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(6)「小室マネー」の話に動揺? 目をパチパチ

検察官による千葉龍平副社長の尋問が続く。

検察官「犯行前と同じ業界に戻るわけですが、しっかりと監督できますか」

証人「僕らが責任を持って環境を整えていきます」

検察官「被告は実刑も考えられるが、出てくるまで待って迎え入れますか」

証人「実刑であろうがなかろうが、迎える気持ちです」

ここで質問者がもう1人の検察官に交代。小室被告は身を動かさず、青白い顔に目を宙に浮かせてやり取りに聞き入る。

検察官「被害者への謝罪についてお聞きしたい。被害弁償は振り込まれていますが、被告が被害者に謝罪した事実は把握していますか」

証人「いつの時点か分かりませんが、一度、電話で謝罪したとも聞いています。本人は『謝罪したいが、(小室被告は)公人なので記事になってしまう。どうしたらいいか悩んでいる』と話していました」

検察官「電話はいつごろ誰が誰にしたのですか」

証人「小室さんから相談を受けたときに、一度そういうことがあったと聞きましたが、細かくは把握していません」

検察官「保釈後かどうかは分かりませんか」

証人「分かりません」

検察官「保証人も監督者として謝罪への協力は考えていますか」

証人「当然です。それがなければ小室さんが反省していることにはなりませんので」

ここで千葉副社長の証人尋問が終了。裁判長が「私からもよろしいですか」と質問を続ける。

裁判長「被告と知り合ったときにはすでに著名なアーティストでしたか」

証人「そうです」

裁判長「詐欺の過程をみると、被害者に取り入るためにオリジナルの曲とCDを作っていますが、その辺りをどのように考えますか」

証人「ピュアな部分がないといい曲は作れない。曲を作るときはそういう(ピュアな)気持ちで作ったと思います」

裁判長「音楽の専門家からみて、被告と疎遠になった後は、曲作りなどに変化はありましたか」

証人「疎遠になった後、曲や詞のクオリティが下がってきたなと思いました」

裁判長「エイベックスでプロデュース契約を結んだがあまり曲を作らなかった。そのあたりはどう考えますか」

証人「よくない人間が周りにいて、傲慢(ごうまん)な精神になっていてなかなか作れないだろう。困ったなと思いました」

『よくない人たち』が周囲にいた時期の話題になると、小室被告は顔を裁判長の方向に向けたまま、目をパチパチさせた。怪しい人脈が「小室マネー」に群がったともいわれているだけに、そこに触れられると動揺するのだろうか。ただ、視線は相変わらず宙に浮いたままだ。

裁判長「松浦社長から曲作りを再開していると聞きました。証人は(曲を)聞きましたか」

証人「はい」

裁判長「専門家からみて内容は」

証人「曲はいいです。今回の件が起こり、反省してリセットできたし、周りの人たちがいなくなったので、ゼロから進もうという気持ちが現れていると思いました」

裁判長「同じことが今後起きる可能性は少ないと」

証人「未来を作っていかなければならない状態で、そういうときはエネルギーがあります」

裁判長「前の奥さんの慰謝料がかなりある。支払いが滞っていると思うが、どう対応していきますか」

証人「小室さんが『これは自分の責任。娘もいるので、責任を持って支払っていかなければ』と話しており、強い意志を感じました。僕らが収入の道を作れば支払っていくと感じました」

裁判長「マスコミ対応もエイベックスがしており、被告を丸抱えしている感があります」

証人「そうですね」

裁判長「誘惑を断ち切らせて、今後は曲作りに専念ということでいいですか」

証人「その通りです」

裁判長「終わりました」

裁判長は次回4月23日の公判では被告人質問の後、被害者の証人尋問を行い、結審まで進むことを明らかにした。午前11時半過ぎ、閉廷を告げ、小室被告に退廷を促す。小室被告は表情を変えずに裁判長に向かって一礼し、傍聴人席に向かっても頭を下げてから退廷した。

小室被告は午前11時50分ごろ、黒のワゴン車に乗り込み大阪地裁南の正門から出た。窓を開け、門の周辺に列をなす報道陣に何度も小さくおじぎ。何かを話しているようにも見えたが、声が小さく聞き取れなかった。

⇒第3回公判