×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

初公判(2012.1.10)

 

(8)“自殺”は不審点ばかり…400万引き出されていた

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で練炭自殺に見せかけ男性3人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)に対する裁判員裁判の初公判(大熊一之裁判長)は、午後の3回目の休憩を挟んで、審理が再開された。

 大出嘉之さん=当時(41)=殺害事件についての集中審理が続けれている。大出さんは平成21年8月に埼玉県富士見市の駐車場で、レンタカーの車内で遺体で発見された。助手席には練炭が置かれ、自殺に見せかけられたとされる。

 検察側の証人として最初に出廷した大出さんの遺体を発見した県警東入間署の鑑識係員への尋問が続く。

 まず、左陪審の女性裁判官のすぐ隣の男性裁判員が実際に鑑識係員に疑問をぶつけた。

 遺体が発見された車内には、車のキーや遺書に加え、マッチを擦る箱もなかった。鑑識係員は、公判でキーを探すため、車の下や駐車場を調べたと証言していた。ただ、ドアの下にはマッチが2本落ちていたがそれには気づかなかったという。

裁判員「駐車場や車の下を調べられたのならば、マッチにも気付くはずではありませんか。矛盾しているのではありませんか。疑問が残りますが、どうですか」

証人「その時点では車のカギが見つかっておらず、そのことに意識が集中していました」

裁判員「実際にはマッチは落ちていたが、(あくまでも)気付かなかっただけということですか」

証人「はい」

裁判員「ありがとうございました」

 ほかの裁判員からの質問はなく、左陪席の女性裁判官の質問に移る。

 弁護側は、大出さんが死亡したことは争わないが自殺だと主張している。車内になかった車のキーやマッチ箱は、県警が周囲の捜索を尽くしていないために見つからなかっただけだと主張している。

 女性裁判官は周囲の捜索状況を尋ねる。

裁判官「自分自身で周囲を確認したのですか」

証人「私も探しましたが一緒に(現場に)向かった同僚らも調べました」

 続いて、女性裁判官は鑑識係員が、大出さんの自宅に行った後、他殺の印象を深めたと証言した点も尋ねる。

裁判官「他殺の印象を深めた理由を教えてください」

証人「自宅に行き、おかしいと思いました。(大出さんの)お兄さんの話と現場の状況が食い違っていましたし…」

 大出さんは、女性と旅行に行く話があり、実際に着替えやトラベルセットを購入したレシートも発見された。

証人「しかし、現場からはそれら(トラベルセットや着替え)は見つかっていませんでした。どこにいったのか」

 さらに、預金通帳も他殺説を深めることになったという。通帳から、4百数十万円が直近の1、2週間の間に引き出されていたことが分かった。

証人「お兄さんは『弟はそんなに金遣いが荒くない。おかしい』と言っており、ますます嫌疑を深めました」

裁判官「通帳を見てあやしいと」

証人「はい」

裁判官「(公判では)パソコンの話もしていましたね。自殺サイトの閲覧もなく、女性とのやりとりもあったと。そのことも判断に関係したのですか」

証人「その時点では、女性が被疑者だとは考えませんでしたが、何らかの(事件との)関係はあるとは思いました」

 続いて、右陪席の男性裁判官が質問をする。鑑識係員は公判で、上司にも車のキーを探すように進言していたと証言した。

裁判官「上司に話したのは、いつですか」

証人「(大出さんの自宅の捜索に向かうために)現場を離れる前です。署に車を運ぶ前に話をしました」

 裁判官からの質問も終了した。

裁判長「検察官、弁護人、双方よろしいでしょうか。では、ごくろうさまでした」

 大熊裁判長は、鑑識係員に退廷を促した。

裁判長「本日の審理は以上です。明日は午前10時から、この法廷で始めます」

 木嶋被告は、裁判長に一礼した後、疲れた様子も見せずに髪をかき上げた。

⇒検察側冒頭要旨