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(2)反発心抱いていた父親の“悪口”は雄弁に

第1回公判の後、高検関係者が「ずいぶん遠いところ(基本的な部分)から攻めるな」とぼやいたように、鈴香被告の犯行前の生活について1審とほぼ変わらない質問を続ける弁護側。さらに高校卒業後の鈴香被告の仕事について問い始めた。

弁護人「(栃木での)仲居のときはどんな時期?」

鈴香被告「すごく楽しい時期でした」

弁護人「なぜ?」

鈴香被告「仲間ができ、上下関係もなくて」

弁護人「高校と違う?」

鈴香被告「人の顔色をうかがわずにすみました。『ばい菌』と呼ばれていたことも知らないし、父親の目も届かなかったから」

弁護人「仲居自体の仕事はどうだったですか」

鈴香被告「朝早くから夜遅くまで働ききついと思ったが、覚えることが多く、新しいお客さんが来るので充実していました。自信を持って仕事をしてました」

ただ、「充実していた」はずの仲居時代でさえトラブルがあったという。弁護側は、鈴香被告が社会に溶け込めない人格であることを印象付けようとしているようだ。

弁護人「仲居時代のトラブルは?」

鈴香被告「始めて1カ月ぐらいのとき、同期に呼び出され、『あんたの言葉はきつい』と2、3時間正座させられて罵声(ばせい)を浴びせられました」

弁護人「(罵声の)心当たりは」

鈴香被告「(同期が)電話番で電話を取るとき、相手が若い男からだと『彼氏? ヒューヒュー』と言ったからかな」

正面を見据え、ぼそぼそと小さな声で答え続ける。感情の起伏はうかがえない。

弁護側、時折、せき込みつつ、再び鈴香被告の彩香ちゃんへの感情について質問を移す。

弁護人「彩香ちゃんに対する気持ちだが、彩香ちゃんはどんな存在?」

鈴香被告「一緒にいて当たり前の存在」

弁護人「平成16年、あなたは東京に行こうと。彩香ちゃんはどうするつもりでしたか?」

鈴香被告「弟に預けるつもりでした」

弁護人「なぜ?」

鈴香被告「まずは自分ひとりでさえ暮らしていけるかどうか不安だったから」

弁護側、父親が倒れた後の介護の状況についても質問。彩香ちゃん事件直前の追い詰められた心理状態を強調させたいようだ。

次は1審から嫌悪感を示し続けてきた父親に対する質問へ。鈴香被告は、単発の返答から一変。冗長に1人語りを始めた。

弁護人「平成17年9月に父親が倒れ、彩香ちゃんの事件まで入院するがそのころの生活は?」

鈴香被告「朝、彩香と(藤里の)家を出て、彩香は学校へ、わたしは入院先の病院へ。(父親が)看護婦に尿瓶を扱われるのを嫌がったので、こぼした尿や汚れた服やシーツを取り換えたり、食事の世話をしたり。昼ごはんのとき以外は離れず父のしもの世話をして、夕方に母親が仕事を終えて(病院に)来ると、介護を交代して、今度は藤里へ彩香を迎えに行き、彩香に宿題を持たせて、次は切石の実家に行き、弟や母親、わたしたちの夕食の準備。母親の(翌日の)弁当のおかずも一緒に作って、食べた後も洗って、それから(彩香ちゃんと住んでいた団地のある)藤里に帰る。彩香はTVや風呂に入ったり…」

父親への悪口が止まらない鈴香被告に弁護人はなおも続ける。

弁護人「父親のトラブルをどう思ったのか?」

鈴香被告「最初は、ヘルパーの資格を生かせると思ったけど、だんだんいやになりました」

弁護人「なぜ看護を続けたのですか?」

鈴香被告「母も弟も仕事があったので。とくに弟は夜、代行(車)の仕事だったので昼は休ませないとと思いました」

弁護人「父親のあなたへの反応は?」

鈴香被告「やってもらって当然という態度」

弁護人「どう思った?」

鈴香被告「まだ平成17年中は我慢できたけど…」

続けて弁護側は1審で検察側が彩香ちゃんへの殺意を示す証拠として示した彩香ちゃんの“交通事故祈願メール”の真意を問う。1審では「軽い気持ち」と述べたが…。

弁護人「平成17年10月。父親が転院したころ。あなたは東京の友人にメールを送った。どんな内容?」

鈴香被告「子供の列に車が突っ込んだニュースを見て、『列の中に彩香がいれば。自分の人生はどうなっただろう。そんなことを考える自分は駄目な親なのだろうか』と送りました」

弁護人「なぜ送ったの?」

鈴香被告は、それまでのボソボソした話し方から、きっぱりとした口調で答えた。

鈴香被告「深い意味はなかった。…意味はなかったです!」

弁護側は想定外だったのか、同じ質問を繰り返す。

弁護人「…メールを送ったときに頭に浮かんだことは?」

鈴香被告「覚えてないです」

再度父親の話に戻る弁護人。病室ではさみを振り回すこともあったという父親だが、鈴香被告はその苛立ちを彩香ちゃんにぶつけることはなかったと強調した。

⇒(3)「目の前がチカチカ…」覚えていたはずの彩香ちゃん転落の様子は「記憶なし」