証人尋問を始めるよう促した。

検察官「それでは証人尋問を始めます。証人は事件があった平成20年6月8日の現場付近に設置されていた防犯カメラから(加藤被告が運転して秋葉原の交差点に突っ込んだ)トラックの速度を鑑定しましたか」

証人「はい」

検察官「大学での専攻は?」

証人「工学部です」

検察官「大学院では?」

証人「システム工学を専攻していました」

検察官「博士課程ですか」

証人「いえ、修士課程です」

検察官「どんな研究をしていたのですか」

証人「光情報処理です」

検察官「現在は警察庁の技官ですね」

証人「はい」

検察官「どんな仕事内容ですか」

証人「防犯カメラに記録された画像、特に不鮮明な画像の処理をする仕事です」

検察官「今回はどんな解析方法を用いたのですか」

証人「防犯カメラに(加藤被告が運転していた)トラックの2コマの静止画像が記録されていました。その2コマの距離からトラックの速度を算出しました…」

技官は速度の専門的な解析方法を説明していく。検察官は加藤被告が運転するトラックが高速度で秋葉原の交差点に突っ込んだことを、客観的に証明したいようだ。

検察官「解析は何人で行いましたか」

証人「私を含め3人です」

検察官「3人とも警察庁の技官ですか」

証人「はい」

検察官「3人のそれぞれの役割分担を教えてください」

証人「私がメーンで行い、1人は統括的立場で、もう1人は補助的立場で解析を行いました」

検察官「トラックの静止画像を記録した防犯カメラは、どこに設置されていましたか」

証人「(交差点脇の家電量販店)ソフマップ本館です」

検察官「どの方向を撮影していましたか」

証人「外神田3丁目です。0・8秒間隔で記録していました」

検察官「0・8秒ごとに記録していたのですね」

証人「はい」

検察官は、技官の専門的な知識をかみ砕いて説明させようと、慎重に質問を繰り返していった。

検察官「防犯カメラでは、トラックはどの方向に走っていましたか」

証人「右から左です。2コマ写っていました」

⇒(15)トラックは約43キロで交差点に突っ込んだ…