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初公判(2012.1.10)

 

(6)練炭や着火剤…目の前の殺害道具にうなずく

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で練炭自殺に見せかけ男性3人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)に対する裁判員裁判の初公判(大熊一之裁判長)は、午後1回目の休憩を挟んで再開された。

 引き続き、平成21年8月に埼玉県富士見市の駐車場で駐車中のレンタカーの車内で練炭を燃やし、薬物で眠らせた交際相手の大出嘉之さん=当時(41)=を一酸化炭素中毒で殺害した事件について審理が進められる。検察官側は、第3次と題し、さらに詳細な冒頭陳述を始める。

 検察官は、第3次冒頭陳述の位置づけを裁判員に分かりやすく説明。裁判員には事前に、各事件ごとの要点を記した紙が配られている。紙には、それぞれチェック項目が記されている。

検察官「(配った紙は)検察官が立証しようとするロードマップのようなものです。検察官の主張が認められると判断した場合にチェックを入れるなどしてお使いください」

 検察官は、こう前置きした後、第3次冒頭陳述の中身に入った。検察官は大出さんの遺体が発見された状況から説明していく。

検察官「平成21年8月6日の午前7時ごろ、大出さんのご遺体が発見されました」

 発見場所は、月極駐車場。周囲にはゴルフ用品店や畑、アパートなどがあったと検察官は細かく説明していく。遺体は、レンタカーの車内だったという。

検察官「後部座席の右側で姿勢は身体をやや左に傾けた状況で、大出さんのご遺体は発見されました」

 助手席には、練炭コンロに、練炭、着火剤24個のほか、マッチ棒も数本落ちていたという。練炭には燃焼した跡があった。助手席ドアの外にもマッチが2本落ちていた。

 各ドアは施錠され、窓も閉まっていた。助手席の後部座席の足下には、携帯電話や財布、タバコが入った紙袋もあったという。検察官は続いて、捜査状況の説明に入る。

 初動捜査は埼玉県警東入間署が担当した。急行した鑑識係は一見すると練炭自殺だと思ったという。ただ現場には遺書はなく、窓には目張りがない。そして車のカギはなく、眠るための睡眠薬を服用したような跡もない。さらに、練炭を燃やしたとみられるマッチ棒を擦って火を付ける箱さえもない。

検察官「自殺とするには不自然な点が多いと、(鑑識係員は)上司に報告しました」

 報告を受けた刑事も練炭は助手席にあるのに、遺体は後部座席にあることなどを不審に思い、さらに捜査した。

検察官「現場周辺でも車のカギやマッチ箱などは見つかりませんでした」

 さらに、大出さんの自宅の捜索でも、遺書は見つからず、重要なカギを握る大出さんが走り書きした紙を見つける。

 紙には、大出さん自らが、レンタカーを借りる際に必要なものを忘れないように記していた。さらにそこには「お土産」と書かれていた。だが、実際の車内からは「お土産」は発見されていない。検察官は木嶋被告が持ち去ったと立証したいようだ。

検察官「パソコンには被告人とのメールのやりとりがあり、交際していることが分かった。当日の状況を踏まえ、自殺ではなく、他殺と判断した」

 検察官の軽快な声が響く。木嶋被告は表情を変えない。検察官は、その後の捜査経過を説明し、第3冒頭陳述を終えた。すると、ここで弁護人から異議が唱えられた。

 検察官が配った紙にチェック欄があり、検察官の立証が正しいと思ったときなどは印をつけるなどしてほしいとした点について攻撃する。弁護人は、弁護人の反証や、その後の裁判員の評議を経て事実が認定されるべきであり、チェック欄に印を付けることは、削除すべきだと主張した。

検察官「あくまでも便宜上のことであり、チェックを強制するものではない」

 検察官は反論し、大熊裁判長も、検察官の意見に乗り、弁護人の異議を却下した。

 続いて、検察官が第3冒頭陳述を裏付ける証拠を裁判員に提示する。現場の写真や見取り図、所持品の中身のほか、実際の大出さんの遺体の写真も示す。

 さらに、練炭コンロや練炭、着火剤は実物を裁判員らに示す。そして…。

検察官「被告にも示します」

 検察官は、木嶋被告に殺害に使ったとされる道具を目の前で示す。木嶋被告は「うんうん」と軽くうなずいただけで、無表情を貫いている。そして、再び休廷に入った。

⇒(7)「自殺する人わざわざ車の鍵捨てない」鑑識のベテラン証言