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(2)「性生活拒むと浮気を疑われた」「暴行は部屋中引き回し」

祐輔さんの暴行について、歌織被告への弁護人の質問が続く。歌織被告は、小さな声だが質問にはハキハキと端的に答えた。

弁護人「その後、祐輔さんの行動は?」

歌織被告「私の実家の母に電話をかけ、母に説明して謝って『二度としない』と母に約束した」

弁護人「祐輔さんの暴力があって、生活に変化は?」

歌織被告「私自身そのことがあって、そのことだけではなく結婚前からの不信感もあって、性生活を拒むようになった」

弁護人「性生活を拒むようになったことで、祐輔さんに変化は?」

歌織被告「何かにつけて、私が浮気をしているとか色々なことを聞いてきた」

弁護人「電話を制限したりなどの束縛は結婚当初からあったのか?」

歌織被告「はい」

弁護人「束縛とはどんなことがあったのか?」

歌織被告「私は週末にスポーツクラブに通っていたが、『本当に行っているのか、本当は違うのではないか?』と疑ってきて、私を迎えに来るようになったり、私がアクセサリーを身につけると、『いつ買ったんだ?』とか一つひとつチェックしたり、テレビで知ったお店の話をしたりすると、『どうやって知ったんだ?』とかしつこく聞いたり、私が読んだりする本や身につけるものまでうるさく言うようになった」

弁護人「結婚当初は働いていたのか?」

歌織被告「はい」

弁護人「あなたが働くことについて祐輔さんは何と言っていた?」

歌織被告「とにかく『会社に男はいるのか、何人いるのか?』と何かにつけて、『男、男』とうるさかったり、私が『仕事が楽しい』と言うと、『結婚している女になぜ、そんな仕事をさせるんだ』と言って、働くことに理解を示してくれなかった」

弁護人「仕事は続けたのか?」

歌織被告「結局やめた」

弁護人「祐輔さんの干渉は結婚後も続いた?」

歌織被告「はい」

弁護人「武蔵小山に引っ越してからも、祐輔さんから暴力を受けることはあった?」

歌織被告「はい」

弁護人「原因は?」

歌織被告「(引っ越し先の)水道が使えないことだった」

弁護人「祐輔さんにどういう風に言われた?」

歌織被告「『(歌織被告が)手続きをしないからだ』と言ったが、私はちゃんとしたので、水道局に電話して確かめると前に住んでいた人の未納が原因だった。でも彼は、『ちゃんと手続きしていないからだ』と私を押し倒して殴ったりした」

弁護人「暴行は具体的にどんなもの?」

歌織被告「ベッドや床に押し倒して、私に馬乗りになって殴られたり、首を絞められたり、髪の毛を捕まれて部屋中を引き回されたりした」

弁護人「暴行を受けてあなたはどうなった?」

歌織被告「腰が抜けたように動けなくなって、『まさかこんなことが起こるはずはない』と目の前の現実をどこかで否定している感じだった」

弁護人「翌朝、祐輔さんはどういう行動を取った?」

歌織被告「彼も自分のやったことに驚いている様子で、『酒に酔って覚えていない』と謝り続けた。しかし、私が『許せない』と言い続けて口論になった。そういう状態が続き、(祐輔さんが)何の断りもなしに彼の友人を呼んだ」

弁護人「友人を呼ぶことについてどう思った?」

歌織被告「夫婦の問題にどうして第三者が立ち入って来るのか分からないという気持ちと、早く友人に帰ってほしいという気持ち、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった」

弁護人「友人が来てどうなった?」

歌織被告「友人も一緒に謝ったり、説得したりしてその場をごまかされた」

弁護人「その後、祐輔さんの暴力やお酒の飲み方で変化はあった?」

歌織被告「はい。少しずつ。暴力もお酒の飲み方もエスカレートして、平成15年の暮れぐらいには暴力が習慣的になった」

この頃から、暴行を振るわれていた当時のことを思い出したのか、歌織被告は涙声に。それでもしっかりとした口調で、詳しい暴行の様子を話した。

弁護人「(祐輔さんから)逃げようとしたことは?」

歌織被告「何度もした。逃げられたこともあるし、彼に捕まったこともある」

弁護人「家出するとどこに行った?」

歌織被告「ホテルに何度か逃げ込んだ」

弁護人「家出すると、彼はどんな行動を取った?」

歌織被告「連れ戻すために飼っていた犬を使ったり、友人を使って説得したり、彼が書いた誓約書を私に見せて連れ戻してしまった」

弁護人「祐輔さんは逃げようとすると、どういうことをするのか?」

歌織被告「家にある紐やタオルやベルト、布団など縛れるものを使って、何重にも縛って逃げられないようにしたり、私が声を出せないよう口だけでなく顔ごと結ばれたり、銀行の通帳やカードも取り上げられたりした。あとは友人にいきなり電話をして来てもらって説得や謝罪をしたり、実家のご両親や以前付き合っていた彼女に電話をして、私がヒステリックになって家出しようとしていると伝えて、その場を混乱させて逃げられないようにした」

⇒(3)「服脱がされ、あちこち『においチェック』」