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第4回公判(2010.9.9)

 

(10)六本木ヒルズの緊急対応 「異常発報から3分で到着」と防災センター職員

押尾被告

 保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第4回公判は約30分の休廷後、再開された。入廷した押尾被告は弁護人の横の席に深く腰掛けた。続けて2人の裁判官と6人の裁判員が入廷。山口裕之裁判長が審理の再開を告げた。

裁判長「再開します。次の証人、入ってください」

 次の証人は現場となった東京・六本木ヒルズのマンションの防災センター職員だ。水色の長袖シャツに灰色のズボン姿の男性が入ってきた。押尾被告は何かメモを取った。男性は早口で偽証しないことを宣誓した。

検察官「あなたは六本木ヒルズのマンションの防災センターの職員を平成15年から勤めていますね?」

証人「はい、オープン当初から勤めています」

検察官「主な役割は何ですか」

証人「今回のようなことへの対応です」

検察官「今回のようなこととは、マンションで傷病者が出るような救急事案のことですね」

証人「はい」

検察官「六本木ヒルズのマンションの設備を教えてください」

証人「非常用の際のインターホンのほか、トイレや風呂場に非常ボタンがあります」

検察官「非常ボタンが押されるとどうなりますか」

証人「救急対応をします」

検察官「では、防災センターがどのような行動を取るか教えてください」

証人「非常ボタンが押されると、倒れた人がいることが前提で部屋に向かいます。非常用の持ち出し袋とAED(自動体外式除細動器)を持って行きます。また、救急隊の動線を確保します」

検察官「非常用持ち出し袋とAEDは1人で運ぶのですか」

証人「2人で部屋に向かいます」

検察官「動線の確保とは」

証人「エレベーターを確保したりドアを開けたりする人がいます。非常用のエレベーターを手動運転にし、救急専用で動かせるようにします」

検察官「このほかの部署の動きはどうですか」

証人「常駐している看護師に連絡が入ります」

検察官「防災センターの職員は、(非常ボタンが押されるなどの異常の)発報があった場合、部屋に向かうのですね」

証人「はい」

検察官「所要時間は大体どのくらいですか」

証人「おおよそ3分で部屋に到着します。エレベーターで時間がかかっても、5分以内に到着します」

検察官「年間の発報件数はどのくらいですか」

証人「非常ボタンを押された回数は100近くあると思います」

検察官「そのたびに出動するのですか」

証人「確認が取れるまでは、人が倒れていることが前提で動きます。100回鳴ったら100回動きます」

検察官「あなたは通算で何回くらい部屋に行ったことがありますか」

証人「100回以上だと思います」

検察官「本当に倒れているとはかぎらない誤報などを除くと、何件くらいになりますか」

証人「20〜30件はあったと思います」

検察官「119番通報があった場合の対応を聞きます。フロントから119番通報した場合はどうなりますか」

証人「フロントから連絡があります。防災センターでは救急車を迎える作業の段取りになっています。救急車を誘導し、われわれが室内までの動線を確保します」

検察官「扉を開け、非常用のエレベーターをすぐ乗れるようにするのですね?」

証人「そうです」

検察官「では、室内から携帯電話などで119番通報があった場合では、救急センターはどう把握するのですか」

証人「警備員の発見がほとんどです。その場からの対応になります」

検察官「巡回している警備員ですか、防犯ビデオを見ている中央監視室ですか」

証人「中央監視室のカメラでの確認が多いですね」

検察官「巡回中の警備員が発見することもありますか」

証人「あります。部屋を確認し、防災センターに一報を入れることになっています。警備員はPHSを持ち歩いているので確認したら即時に連絡があります」

検察官「連絡があったらどうしますか」

証人「動線確保に動き、救急隊を直接誘導することになります」

検察官「あなたは8月2日午後9時28分ごろ、赤坂消防署の救急隊が到着した当時、防災センターに勤務していましたね」

証人「防災センター内で勤務していました」

検察官「当日の経緯を説明してください」

証人「救急車が到着したと警備員から防災センターに連絡があり、対応しました」

検察官「非常用のエレベーターを待つことになったという話があります。何かご存じですか」

証人「非常用のエレベーターの確保には特に時間はかからなかったと思います。ただ、誘導に時間がかかったとは聞きました。もう今はいなくなった方のことなのであまり言いたくないのですが、対応が遅くなったと。イレギュラーなことです」

検察官「どなたですか」

証人「警備員の方です。今は辞められ、こちらにいない方です」

検察官「何をどう手間取ったのですか」

証人「部屋番号を確認し誘導し、車をつけるのに手間取りました。われわれに連絡するにも時間がかかりました」

 押尾被告は素早くメモを取っている。

検察官「当日の行動は?」

証人「部屋やエレベーターのカギを準備したら救急隊が来ていたので一緒に部屋に向かいました」

検察官「動線の確保はされていましたか」

証人「われわれが救急隊を連れて行ったので、動線確保は行われていません。カードキーが必要な扉はわれわれが解錠しました」

検察官「動線が確保されていたら開いている扉ですか」

証人「開放状態になっていて、即通れる状態です」

検察官「あなたは救急隊を直接案内したことはありますか」

証人「幾度もあります」

検察官「あなたはAEDを使ったことはありますか」

証人「AEDを使用したことはありません。倒れている人がいた場合は、消防隊か常駐している看護師が行います。私自身はありません」

検察官「(現場に向かい)既に亡くなっていた事案は過去にありましたか」

証人「はい、ございます」

検察官「どんな事案でしたか」

証人「時間がたっていたケースです。『連絡が取れないので確認してほしい』と連絡があって向かいました。死後1日くらいだったと思います」

検察官「8月2日は部屋の中に入りましたか」

証人「救急隊は部屋の中に入りましたが、われわれは部屋の外で待っていました。現場は見ていません」

 続けて、弁護人が反対尋問を始めた。

弁護人「救急車をどこに止めるかはあらかじめ決まっているのですか」

証人「もともと止める場所があり、そこに誘導します」

弁護人「そこは金属のさくがあります。来るときはさくを外すのですか」

証人「そうです」

弁護人「誰が外すのですか」

証人「警備員が外します」

弁護人「フロントからの119番通報と防災センターからの119番通報がだぶることはありますか」

証人「われわれが出動した後にも残った人がフロントと連絡を取っているのでありません」

弁護人「フロントや防災センターからの119番通報と、入居者からの119番どちらが多いですか」

証人「基本は非常ボタンを押す人が多いです」

弁護人「いきなり救急車が来るのはどのくらいの割合ですか」

証人「全体の10%しかないと思います」

弁護人「いきなり救急車が来ると、どこに止めることになりますか」

証人「防災センターの横の車寄せになります」

弁護人「さくは開いていますか」

証人「開けることになります。ただ、開いているときもあります。搬入などで使用している場合です」

「さくは夜間は閉まっていますが、午後6時くらいは開いていると思います。搬入で使うので、さくが外されているときが多いです」

弁護人「救急車が防災センターではなく、いきなりマンションのフロントの前の方にくることもありますか」

証人「あります」

弁護人「どうしますか」

証人「誘導に向かいます。フロントと防災センターは1、2階ですので、連絡があったらすぐに向かいます」

弁護人「いきなりフロント近くの車寄せに来ることもありますか」

証人「基本的に防災センターに誘導します。別の車寄せに来ることもありますが、防災センターの方が多いです」

 弁護人はさらに、救急搬送のシミュレーションについて証人に質問を始めた。押尾被告は時折メモを取っている。

⇒(11)「シャワーから出たら女性が倒れていた」「すぐ来て」 被告から緊迫した電話