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第36回公判(2012.4.13) 【判決公判】

 

(2)かすかに首かしげる木嶋被告 「こんな偶然重ならない」 次々と矛盾指摘され

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で3件の殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の判決公判(大熊一之裁判長)は、判決理由の朗読が続けられている。刑事裁判の場合、通常は判決の冒頭に刑の言い渡しの主文が読み上げられる。だが、大熊裁判長は主文を後回しにした。厳しい刑が予想される。

 木嶋被告が問われているのは3つの殺人事件に加え、詐欺や詐欺未遂など計10の罪に及ぶ。大熊裁判長は、まず10の罪すべてで木嶋被告の犯行を認めた上、コップの水を口にしてひと息入れた後、東京都青梅市の会社員、寺田隆夫さん=当時(53)=の殺害についての争点の検討に入った。

 寺田さんの遺体は自宅で見つかった。室内には6個の練炭コンロが置かれ、練炭自体も16個あった。

裁判長「死因は、練炭の燃焼による一酸化炭素中毒死。そこで、自殺したのか何者かに殺害されたのかを検討する」

「まず、練炭を(寺田さんが)入手できた可能性だが…」

 16個のうち3つは製造会社の証言からメーカーはほぼ特定できている。それを示した上で、大熊裁判長は寺田さんの自宅から半径5キロ圏内に、売っている店がないと指摘。

 最も近くで扱っているホームセンターは、直線距離で2・5キロ離れ、売っているものは1パック14個入りだとした。

裁判長「手で運ぶのは重いが、(寺田さんは)車や自転車を持っていない。インターネットで入手した形跡もない」

「もともと、(寺田さんが)16個もの練炭をストックしていたとは到底考えられない」

「(弁護側は、公判で寺田さんは自殺を図ったと主張しているが)これを踏まえると、寺田さん自身が自殺するための手段を事前に持っていなかったと考えられる。何者かに殺害されたと強く推認できる」

 練炭コンロについてもメーカーを指摘した上で言及していく。コンロは室内に6個置かれていた。

裁判長「自殺目的で多数のコンロを用意すること自体が不自然だ」

 続いて、施錠状況も指摘する。寺田さん方はすべての出入口が施錠されていた。しかし…。

裁判長「あるはずの2本のカギのうち1本が見つかっていない」

「すべてのレシートを保存するなど、几帳面な性格からして(寺田さんが)紛失したとは考えづらい」

「また、(寺田さんの)姉が遺品整理の際に室内を調べたし、その後の清掃業者も発見できなかった」

「密室で死亡し、2本のカギが見つかっているならば自殺と推認できるが、1本がなくなっているということは、密室を作りだすために、犯人が持ち出したと強く推察できる」

 さらに、デスクトップや手帳も室内からなくなっていることを挙げ、大熊裁判長は断言した。

裁判長「以上のようなことを総合すると、(寺田さんは)常識的に考えて殺害されたのは、ほぼ間違いない」

 続いて、木嶋被告の犯行の認定に進む。練炭コンロは、木嶋被告が購入していたメーカーと一致していると認定した上で、こう続ける。

裁判長「(木嶋被告が購入した練炭コンロは)同じメーカーで(寺田さん殺害現場から見つかったのと)個数も一致する。こんな偶然が重なることは、そう多くない」

 さらに、丁寧に説明を続ける。木嶋被告は6つは調理器具で、用途に応じて使い分けていたと主張。廃棄したともする。

裁判長「そもそも調理目的で多数のコンロを所有するというのは、にわかに信じ難い」

「被告人の弁解は不自然で信用できない」

 こうした指摘を続けた上で、大熊裁判長はじわり核心に踏み込む。

裁判長「6個の練炭コンロと16個の練炭を持ち込んで着火したが、室内には争った形跡や物色の跡もなく、通り魔や第三者の犯行とも考えられない」

「合い鍵を入手でき、親密に交際していた人物が犯人と推認できる」

 ことごとく主張を否定されていく木嶋被告…。時折、かすかに首をかしげる様子を見せながらも、うつむくことなく、じっと前を向き続けている。

⇒(3)同じ日に知り合った複数の男性に「運命の人」と同じ文面のメール