第2回公判(2008.3.6)

 

(2)芸能界から抹殺すると言われ…

羽賀被告

弁護人「(被害者とされる)男性も株を買いたいと言ったのか」

羽賀被告「はい。『そんなにいいなら僕も買いたい』と」

弁護人「どうしたのか」

羽賀被告「会社の人を紹介するから自分で買うようにしてほしいと言ったが、男性から『いろいろ動いたけど自分で買うのは困難だった。ケンちゃんの株を譲って』と言われた」

弁護人「あなたは売っても良かったのか」

羽賀被告「売りたくなかった。男性から8000万円の借金をして買ったし、何十倍にもなると思っていたので、右から左に売るのは嫌だった」

弁護人「それでも男性に譲ったのか」

羽賀被告「50株。『3倍で買う。ケンちゃんも損はないだろう』と言われて」

弁護人「最終的には」

羽賀被告「僕が600〜700株買い、男性に270〜280株譲った」

弁護人「その後、医療関連会社はどうなったのか」

羽賀被告「社長から金を貸してほしいとか言われることがあった。後で民事再生になったと聞いた」

弁護人「時期はいつ頃か」

羽賀被告「株を買って何カ月もたっていないころ」

弁護人「社長とはどんな話をしたのか」

羽賀被告「社長は『金を貸してほしい。羽賀さんや周りの人に売った株を買い戻したい。何十億円かで経営協力しようという商社が出てきているから』と言っていた」

弁護人「民事再生の話を聞いてどう思ったか」

羽賀被告「正直、意味がよく分かっていなかった」

弁護人「男性に伝えたか」

羽賀被告「もちろんです。まず電話で、その後大阪に行ったときにも話した」

弁護人「反応は」

羽賀被告「僕と同じような感じ。お互い深く認識していなかった」

弁護人「あなたはそれでいくら損したのか」

羽賀被告「男性が3倍で買ってくれたから、僕的には損はないと思う」

弁護人「男性から株の金の支払いの請求は」

羽賀被告「平成14年ごろにメールで」

弁護人「15年では」

羽賀被告「15年ですか」

弁護人「内容は」

羽賀被告「『金を返してほしい、そうしないと記者会見して君をつぶす』という内容だったと思う」

弁護人「男性の対応についてどう思ったか」

羽賀被告「なんでこんなことするんだろう、と。いつも会っていて、医療関連会社がおかしくなっても『ケンちゃん、ちゃんと返してよ』と言うくらいで飲みに行っていたのに、びっくりした」

弁護人「メールを見てあなたはどう考えたのか」

羽賀被告「怖かった。曲がったことが記事になり、そうなると自分だけでなく母親や周りの人間まで傷つくので…」

 これまでの公判でも、妻や親友で俳優の吉川銀二さんが証言した際、大粒の涙をこぼしていた羽賀被告がこの日、母親の名前を出した直後、おえつをもらした。持っていた白いハンカチで何度も目元をぬぐう。弁護人が「なぜ泣くのか」と涙の理由を尋ねると、羽賀被告は言葉に詰まりながら説明を始めた。

羽賀被告「悔しいから。すべてを…、ごめんなさい、よかれと思ってやったことなのに、取り返しのつかないことになって」

弁護人「怖かったというメールはどういう内容か」

羽賀被告「『いろんな人と相談している。会見を開いて芸能界でやっていけないように抹殺する』という内容だった」

弁護人「どう考えたか」

羽賀被告「すでにテレビなどでいろんな表現をされた経験があり、やっと色々と積み上げてきたので…。僕の説明なんて誰も聞いてくれないし、すごく怖かった。それで電話して、『なんでこんなメールするんですか、1週間前にも会ったじゃないですか』と言った」

弁護人「どう言われたか」

羽賀被告「『元はケンちゃんから話を聞いて、それがパーになった。少しくらい、いくらか考えてよ』と言われた」

弁護人「その後どうした」

羽賀被告「メールに弁護士の名前が書いてあったので、弁護士に電話をした」

弁護人「どんな話を」

羽賀被告「売ってくれと言われたから売った。きちんとするなら誠心誠意対応するので、先生も法的にきちんとしてください、とお願いした。その後、先生とのアポイントがなくなり、またメールが始まった」

弁護人「男性と交渉はしたのか」

羽賀被告「いろんな人が僕の所に来たが、直接話すことはできなかった」

弁護人「男性は弁護士を立てていなかったか」

羽賀被告「弁護士と称する人もいたが、アポを取れなかったり。僕のいるホテルに人が来て暴力団の名前を出されたりもした」

弁護人「相手方の弁護士と話はしたのか」

羽賀被告「4、5回話をして、事務所を訪れた。今まで弁護士と称する人が来たことやメールについて申し訳ない、と言ってくれた」

弁護人「男性が請求している法的根拠について説明されたか」

羽賀被告「知人から『そんな義務はない』と言われていたので、それを弁護士には言った」

弁護人「株式の譲渡関係の書類は誰かに見せたか」

羽賀被告「うちのプロダクションの社長に相談した。すると、プロダクションの顧問弁護士とアポイントを取ってくれた」

弁護人「顧問弁護士は何と言っていたか」

羽賀被告「脅迫や恐喝で告訴するべきだ、と。民事でも勝てると言っていた」

弁護人「勝てる根拠は説明されたか」

羽賀被告「『あなたには支払いの義務はない』『相手がミスしてこちらに言ってきただけ』と言われた。相手方の弁護士は僕のことを心配してくれて、『男性は無謀なことをするから、裁判にするなら和解にしてほしい』と言われた」

弁護人「和解の内容は」

羽賀被告「当時は仕事も調子が良かったので…」

 再び弁護人が答えを遮り、「端的に内容を話して」と促す。

羽賀被告「借りた金の残額に5000万円を上乗せするとなった」

弁護人「顧問弁護士には話したか」

羽賀被告「怒られた」

弁護人「それでも和解をしたかったのか」

羽賀被告「業界(芸能界)のことは自分でよくわかっている。ジュエリーの仕事も信用が必要なので、和解したいと顧問弁護士に伝えた」

弁護人「でも和解は合意しなかった」

羽賀被告「合意できる感触はあった。僕は男性に会いたいと言っていたがキャンセルされ、もう少し上乗せがほしいと言われた。僕は相手方弁護士に、納得がいかないと言った。その後、相手方弁護士から『羽賀さんと交渉できなくなった。解雇された』と言われた」

弁護人「(俳優の)吉川さんとは話をしたのか」

羽賀被告「会ったときに『大阪の極道から追い込みがかかってないか』と言われた」

弁護人「事件からどれくらい前のことか」

羽賀被告「1年半から2年前」

弁護人「どう対応したか」

羽賀被告「彼には知ってほしくなかった。恥ずかしかったので『弁護士を立てているので忘れて』と言った」

⇒(3)死んでもいいくらいにぐちゃぐちゃ