(12)「窮屈、楽になりたい」と祐輔さん同僚に
引き続き、祐輔さんの元同僚への質問。証人は祐輔さんと同い年で、プロジェクトで一緒になったことから親交が深まったという。
検察官「離婚について祐輔さんから聞いたのは?」
証人「2006年のプロジェクトのとき。平成18年だ」
検察官「『別れたい』というのは聞いた?」
証人「18年の10月くらいに」
検察官「それ以前は言ってない?」
証人「キャッシュカードを取り上げられたことや、携帯電話の履歴を見られることで『窮屈だ』と話していた。それ以前には(聞いていない)」
検察官「『別れたい』と話す頻度は?」
証人「仕事が忙しかったので、飲みに行くのも頻繁ではなかった。18年10月にプロジェクトが終わって飲みに行く頻度が高くなり、その都度聞くようになった」
検察官「原因については?」
証人「『いろんな意味で窮屈だ。楽になりたい』と」
検察官「すぐに離婚すると思ったか?」
証人「最初はそう考えていると思った。18年11月に『離婚したい』と聞いた」
検察官「先ほど、『18年10月に言い出した』と聞いたが、ふんぎりは(ついたのだろうか)?」
証人「10月の時点では漠然としたイメージとしてとらえているようだった。11月の飲み会では明確だった」
検察官「18年10月に離婚に踏み切れない理由については(どう思うか)?」
証人「やはり公正証書。(離婚した際に祐輔さんが歌織被告に支払う)3600万円について『どうしよう』と、その都度言っていた」
検察官「祐輔さんが離婚を断言したのは?」
証人「先ほども申し上げたが、11月にあった同僚の送別会で、『帰って言うんだ』と」
検察官「日付は?」
証人「記憶で言えば18年11月22日」
検察官「離婚を断言したことを聞いてどう思った?」
証人「『本気だな』と」
検察官「なぜ?」
証人「(それまで離婚の話は)笑いながらや、話の流れの中だったが、そのときは主題が離婚だった」
検察官「そのときに証人は祐輔さんに何か尋ねたか?」
証人「家庭の話なので。しかし、『本気か?』と聞いた」
検察官「公正証書にある3600万円について確認したことは?」
証人「過去聞いた中で、慰謝料的な3600万円があると。『1回では払えない。分割で払う』と(言っていた)」
証人から祐輔さんの言葉を聞いた歌織被告は顔を背け、うんざりした様子で苦笑いを浮かべた。
検察官「本気と感じたか?」
証人「はい」
検察官「3600万円を払えると(思ったか)?」
証人「支払っていくには、期間が与えられれば可能だと。それにボーナスが12月に支給され、まとまった資金が入るので」
検察官「何かアドバイスしたことは?」
証人「遅くまで飲み、本気だと思ったので、『酔った勢いで言わない方がよい。しらふのとき、週末の方がよい』と(伝えた)」
検察官「それを聞いた祐輔さんは?」
証人「『分かった』と」
検察官「(その後、離婚を)切り出したかは確認したか?」
証人「特段、私はしていない」
検察官「(実際に切り出したかについて)聞いたことは?」
証人「聞いたことは(ない)。『タイミングが合わなかった』と聞いた。『見つけている(探している)』と」
検察官「(祐輔さんが歌織被告に)取り上げられたキャッシュカードについては?」
証人「『12月の第1週に取り戻した。(離婚を)現実的に進めたい』と(聞いた)」
検察官「なぜ取り戻せたかは?」
証人「理由は聞いていない」
検察側の主尋問が終了。歌織被告は弁護士からメモを受け取り目を通していた。