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(3)衝撃の事実「遺体は左右対称に15部に解体、きれいに洗った」

被告が犯行時にどのような精神状態だったのか、弁護人が鑑定人の牛島定信・東京女子大教授に詳細に質問を続ける。勇貴被告は両拳を膝に置き、視線は床を見つめている。

弁護人「鑑定では、勇貴被告はアスペルガー障害に罹患して、二重構造を持ったバランスの悪い人格だった。攻撃性を従順さが覆い隠す人格だった。(だが、犯行時には)内的衝動をしまっておく自我が強くなかったとされている。ここでいう二重構造とはどういうことか?」

鑑定医「被告の話を聞いていて、被告は激しい怒り、攻撃性を持っているのではないかと感じた。被告はそれをしばしば経験しているのではないかと思った。ただ、本人の話ではそんなことを思っていたわけでは決してないという。家族の話でも攻撃的だという話はない。つまり、未解決の攻撃的な人格が隠れていると判断せざるを得ない。それが二重構造の人格だ」

弁護人「では、抑えきれなかった内的衝動とは?」

鑑定医「攻撃性とか本能欲求と関連した感情だ」

弁護人「ここでいう内奥にしまい込んでいた自我とは?」

鑑定医「犯行時の状態のことだ。普通の社会の人間というのは、生活する中で外から力をもらう形で内面の衝動を抑える。被告も外とのふれあいがあったときは大丈夫だったが、犯行前後の1、2カ月は周囲との接触もなくて、1人で空想の世界に入りやすい状態だった。自我を失っていた」

弁護人「自我とは抑圧、抑制力のことか?」

鑑定医「そう。人格の一部だ」

弁護人「それはアスペルガー障害が原因なのか?」

鑑定医「そうだろう。健康な場合、無意識の中で抑圧が幾重にもできる。家族や友達との触れあいとかによってだ。アスペルガー障害だと、そこらのいろんな未成熟、未熟なところから、自我の構造が幾重にもなっているはずの部分がはっきりとしない。本能的な部分がかなり未成熟だ」

勇貴被告の未成熟な人間性が次第にあらわになる。検察側は弁護人に厳しい視線を送る。勇貴被告は表情を変えず、視線を下げたままだ。

弁護人「(鑑定書にある)二重構造のバランスの悪い人格とは、解離性障害が原因なのか?」

鑑定医「そうだ」

弁護人「被告のアスペルガー障害は責任能力に影響するのか?」

鑑定医「(犯行を)やってはならない、あってはならないという認識は十分にあった。後悔の念や償いの感情もある。アスペルガー障害だからといって、被告を無能者に仕立てるのはよくないと思う。アスペルガー障害がそのまま責任能力に影響するとは考えていない」

責任能力がないわけではないという鑑定人の言葉に、弁護人も一瞬、言葉に詰まる。

弁護人「…善悪判断は残っていたのか。だとしたらその程度は?」

鑑定医「アスペルガー障害だから、即、責任能力が限定されるとは言えない」

弁護人「被告のアスペルガー障害は重篤なのか?」

鑑定医「彼の人生をふりかえって、重篤ならもっと早くにいろんな問題が生じていたはず。被告の場合は、限界を持ちながらも軽症だったのではないか」

弁護人「被告が死体損壊で左右を対称に、15部に解体してきれいに洗った。鑑定の中で、強迫性障害の影響と述べているが?」

鑑定医「そう思う」

弁護人「別人格を有していたのか?」

鑑定医「何かの拍子に激しい攻撃性が突出したのは間違いない。それが突出したことが衝撃となって、解離性障害になったのではないか。殺人行為と遺体損壊行為の精神状態を一緒にすべきではない」

弁護人「遺体解体のときまでは解離性障害だったと?」

鑑定医「推定で、そう思う」

弁護人「そして別人格で強迫性障害になったと?」

鑑定医「そう思う」

弁護人「遺体損壊に没頭しすぎて、犯罪行為を忘れてしまったのか?」

鑑定医「そう考えていい」

弁護人「それはアスペルガー障害に起因する?」

鑑定医「ある程度は関係している」

⇒(4)勇貴被告は「殺害時は判断能力あり」「損壊時は責任能力なし」