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第7回公判(2010.9.14)

 

(4)「被告に懲役6年を求刑します」と2度述べた検察官 被告は何度も弁護人を振り返り…

押尾被告

 合成麻薬MDMAを一緒に飲んで容体が急変した飲食店従業員、田中香織さん=当時(30)=を放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死など4つの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)に対する検察官の論告読み上げが続く。

 男性検察官は裁判員の方を見ながらゆっくりとした口調で話した。

検察官「被告にも有利な事情を考慮しました。総合的に考慮し、被告に対する求刑を述べます」

 静まりかえる法廷。押尾被告、裁判員、傍聴人の視線が検察官に集まる。検察官はゆっくりと口を開いた。

検察官「被告に懲役6年を求刑します。(合成麻薬)TFMPPを没収します」

 法廷を飛び出す記者たち、メモを取る裁判員。静寂を打ち破るように法廷内が一瞬ざわつく。

 押尾被告は微動だにせず、表情を変えることもない。

検察官「繰り返します。被告に懲役6年を求刑します。TFMPPを没収します」

 検察官は丁寧な口調でもう一度押尾被告に対する求刑を述べた。

 突然、押尾被告が後ろにいる弁護人に話しかける。動揺したのだろうか。弁護人は押尾被告の肩に手をやり、励ますように言葉をかけていた。弁護人の言葉に納得したかのようにうなずいて前を向く押尾被告。しかし、長い髪を揺らしながらまた後ろを振り返り再度弁護人に話しかける。弁護人は押尾被告に耳打ちしていた。

 検察官の論告求刑が終わり、弁護人の最終弁論に移る。男性弁護人が立ち上がり、最終弁論を読み始める。法廷の注目が弁護人に集まる。

弁護人「押尾さんは(押尾被告にMDMAを渡した友人の)泉田勇介受刑者から違法薬物のMDMAをもらっていません。田中さんに対しても渡していませんので、無罪です」

 初公判の弁護側の冒頭陳述の主張と同じく、弁護人は押尾被告の無罪を訴えた。

弁護人「MDMAは田中さんが自ら持ち込んだものですので、保護責任者遺棄致死には当たりません」

 裁判員は弁護人の最終弁論にじっと耳を傾ける。

弁護人「押尾さんがTFMPPを持ってきたものは認めます。泉田さんからもらったものです。MDMAについてですが、押尾さんが泉田さんからもらったのは錠剤ではなく粉末です。泉田さんの証言ではMDMAかどうか分かりません。押尾さんは一貫して粉末でもらったと主張しています。どちらの主張が信用できるでしょうか」

 裁判員を意識してか、ゆっくりとした口調でそう訴えかける弁護人。

弁護人「泉田さんは当初薬の色について白と言っていたのに、後にクリーム色と言っています。数を覚えていないのに、大きさや厚み、色などを覚えているのは非常に不自然です」

「泉田さんは捜査段階で実在するMDMAの一覧表を見せられています。代金についても不合理な部分があります。3万から4万円としながらもその後、立て替えていたお金として60万円を受け取っています。錠剤をカプセルに入れて服用したのも、崩れやすい錠剤をポケットに入れて携帯したのも不自然です」

 弁護人は泉田受刑者のこれまでの証言などを挙げて「不自然」と繰り返し強調する。

弁護人「泉田さんは公判で、反省していると言いながら、自分の入手先を述べませんでした。泉田さんには薬物の前科などがあります。自白をすれば、実刑が確実になる中で、10グラムよりも10錠といった方が刑が軽くなるとして、捜査機関にそう話したのだと考えられます」

「押尾被告に対しての恨みもあります。捜査機関に押尾被告にとがめられたことを話しております。以上のことから泉田さんには虚偽の供述をする理由があります」

 弁護人は泉田受刑者の証言を虚偽と断言した。

弁護人「押尾被告は当初から粉末と話しており、自分に不利なことを話しています。泉田さんから代金は10グラム35万円と言われたことも、泉田さんが事件後に立て替えたお金として受け取った金額と合致します」

 弁護人はここから田中さんがMDMAを持ってきたことを強調し始める。押尾被告は表情を変えることなく、弁護人の方を見つめたままだ。

弁護人「平成21年8月2日に田中さんと押尾さんが服用したMDMAは田中さんが持参したMDMAです。押尾さんは田中さんが持ってきたと当初から一貫して言っております。押尾さんが泉田さんから7月31日にもらったものは使用していません」

「8月2日に田中さんが自ら薬物を持ってきたといえるのは、押尾さんと田中さんとの交際関係は違法な薬物を持ち合ってセックスをするという関係です」

「これは田中さんの自宅からコカインの吸引道具が押収されていることや若いころから薬物を使用していること、暴力団関係者との関係もあることなどから田中さんが持ってきたことは間違いありません」

 弁護人は、田中さんがMDMAを持ってきたことを強調した。

弁護人「遺体の血中濃度に薬物の濃度が高かったこともあり、薬物常習者といえます」

 話題になった押尾被告からのメール「すぐいる?」についても弁護人はこれまでの主張を繰り返した。

弁護人「『来たらすぐいる』の解釈についても主張したいことがあります。押尾さんは平成21年8月の逮捕以来、田中さんの薬を使ったと言っています。冷静に考えてください。このメールだけで薬物を押尾さんが用意したと考えるのはあまりにも飛躍しています。押尾さんが言う『おれの体』ともとれますし、飲食物などにもとれます」

 さまざまな可能性を示す弁護人。裁判員もメモを取りながら聞き入る。

弁護人「押尾さんと田中さんは薬物を両方で持ち合ってセックスするという関係です。押尾さんのメールの後に田中さんから2回電話があり『新作の上物持っていく』と言っていました」

 押尾被告はじっと裁判官席の方を見据えていた。

⇒(5)「興奮を高めようとしていた」 「すぐいる?」メールの意味を説明する弁護人