(7)不倫相手に「妻にばれたかも」「一緒になろう」
祐輔さんの不倫相手への証人尋問が続く。2人の交際が歌織被告にばれていないか、祐輔さんが気にしていた状況が浮き彫りになった。
検察官「(平成18年)12月11日の夜に祐輔さんからメールがあった?」
証人「午後7時くらいにあった」
検察官「内容は?」
証人「歌織被告から連絡があったかどうか聞いてきた」
検察官「それに返信はした?」
証人「『連絡はないけれども、なんでそういうことに?』と返信した」
検察官「これに対して祐輔さんから返信は?」
証人「交際がばれたかもしれないという内容だった」
検察官「そのメールを見てどう思った?」
証人「そういう事態になってしまったのかと」
検察官「その後は祐輔さんと連絡は取った?」
証人「電話で」
検察官「どんな内容か」
証人「『どうもばれてしまったような気がする。(歌織被告が)電話するかもしれないけれど気にしなくていいから』と言われた」
検察官「12月12日の未明には会ったのか」
証人「午前1時を回っていたと思う」
起訴状によると、祐輔さんが自宅で殺害されたのは12月12日午前6時ごろ。その数時間前に、2人は会っていたことになる。
検察官「外で会ったのか」
証人「はい」
検察官「その後どこに行った」
証人「私の家に行った」
検察官「家ではどんな話をしたのか」
証人「『君のことは妻に特定されていると思う。妻は気が強くて君に危害が加えられるのが怖い。もう会わないほうがいい』と言われた」
検察官「祐輔さんはどんな様子だったのか」
証人「酔っぱらっていたが、落ち着いている様子だったと思う」
検察官「どうして特定されたのかは話したか」
証人「理由は分からない」
検察官「もう会わない方がいいと言われてどうしたのか」
証人「もう会えないのはつらいから、祐輔さんを説得した」
検察官「祐輔さんは考えを改めた?」
証人「はい」
検察官「祐輔さんが帰るときにどんなことを話していたのか」
証人「『絶対一緒になろうね』と言われた」
検察官「そのとき、祐輔さんに対してどう思った?」
証人「うれしいと思った」
検察官「祐輔さんが帰った後は連絡はあった?」
証人「電話がかかってきた」
検察官「電話ではどんなことを話したのか」
証人「また『一緒になろう』と言われた」
検察官「祐輔さんと連絡を取ったのはそのときが最後か」
証人「はい」
ここで弁護側の質問に移る。弁護側は不倫相手との不適切な関係を事細かに問いただす。歌織被告はときどき気だるそうに首をかしげ、証人をみつめた。
弁護人「祐輔さんとは18年の11月中旬ころに知り合ったのか」
証人「はい」
弁護人「12月11日までに5回くらい会った?」
証人「はい」
弁護人「11月19日の飲み会で知り合って、証人の自宅で男女の関係になったのか」
証人「そうです」
弁護人「その次に会ったのは21日で、また肉体関係があった?」
証人「はい」
弁護人「24日は証人の自宅で話をしただけで祐輔さんは帰ったのか?」
証人「はい」
弁護人「30日には祐輔さんが証人の自宅に来て1時間くらい話して帰ったのか」
証人「はい」
弁護人「次は12月7日。祐輔さんは証人の自宅でくつろいで帰った?」
証人「はい」
弁護人「そして最後が12月11日」
証人「はい」
弁護人「日中にデートをしたことは」
証人「ない」
弁護人「2人が知り合った飲み会で、祐輔さんは『いい会社に勤めているので金には困っていない』というような自慢をしていたか」
証人「はい」
弁護人「『最近は金遣いが荒くて、妻に怒られている』とも?」
証人「はい」
弁護人「祐輔さんが借金を抱えていたことは知っていたか」
証人「いいえ」
弁護人「祐輔さんが歌織被告とよくけんかをしていたことは聞いていたか」
証人「はい」
弁護人「あなたの祐輔さんに対する印象は。酒ぐせは悪かった?」
証人「そんなに感じない」
弁護人「女ぐせが悪い印象は?」
証人「そんなことはない」
弁護人「周りの話では?」
証人「ない」
歌織被告は目をつぶっており、感情は読み取れない。弁護側はさらに、祐輔さんの不適切な女性関係がほかの女性に対してもあったことを浮かび上がらせようと、質問を続ける。
弁護人「結婚してからあなたと交際するまでに、祐輔さんが奥さん以外と交際していたことについて聞いたことは?」
証人「仲良くしていた女性がいたことは聞いている」
弁護人「どの程度?」
証人「肉体関係も含め、恋人のような感じだったのかな、と」
弁護人「時期は?」
証人「(つき合う)直前にいるようなことをほのめかしていた」
弁護人「関係は終わっていた?」
証人「聞いた範囲では。『君に悪いから会わないようにする』と」
祐輔さんの不倫相手だった、この女性証人への尋問は30分あまりで終了。午後3時5分まで、約1時間の休廷が告げられた。