第7回公判(2010.9.14)
(7)「見殺しにするようなことは絶対してない」「私はそのような人間ではない」被告最後の無罪主張
保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第7回公判は、男性弁護人が引き続き最終弁論で無罪主張を展開している。
男性弁護人は、押尾被告が薬物調達を依頼する必要がなかった状況などを示し、MDMAの譲渡で懲役1年の実刑が確定した泉田勇介受刑者(32)の証言も「信用できない」と検察側の主張に反論した。
押尾被告は男性弁護人の方を時折見やり、静かに弁論に耳を傾けている。
男性弁護人は情状面について弁論を進めた。
弁護人「押尾被告は違法薬物を服用したことを『本当にばかなことをした』と後悔しています。薬物を抜こうとしたり、捨てようとしたりした証拠隠滅行為に反省の態度を表明しています」
「(押尾被告は)田中さんを助けることができなかったことを悔やみ、毎日冥福(めいふく)を祈っています」
反省しているという押尾被告の現状について列挙していき、続けた。
弁護人「前科前歴はなく、事件がマスコミで大きく報道されるなどして、家族、仕事を失い、社会的制裁を受けています」
押尾被告は、微動だにせず前を見て、男性弁護人の読み上げを聞いている。
最終弁論の資料を読み終えた男性弁護人は前を向いた。
弁護人「以上のことから、無罪と考えます」
山口裕之裁判長が、男性弁護人の最終弁論が終わったことを確認すると、「言いたいことはありますか」と押尾被告に尋ねた。
押尾被告は「はい」と法廷に通る大きな声で答え、証言台に立った。山口裁判長の方をまっすぐ向き、直立の姿勢で、意見陳述を始めた。
被告「私は田中さんを見殺しにするようなことは絶対にしていません。私はそのような人間ではありません。昨日(法廷で)話したことが真実です」
一言ひとことはっきりとこう述べると、押尾被告は一呼吸置いた。
被告「以上です」
一礼すると、押尾被告は弁護人の隣の席に戻り、後ろの男性弁護人と言葉を交わした。
論告求刑公判は結審。山口裁判長が判決言い渡しの日時について、17日午後3時からと告げて閉廷した。