(1)鈴香被告の元交際相手が出廷
秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた畠山鈴香被告(34)の第3回公判が1日午前10時7分、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開廷した。
鈴香被告のこの日の服装は襟の立った白の長袖シャツと黒のパンツ。シャツは肘の手前まで折りたたんだ状態で腕まくりしている。うつろな目で正面を見据えながら、傍聴席から向かって右側の長いすに腰を下ろす。
しかし、まもなく最初の証人が入ってくると、うつむき、視線を下に向ける鈴香被告。目の前に立ったのは、以前勤務していたパチンコ店の同僚で、逮捕前まで交際が続いていた男性だった。
スーツ姿で証言台に立った証人に、検察官が質問を始める。
検察官「平成12年ごろから交際を始めましたね」
証人「はい」
検察官「勤務先では社内恋愛を禁じられていたが、どちらから誘ったのか」
証人「鈴香です」
鈴香被告と証人は15年ごろには結婚話が持ち上がっていたが、証人側の両親の反対があり、立ち消えになったという。
しかし、その後も交際を続ける2人。
2人の間にすきま風が吹き始めたのは、それから1年ほど経過した16年秋ごろのことだったという。
検察官「なぜ、関係が悪くなり始めたのか?」
証人「鈴香が、お金に汚く身勝手でわがままなところがあったから」
検察官「お金に汚いとは?」
証人「貸した金が返ってこなかったり、たまにお金が無くなっていたり」
検察官「お金を貸していたというのは?」
証人「パチンコ代という形で貸していた」
検察官「何回ぐらいお金が無くなっていたのか?」
証人「明確なのは1回」
検察官「どういう状況か?」
証人「飲食をして、鈴香の家に泊まった後、財布の中身が足りないことに気付いた」
検察官「いくらぐらい?」
証人「1万円です」
証人はさらに、17年1月ごろ、証人のキャッシュカードが無くなり口座から金が引き出されていた件にも言及する。
証人によると、冬のボーナスが入ってまもないころだという。
証人「キャッシュカードが無くなり、警察に相談したことがあった。警察からは、この人じゃないかという写真を見せてもらった。フードに隠れていたが、鈴香に似ていた。暗証番号は1回で入れられ、25万円が引き出されていた」
検察官「暗証番号は1回で入れられていたと言うが、どのような番号にしていたのか?」
証人「鈴香の誕生日です」
この日の公判では、鈴香被告の長女、彩香ちゃん=当時(9)=の担任だった女性や、近隣住民ら6人が証人として出廷した第2回公判に引き続き、夕方にかけて計4人の証人尋問が行われる予定になっている。