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第16回公判(2012.2.6)

 

(7)抹茶オレやビーフシチューに入った睡眠薬は気付かない 大学教授が証言

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で練炭自殺に見せかけ男性3人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)に対する裁判員裁判。さいたま地裁で開かれた第16回公判は千葉県野田市の安藤建三さん=当時(80)=の血液から検出された睡眠薬の量を測定した大学教授に対する検察側の証人尋問が続く。

 男性教授などによると、安藤さんの血中濃度と過去のデータを比較すると、安藤さんは少なくとも高齢者が1日に摂取する量の11倍にあたる11錠近くの睡眠薬「ハルシオン」を飲んでいたという。

 木嶋被告は平成17〜19年に不眠などを理由に、約650錠の睡眠薬を医師から処方されていたことが、これまでの公判で明らかになっている。

 検察側の質問に対し、大学教授は「最低限11錠で、もっと多い可能性もあった」と指摘した。

検察官「多量のハルシオンは飲み物や食べ物に入れると味が変わりますか」

証人「(ハルシオンは)水に溶けません。溶けないということは味がしないということ。例えばビー玉を口に入れても、溶けないので味がしないでしょう」

検察官「ハルシオンは水に溶けませんが、別の睡眠薬『マイスリー』は水に溶けにくい(=多少は溶ける)ということのようです」

証人「おそらくちょっと苦い味がすると思います。量が少なく、(入れたのが)味の濃いものであれば気付かないでしょう」

検察官「例えばどんなもの?」

証人「甘いあんこやカレー、シチューなどですね」

 木嶋被告に殺害されたとされる東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん=当時(41)=は事件直前、木嶋被告からビーフシチューを振る舞われたという。

検察官「ぜんざいやおしるこは?」

証人「はい」

検察官「抹茶オレは?抹茶オレ、分かります?」

証人「分かりますよ。抹茶オレ自体苦いので(混入は分からない)。味が濃いですから」

 6日の公判で明らかにされた安藤さんと木嶋被告のメールのやり取りで、木嶋被告が「何を飲みたいか」と尋ねたところ、安藤さんは「抹茶オレ」と返答。木嶋被告は「作ってあげますね」などとメールを送っていたことが明らかになっている。

 検察側の証人尋問が終わり、続いて弁護側の大学教授に対する質問が始まった。

弁護人「(ハルシオンを服用した場合)血中濃度はいつ最高になりますか?」

証人「(服用から)1・5時間後です」

弁護人「(効果が半分程度に弱まる)半減期は?」

証人「データによると、初日はピークを迎えてから1・4時間後くらいですね」

弁護人「睡眠薬で手足のしびれが発生することは?」

証人「申し訳ないが、薬理は専門ではないので…」

 ここで、弁護側が小声で打ち合わせを始めた。検察側が弁護側の質問に対し、異議を申し立てる。

検察官「(弁護側の質問は検察側の)主尋問の範囲外だ。教授は薬理学について専門外。薬理学については明日の証人で質問しますので」

 大熊裁判長は検察側の異議を認め、弁護側に「質問を変えてください」と伝えた。

 弁護側はハルシオンの睡眠作用について質問するが、大学教授の証言は、質問とうまくかみ合わない。

弁護人「(安藤さんが木嶋被告に睡眠薬を)飲まされたかは争いがありますが、一般論で、睡眠薬でもうろうとさせることは?」

証人「寝ちゃだめなんですよね。例えば点滴のように投与すれば、うつらうつらしますが、面倒ですね。どれくらいで寝てしまうかも(事前に)確認しておかなければなりませんし」

 弁護側の質問が終了し、いったん休憩に入った。

 再開後は検察側が請求した供述調書の朗読が行われた。安藤さんが平成20年10月に浦安市のホテルで倒れた際に搬送された病院の医師によるものだ。

 医師は供述調書で「安藤さんが倒れる2週間以前に小規模な脳梗塞(のうこうそく)を発症しており、(ろれつが回らない)構音(こうおん)障害は説明できるが、意識障害や失禁の理由にはならない」と指摘した。

 「さまざまな原因を調べた結果、薬物中毒は可能性が考えられる。薬物に対する検査をしておけばよかった」とし、「多量であれば症状の説明がつき、刺激を与えなければ眠ってしまう状態にあったということも矛盾なく説明できる」と指摘した。

 調書の朗読が終わり、この日の審理が終了。木嶋被告は緑のフリースジャンパーを羽織って法廷を後にした。

⇒第17回公判