第2回公判(2008.3.6)
(1)1株40万円のはずが5万円だった…
詐欺と恐喝未遂の罪に問われたタレント、羽賀研二被告(46)=本名・當真(とうま)美喜男=の公判で6日、大阪地裁で行われた被告人質問の主なやりとりは次の通り。
午前10時半過ぎに開廷。すでに先月19日に保釈されている羽賀被告は黒いロン毛で、白いタートルネックに黒いジャケットを羽織ったおしゃれなファッションで出廷。裁判長に一礼し、証言席に着席した。
弁護人「共犯として逮捕されて(嫌疑不十分で)不起訴になった男性タレント(俳優・吉川銀二さん)とはいつ知り合ったのか」
羽賀被告「映画の撮影で、今から7、8年前と思う。それから公私ともにお付き合いしている」
弁護人「彼から借金したことはありますか」
羽賀被告「あります。自分も仕事が絶好調というわけではなかったので。初めは500万円足らずで、その後1000万円単位です」
弁護人「金利は」
羽賀被告「銀行金利に等しいくらい。3%くらい」
弁護人「渡辺二郎被告とはいつ知り合ったのか」
羽賀被告「十数年前に大阪のパーティーです」
弁護人「その後の付き合いは」
羽賀被告「僕がバッシングを受けたときに、僕も若かったので叱咤激励してくれた。すごく感謝している」
弁護人「借金は」
羽賀被告「今から1年半前くらいに」
弁護人「今回の問題に絡んでか」
羽賀被告「そうです。それ以外はない。相談したことはあった」
弁護人「どんな相談を」
羽賀被告「億単位の借金があったので、だれか紹介してほしいと言った」
弁護人「どうして渡辺に相談したのか」
羽賀被告「(ボクシングで)世界チャンピオンを何度も防衛していて人脈もあって、事業もいろいろしているという認識があった」
弁護人「借りるのではなく紹介を頼んだのはなぜ」
羽賀被告「億単位だったので。知り合ってすぐに二郎さんにお願いすることはできなかった」
弁護人「その結果は」
羽賀被告「僕自身の安定度がなかった。恋愛の話などでダーティーなイメージがあったし、正義感があってもそうは報道されなかった。貸す方も貸しにくかったと思う」
弁護人「結局借りることはできたのか」
羽賀被告「いいえ」
弁護人「(被害者とされる)男性とはいつ知り合ったのか」
羽賀被告「十数年前。今は亡くなった友人を介して大阪で知り合い、食事や飲みに連れて行ってもらった。大阪に来ると会い、基本的にごちそうになっていた」
弁護人「タニマチか」
羽賀被告「そう表現されても仕方ない」
弁護人「男性はどんな感じだった」
羽賀被告「察するに、良くも悪くも僕はテレビで話題になっていたので、僕を連れて歩いて何かしらの快感を得ていたと思う」
弁護人「男性から借金した経緯は」
羽賀被告「色々相談する中で、知り合って数カ月後に2000万〜3000万円の融資を受けた」
弁護人「返済条件は」
羽賀被告「金利が5〜6%で、月30数万円」
弁護人「医療関連会社の株を購入した経緯は」
羽賀被告「仕事が少しずつ軌道に乗りだした時で、テレビに出る一方、ジュエリーデザインをすることになった。地方での営業では着物やジュエリーの展示会も多く、その中で、メーカーの人が僕の接客態度を見ていて、『本格的にやってみないか』と声をかけてもらった。それで僕は、絵を描けるのでデザインをしたい、と話した」
質問の趣旨と異なる説明を延々と続けようとする羽賀被告。弁護人が「株を買った経緯を端的に話して」とやんわり軌道修正した。
羽賀被告「ジュエリーの仕事が順調になっていたころ、東京の喫茶店で医療関連会社の人と会った。『今度株式を公開する予定で頑張っている。よかったら株を買わないか』と言われた」
弁護人「どんな株だと聞いたのか」
羽賀被告「これからお年寄りが増え医療は大事になる、上場後は成長する、という表現だった」
弁護人「株価については」
羽賀被告「何十倍にもなると」
弁護人「信用したのか」
羽賀被告「僕は株の経験がないし、すごいなと思った。そんな世界があるんだと興味を持った」
弁護人「信用したかどうかを聞いている」
羽賀被告「信用というより、すごいなという感じ」
弁護人「株は簡単に買うことができたのか」
羽賀被告「いいえ、会社の人を紹介すると言われた」
弁護人「いつごろの話か」
羽賀被告「株を買う数カ月前だと思う」
弁護人「医療関連会社の社長とは会ったのか」
羽賀被告「はい。会社に行って、まず、社長が出たテレビ番組や、政財界の人などとの雑誌での対談とかを見せられた」
弁護人「政財界の人とは」
羽賀被告「例えば医療関係に熟知している人や評論家などです」
弁護人「結局株は買ったのか」
羽賀被告「今は売ってあげられる株がないと、何度か断られました」
弁護人「最終的には買いましたね」
羽賀被告「社長の持ち分を1株40万円で売ってもらった」
弁護人「金額の根拠は」
羽賀被告「僕は聞いていない。何十倍にもなると聞いていたので、40万円が高いとか安いとか思わなかった。後々それが8倍の価格と知ったが、言い値で買っていたと思う」
弁護人「8倍と知った理由は」
羽賀被告「社長が別の人に5万円で売っていたから。刑事に株式名簿を見せてもらった」
弁護人「それ以前には知らなかったのか」
羽賀被告「会社が民事再生になったとき、担当弁護士に聞いた。そのときは腹立たしさはなかった」
弁護人「(被害者とされる)男性に借金した経緯は」
羽賀被告「100株を売ると言われていたので、4000万円を用意しないといけなかった」
弁護人「男性にどんな話をしたのか」
羽賀被告「それまで毎月借金を返済していたので信頼されてると思っていた。大阪へ行って細かい話をした」
弁護人「平成13年の初めごろか」
羽賀被告「そう思います」
弁護人「何て言ったのか」
羽賀被告「5000万円の融資をお願いした」
弁護人「実際に話をしたときには何と言われたか」
羽賀被告「『何に使うのか』と聞かれた。細々とある、返済は続けるから、と答えた。以前の借金の残額が1500万〜1600万円あったので、それを差し引いた額を貸すと言われた」
弁護人「どう答えたのか」
羽賀被告「足りないと答えた。そうすると『何に使うのか』と聞かれたので、ある会社の株を買うつもりなので是非貸してほしい、差し引いたら足りなくなると頼んだ」
弁護人「最終的にいくら借りたのか」
羽賀被告「8000万円」
弁護人「差し引きを入れると6500万円か」
羽賀被告「そうです。それで医療関連会社のことを男性に話した」