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(9)「1審と、今頭の中にあることは食い違う」理解しがたい鈴香被告

ここで質問する検察官が交代。今度の検察官はこれまでの検察官と一転、穏やかな口調で問いかけた。

検察官「あなたは地裁判決で、彩香ちゃんは誤って落ちたのではなく、殺害したと認定された。納得いきますか?」

鈴香被告「納得いかないから控訴したのです」

検察官「そのためには、大沢橋で何があったのか話さないと、(誤って落ちたことを)認定してもらえませんよね?」

鈴香被告「…はい」

検察官「でもあなたの主張は覚えていない、と?」

鈴香被告「はい」

検察官「今日、2人で並んで川を覗き、その次に覚えているのは尻もちついてからだと話した。これは、記憶が薄れてきたということですか?」

鈴香被告「説明できません」

検察官「1審では、大沢橋での出来事について、欄干に乗った彩香ちゃんが急に振り向いて抱きついてきたので振り払ってしまったと話している。それは覚えていますか?」

鈴香被告「調書とか、1審で話したことは覚えていますが、今頭の中にあることは食い違っています」」

検察官「なぜ食い違っているか分かりますか?」

鈴香被告「分かりません」

分からない、説明できないを繰り返す鈴香被告。検察官はそれでもねばり強く聞いていく。

検察官「日付がたつと忘れますが、嫌なことを忘れようと思ったら、忘れようと思うこともある。自分なりに説明できませんか?」

鈴香被告「確かに思いだしたくない気持ちもあります」

このあたりから、鈴香被告の上半身が大きく震えだした。竹花裁判長が「大丈夫ですか」と問いかけると、鈴香被告ははっきりした声で「大丈夫です」と答えたため、質問は続行された。

検察官「彩香ちゃんと豪憲君の事件を比べると、豪憲君の方が記憶に残っているようですが?」

鈴香被告「はい」

検察官「なぜ彩香ちゃん事件の方が記憶から薄れやすいのですか?」

鈴香被告「…。自分のしたことを認めたくないからかもしれません」

一瞬、彩香ちゃん殺害を認めるのかと思わせる発言をする鈴香被告。しかし、それは違ったようだ。

鈴香被告「(欄干に)上れと言ったり、きつい口調で話したり、彩香にきつく当たったことが…」

検察官「その結果、死につながったと?」

鈴香被告「はい」

検察官「でもその理屈は豪憲君でも一緒でしょ。豪憲君には家族がいること、分かってますよね?」

鈴香被告「はい」

検察官「それなら、豪憲君の方が思いだしたくないような気がしますが?」

豪憲君家族のつらさを背負う方がつらいのではと指摘する検察官。しかし、鈴香被告はこう返す。

鈴香被告「私の部屋には米山さんの著書が飾ってあり、豪憲君の写真が載っています。部屋のどの位置からも豪憲君からにらまれているような感じを受けています。豪憲君は私に『なぜ』という言葉を問いかけているような気がします」

検察官「では、どうして殺したのですか? 今までは考えていなかったということなのですか? 適当に答えていたのですか?」

鈴香被告「適当に答えていたわけではありません。もっとよく考えなければならないと思いました」

ここで検察官は、当然浮かび上がる疑問をぶつけていく。

検察官「彩香ちゃん事件で記憶を失ったというのは、娘の命を失ったショックからという意見もありますが、じゃあ豪憲君はどうなるのですか? 彩香ちゃんの事件はショックだが、豪憲君はショックじゃないというふうに聞こえますよ?」

鈴香被告「自分がしたこと、与えた影響を考えると、とんでもないことをしてしまいました」

答にならない答を発した鈴香被告。検察官は納得のいかないまま次の質問へ。彩香ちゃんの友達に母親にとって貴重なはずの形見分けをした理由を問い質し始めた。

検察官「(彩香ちゃんの友人)○○ちゃんに遺品をあげて自分で持たなかった理由は?」

鈴香被告「○○ちゃんは彩香と一番の仲良しだったから」

検察官「(遺品だった)大事な写真なら自分で持っていれば良かった」

鈴香被告「もう1枚あったので」

検察官「あっ、そう。一方、警察に対し、彩香ちゃんの服を返してほしいと申し入れた。親として手元におきたいというのが自然なのでは?」

鈴香被告「(彩香ちゃんのことを)忘れてほしくなかった。それだけです」

検察官「遺品をあげないと忘れられるの?」

鈴香被告「はい」

検察官は、豪憲君を家に誘い込んだときと同様、形見分けを“口実”に子供を物色していたとしたいようだが、鈴香被告は、相変わらず理解のしにくい回答を続けた。

⇒(10)検察官の重い一言「時間は戻せない。だから裁判なんです」