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(6)夫“不倫”ボイスレコーダー解析の刑事出廷

続いて、被害者の三橋祐輔さんの会話が記録されたボイスレコーダーを解析した新宿署の警察官が証人として出廷した。

証人が宣誓をする間に、証人尋問を終えた祐輔さんの母親が傍聴席に戻った。グレーのハンカチで涙をぬぐい続けた。

検察官「新宿署の警察官か?」

証人「はい」

検察官「経歴を」

証人「平成13年7月に拝命。14年2月に新宿署地域課、18年9月から現在の刑事課に勤務している」

検察官「階級は?」

証人「巡査です」

検察官「事件捜査にかかわったか?」

証人「はい」

検察官「ボイスレコーダーの解析を担当した?」

証人「はい」

検察官「目的は?」

証人「『歌織被告が祐輔さんの不倫を暴くために録音した』と供述したため、祐輔さんの会話内容を明らかにした」

検察官「どのような方法で?」

証人「音声をCD−Rに複製し、パソコンとイヤホンを使って行った」

検察官「他に作業を担当した捜査員は?」

証人「警視庁捜査1課の○○警部補(実名)」

検察官「警部補はどのように解析したか?」

証人「同じようにパソコンとイヤホンを使い、自分の耳で聞いた」

検察官「なぜ同じ作業を?」

証人「突き合わせることで、正確性を高めようとした」

検察官「日数はどれくらいかかった?」

証人「5日間」

検察官「結果を書面にしたか?」

証人「報告書としてまとめた」

検察側が証人に報告書を示す。弁護側も証人の元へ行き、確認する。

検察官「本文と結果一覧という構成か?」

証人「はい」

検察官「本文には何を記載したか?」

証人「日付、氏名、解析物件、解析の経緯です」

検察官「一覧には?」

証人「祐輔さんの会話内容です」

検察官「一覧の1枚目には凡例があり、かぎかっこに不明などと書かれているが?」

証人「『聞こえた、聞こえにくい、全く聞こえない』のどれに当てはまるかを記載した」

検察官「一覧の構成は?」

証人「再生時間や内容を記載した」

検察官「間違いはあったか?」

証人「証人として出廷するに当たり、1カ所あった。3枚目の一番上に『2分26秒』とあるのは『12分26秒』の間違いだ」

検察官「正確に記載したか?」

証人「記載した」

検察側の尋問が終わり、続いて弁護側から質問が行われた。歌織被告は目を閉じたまま。時折、ハンカチを口に当て、せき込む様子を見せた。

弁護人「警察官になってからはどれくらい?」

証人「6年ほど」

弁護人「最初の部署は?」

証人「地域課で交番勤務をしていた」

弁護人「何年ほど?」

証人「約3年間」

弁護人「事件当時、新宿署だったか?」

証人「刑事課に在籍していた」

弁護人「解析は捜査1課の○○警部補(実名)と行ったか?」

証人「はい」

弁護人「捜査を一緒にするのは初めてだったか?」

証人「はい」

弁護人「逮捕前に証人と○○警部補が組んだことはあるか?」

証人「はい」

弁護人「上下関係は?」

裁判長「階級のことですか?」

証人「○○警部補の方が上です」

弁護人「逮捕前から、ここではB子さんとするが、メールの写真などを撮影していたか?」

検察側が『ボイスレコーダーについての尋問のはずだ』と異議を唱える。裁判長は『予断を持って捜査に当たっていたかという趣旨か』と弁護側に質問。うなずく弁護側に『質問を考えるように』と促す。弁護側は『解析に至る経緯についても』と付け加える。経緯が不自然だったと主張したいようだ。

弁護人「最初は別の捜査員が解析していた?」

証人「はい」

弁護人「会話の相手が(祐輔さんの浮気相手だった)B子さんと分かり、あなたと○○警部補が担当するようになったか?」

証人「捜査本部のことなので詳しいことは分からない」

弁護人「解析を行ったのは支給されたパソコンか?」

証人「はい」

弁護人「再生は専用のソフトか?」

証人「ソフトは使っていない。マイコンピュータをクリックし、CDーRをクリックして、音声を聞いた」

弁護人「背後にTVの音や雑音などもあった?」

証人「はい」

弁護人「ソフトを使い、雑音を消したりはしていない?」

証人「ありません」

弁護人「録音時間は?」

証人「約4時間」

弁護人「会話がなかった部分も聞いたのか?」

証人「はい」

弁護人「CD−Rは何枚作成した?」

証人「最初は1枚だったが、効率を挙げるため2枚作製し、それぞれ使用した」

弁護人「凡例では2重かっこが『よく聞き取れない』ということか?」

証人「はい」

弁護人「それ以外は聞こえたと記載?」

証人「はい」

弁護人「固有名詞や地名の間違いは?」

証人「ない」

弁護側の質問が終了。裁判長は『これで終わりですか』と述べ、自ら尋問を始めた。

裁判長「○○警部補と2人で最終的に、検察官から示された報告書だが、最終的にはあなたが書いた?」

証人「はい」

裁判長「○○警部補の役割は?」

証人「突き合わせのためです」

裁判長「警部補が聞いて修正したことは?」

証人「あった。その場合は『はっきり聞き取れない』とした」

裁判長「4時間に5日間かけたということだが?」

証人「ひと通り聞いた日もあるし、わかりにくい部分を巻き戻して聞いたこともある」

裁判長「これまで解析を担当した経験は?」

証人「ない」

裁判長「聞き取りやすかった?」

証人「聞き取りにくい部分もあった」

尋問が終わり、証人が退廷したあと、検察側が示した報告書を証拠採用するかについて議論された。弁護側は『内容について疑問があり。間違いもある』と主張したが、裁判長は『信用性はこちらで判断する』と採用を決めた。

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