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(10)「整合性ないのでは?」鑑定に納得できない検察側 再鑑定請求も視野

牛島定信鑑定人への尋問が約2時間にわたって続いたが、弁護側、検察側も責任能力の有無について、釈然としない部分があるようだ。双方とも腕組みをして、鑑定人を注視した。

裁判長「勇貴被告が遺体を解体したときに解離性障害だったとすると、被告の(解体時の)判断状態については、どのように理解すればいいのか?」

鑑定医「別人格が出てきて、本来の人格とかかわりなくひとつの行為を行ったとしか、今は説明できない」

裁判長「…つまり本来の人格とは無関係ということか?」

鑑定医「ある意味ではそうだ」

腕組みをしていた検察官が立ち上がった。勇貴被告は無表情で、両拳をひざにおいたまま、微動だにしない。

検察官「ちょっと一つ。鑑定人は、殺人も遺体の解体も、別人格(の行為)だといいたいのか?」

鑑定医「そうだ」

検察官「それを前提としてね。あなたは鑑定書では『人格には全くもって責任能力があったとは言い難いが、完全になかったとも言い難い』としている。では今になって、『責任能力を欠いていた』と言うのはどういうことか? 整合性がとれないのではないか?」

鑑定書では責任能力の有無について断言をしていないのに、法廷では遺体解体時について『別人格』と言い切った鑑定人の矛盾に、検察官はいぶかしげな表情だ。

鑑定医「そのとき(殺害時)の感情的な反応を聞くと『責任能力はなかった』と言うのは難しいと考えた。一番初めの殺害の瞬間には、必ずしも責任はないとは言えないと。しかし、よくよく考えて、(殺害と遺体損壊を)2つ分けて考えてみるべきと思い直した」

検察官「(遺体の)解体時には別人格だと?」

鑑定医「そう。解離そのものだ」

腑に落ちない表情の検察官。ここで弁護人が小さく手を挙げて立ち上がった。

弁護人「確認になるが、遺体損壊のときには責任はない。こういうことでいいのか?」

鑑定医「はい」

弁護人「そして殺人については、責任なしとはいえないが、著しく限定された判断力だったということ? (犯行を)避ける能力が減退していたということでいいのか?」

鑑定医「そうだ」

弁護人が再度、確認したことによって牛島鑑定人が言わんとするところは、殺害時の勇貴被告の精神状態は責任能力が限定される「心神耗弱」、その後の損壊時は責任能力が失われた「心神喪失」だったことがうかがわれた。

双方の尋問が終わった。次回公判は4月21日の午後1時半から、勇貴被告への被告人質問が行われることとなった。検察側は今後について『(勇貴被告の精神状態の)再鑑定請求も視野に入れて検討したい』と裁判長に伝えた。

裁判長が勇貴被告に言葉をかける。

裁判長「それでは、次回はあなたからまたお話を聞くことになります。いいですね」

勇貴被告が座ったままか細い声を発し、小さく頭を下げた。

勇貴被告「はい、よろしくお願いします」

午後4時53分閉廷。勇貴被告は無表情で退廷した。

⇒第5回公判