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(6)アキバで“エロ関係”やメイド喫茶… 「同僚の思い満たすよう案内」

東京・秋葉原の無差別殺傷事件で殺人罪などに問われた加藤智大(ともひろ)被告(27)への弁護人質問が続く。男性弁護人は、静岡県の自動車工場の同僚との交流関係をゆっくりと尋ねる。

弁護人「同僚とはどういった付き合いがありましたか」

加藤被告「車2台でドライブに行ったことがありました」

弁護人「ほかには?」

加藤被告「秋葉原を案内したことがありました」

弁護人「ほかには?」

加藤被告「カートに連れて行ったり、ご飯に行ったり、お互いの部屋を行き来したことがありました」

同僚との私生活での交流についての質問が続く。

弁護人「同僚とドライブに行ったときのことを詳しく聞かせてください」

加藤被告「平成20年1月か2月ごろ、5人で、日帰りで伊豆にドライブに行きました」

弁護人「(その時は)どういった思いでしたか」

加藤被告「普通に楽しかった思いがありました」

少し間をおいて、男性弁護人は、今回の事件が起きた秋葉原について、同僚と遊びに行った際の経緯を尋ねる。

弁護人「同僚と秋葉原に行ったことがありますね」

加藤被告「はい」

弁護人「どういった形で行くことになったのですか」

加藤被告「同僚がテレビで見たのか、行きたいと言い出しました。工場では、私は“オタクキャラ”だったので、『詳しいだろう』ということで案内してくれと言われたのだと思います」

弁護人「同僚からオタクキャラと思われていたということですが、どういった話をしていたのですか」

加藤被告「ゲームの話題が多かったと思います」

静岡の工場では、被告は“オタクキャラ”を受け入れていた様子がうかがえる。

弁護人「(秋葉原に行った)時期は?」

加藤被告「平成20年3月ごろだったと思います」

弁護人「案内するのにどんな準備をしましたか」

加藤被告「秋葉原のどこに興味があるのか聞き、同僚の思いを満たすように、どのように回るのが効率的か、考えて計画しました」

弁護人「(秋葉原では)どういう風に過ごしましたか」

加藤被告「まず1人がパソコンを見たいといい、中古ショップを案内しました。もう一人はエロ関係なら何でもいいと。もう一人はディープな秋葉原を知りたいと言っていたので、いくつか知っていたところを案内し、最後に秋葉原といえばメイド喫茶だろうと思い、そこに連れて行きました」

弁護人「同僚はどんな様子でしたか」

加藤被告「恥ずかしそうにしていました」

弁護人「(全体的に)同僚の様子は」

加藤被告「楽しそうにしている様子をみていて、(自分も)楽しかったです」

秋葉原に同僚と行った際の質問から、ゴールデンウイーク(GW)に、同僚と青森県に旅行したときの質問に移る。

弁護人「GWはどういうことをしましたか」

加藤被告「友人(同僚)と二人で青森までドライブに行き、父から借りっぱなしの車を返そうと思いました」

弁護人「なぜ同僚と一緒に行ったのですか」

加藤被告「親しかった同僚のおばあちゃんが青森に住んでいました。ある日の夜に2人で出発し、次の日の夕方に青森に着いて彼をおろしました」

弁護人「それから?」

加藤被告「ショッピングモールに車を放置して(静岡に)帰りました」

弁護人「事前に両親に連絡はしましたか」

加藤被告「しませんでした」

弁護人「青森に着いてからは?」

加藤被告「していません」

弁護人「どうして?」

加藤被告「そうしたことは頭にありませんでした」

弁護人「地元の友達と連絡をしようとは思いましたか」

加藤被告「そうしたことも考えましたが、連絡することはありませんでした」

弁護人「どうして?」

加藤被告「平成19年に自殺を考えて青森を出てから、車のローンを払うのをやめていたり、借りているアパートもそのままで、夜逃げ状態で出たので、私と友人が親しくすることで友人に迷惑がかかると思い、接触しませんでした」

弁護人「どういった迷惑がかかると思ったのですか」

被告が少し言葉に詰まった様子をみせる。

加藤被告「犯人的な私を、かくまっているように借金取りに思われると、迷惑がかかると思いました」

弁護人「ほかにドライブ中に心配したことは?」

加藤被告「道中にNシステムがあって、車のナンバーを見られていて、(警察に)捕まるのではないかという心配がありました」

被告は、青森を出てから、常に強迫観念にかられていたようだ。ただ、質問に答える被告の様子は淡々として変化はみられない。男性弁護人の質問は、青森の友人との交流関係に戻る。

弁護人「静岡でも青森の友人からメールを受け取っていましたか」

加藤被告「はい」

弁護人「メールの返信は?」

加藤被告「メールが来るたびに、同じような理由(借金取りから友人が目を付けられる)で迷惑をかけると思い返信はできませんでした」

再び静岡の工場の同僚との関係の質問に移る。

弁護人「静岡の同僚と遊んだ思い出は」

加藤被告「カートをしに行ったことがありました」

弁護人「最初に同僚と行ったのはいつごろですか」

加藤被告「20年ごろだったと思います」

⇒(7)「顔が普通以下では彼女ができない」 自らの書き込みを解説