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第36回公判(2012.4.13) 【判決公判】

 

(6)木嶋被告、死刑判決の瞬間も微動だにせず…目はうつろ

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で3件の殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の判決公判は、大熊一之裁判長による判決理由の読み上げが続けられている。10の罪、すべての検討が終わり、いよいよ量刑の説明に移る。

 木嶋被告の公判は「100日裁判」と呼ばれた。1月5日の裁判員選任手続きから、この日の判決までがちょうど100日だったためだ。

 一般市民が刑事裁判に加わる裁判員裁判で、こうした長期間の審理は初めてで注目を浴びた。さらに直接証拠はなく、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立。難しい判断を強いられるとされた。その裁判員が導いた結論に注目が集まる。

 大熊裁判長は傍らのコップの水をゆっくり飲んだ後、説明を始めた。傍聴席に一瞬、緊張が走る。

裁判長「量刑理由について説明します」

 こう前置きした後、最も重視すべき事情と述べてこうつなげた。

裁判長「婚活サイトで知り合った男性から真剣な交際を装って多額の金を受領するなどした末、返済などを逃れるため、被害者を殺害したという極めて重大かつ非道な犯罪を3度も繰り返し、何ら落ち度のない3人の尊い命を奪ったことであり結果は深刻かつ甚大である」

「被害者は、結婚相手または交際相手として被告を信頼したまま、予想だにしない形で理不尽にも生命を奪われ、その無念さも計り知れない」

「被害者らとともに平穏な生活を送っていた遺族らの悲しみや喪失感は大きく、厳しい処罰感情は至極当然。あらかじめ練炭やコンロを準備するなど、犯行の態様は計画性で冷酷かつ悪質である」

 大熊裁判長は一気にまくしたてた。さらに、木嶋被告への言及は続く。

裁判長「被害者を抵抗できなくさせて確実に犯行を遂げ、自らは被害者が死亡する前に現場から立ち去って犯跡を隠匿することを可能にするもので、強い殺害意欲や巧妙さすらうかがえる」

 大熊裁判長は、木嶋被告の身勝手な犯行動機と様態を厳しく断罪していく。

裁判長「被告は働かずにぜいたくで虚飾に満ちた生活を維持するため、婚活サイトで知り合った被害者から多額の金を受け取るなどした末の犯行で、あまりにも身勝手で利欲的な動機に酌量の余地はない」

「何ら落ち度もない被害者らの純粋な思いを踏みにじった経緯も強い非難は免れない」

「このような極めて重大かつ非常な殺人をさほど長くない期間内に3度も繰り返しており、生命というかけがえのない価値を軽んじる態度は顕著である」

 3つの殺人事件は、6カ月の間に立て続けに起きた。

裁判長「被告は公判でも独自の価値観を前提に不合理な弁解に終始するばかりか、被害者をおとしめる発言を繰り返すなど、真摯な反省や改悛の情は一切うかがえない」

 10の罪、すべてが木嶋被告の犯行であると指摘した検察側は、死刑を求めている。大熊裁判長は、ゆっくりと結論を述べる。

裁判長「死刑が人間存在の根元である生命そのものを永遠に奪い去る冷厳な極刑であり、誠にやむを得ない場合における刑罰であるとしても、被告に対しては、死刑をもって望むほかない」

「主文、被告人を死刑に処する」

 次の瞬間、傍聴席に詰めていた報道陣らが慌ただしく席を立ち、次々と廊下に飛び出していく。

 それでも、木嶋被告はずっと前を見据えたまま微動だにしない。

 そして…。木嶋被告はゆっくりと立ち上がると、裁判長に向かって軽く頭を下げた。

 さらに、弁護側の席に戻った木嶋被告は、自らが持ち込んだ資料が入った紙袋を両手で抱えると、傍聴席に目をやって軽く頭を下げた。

 感情を押し殺していたのか、それとも状況が飲み込めていないのか。その目は、うつろだった。

⇒その後