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第4回公判(2010.9.9)

 

(5)「出動まで1分」「六本木ヒルズまで2、3分で到着可能」 救急隊員が証言

押尾被告

 保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第4回公判。引き続き、麻布消防署の救急隊員の証人尋問が行われている。

 検察官は救急隊員に、現場となった六本木ヒルズのマンションから、麻布消防署が7回救急搬送したことがあるとする証拠について確認した。

検察官「あなたが関与して作成したものですね」

証人「はい」

検察官「このなかに3次救急事案はありますか」

証人「すべて2次救急事案です」

 3次救急とは、重症度や緊急度が最も高い傷病者を扱う事案で、救命救急センターに搬送。2次救急とは、3次に比べ重症度、緊急度が高くない傷病者を扱う事案とされる。

 押尾被告はボールペンを持ったまま、弁護人同士が小声で相談している姿を見つめている。ここで山口裕之裁判長が質問した。

裁判長「ちょっといいですか。いま、『2次救急事案』といわれたが、照会の『3次救急か否か』という質問では『職務上支障があるから回答できない』と回答しています。これはどういうことですか」

証人「この時点では、捜査照会をどのように使うか分からなかったので、個人のプライバシーもあり、そのように回答しました」

裁判長「分かりました。ありがとうございました」

 1人目の救急隊員の証言が終わったようだ。押尾被告は髪をかきあげ、ボールペンでノートにメモを取った。

裁判長「次の証人、どうぞ」

 次の証人は事件当時、麻布消防署に勤務していた救急救命士だ。スーツ姿の男性が入廷し、はっきりとした力強い口調で宣誓した。押尾被告は山口裁判長の方を見つめている。

裁判長「これから検察官、弁護人があなたの話を聞きます」

証人「はい」

検察官「あなたは東京消防庁の救急救命士ですね」

証人「はい」

 検察官は男性の経歴を確認していく。男性は昭和46年に東京消防庁に入庁。平成4年に救急救命士の資格を取得し、平成15年12月から21年10月まで麻布消防署に勤務。現在は八王子消防署由木分署に勤務しているという。

検察官「あなたは平成21年8月2日、田中香織さんが六本木ヒルズのマンション23階の部屋で亡くなったことを知っていますか」

証人「はい。報道で知りました」

検察官「当日は麻布消防署に勤務していましたか」

証人「当日、勤務しておりました」

検察官「麻布消防署は(事件のあった)六本木ヒルズのマンションに最も近い消防署ですか」

証人「一番近い消防署です」

 続けて検察官は119番通報から救急車出動までの一般的な流れを質問した。

検察官「指令室に入った出動要請をどのようにして知ることができますか」

証人「消防署にいれば(拡声器から聞こえる)肉声で知ることができます。出動先では救急車の無線で聞くことができます」

検察官「出動指令が出るまでにすることは何ですか」

証人「まず、指令を受けた場所、建物名、階層を確認します。救急要請の概要と出動順路を確認し、ヘルメットと感染防止の上着を着用して救急車に乗り込みます」

検察官「酸素マスクなどの機材はどうするのですか」

証人「救急車に積載してあります」

検察官「ワンセットだけですか」

証人「予備の機材もあります」

検察官「出動指令を受けてから救急車の発進まで、どのくらいで出動できますか」

証人「大体1分くらいです」

検察官「現場となったマンションに救急救命したことがありますか」

証人「何回かあります」

 押尾被告は右手で顔をかいた。

検察官「どのような経路ですか」

証人「通常、消防署前の通りを右折して…」

 救急隊員が経路の説明を始めた。左から3番目の男性裁判員は道順を想像するかのように、目線を斜め上に向けて説明を聞いている。

検察官「麻布消防署の前の通りには信号が3つあります。信号機が赤のとき、救急車は通過できますか」

証人「できます。信号の前で一時停止して安全を確認し、徐行して通行します」

検察官「(現場に行くまでの)道路の幅はどのくらいですか」

証人「片側で相互通行することが可能です」

検察官「片側1車線ということですね」

証人「そうです」

検察官「時速何キロくらいで走行しますか」

証人「40キロ以下で走行可能です」

検察官「麻布消防署から現場のマンションまで500メートルくらいあるかと思います。救急車を走らせると大体どのくらいかかりますか」

証人「2〜3分かかります」

検察官「事件があったのは8月の日曜日の夕方です。日曜日の午後6、7時ごろの道路状況を考慮しても2〜3分で到着可能ですか」

証人「スムーズに通行できれば可能です」

検察官「8月の日曜日の現場の道路状況はどうですか」

証人「日曜日は車両が少ないので、スムーズに走行可能です」

 救急隊員は、はっきりとした口調で質問に答えていく。押尾被告はうつむいたまま、証言を聞いている。

⇒(6)「スムーズでないときとの差は2分」救急搬送に要する時間 隊員証言