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(8)「轟音」「風に押された」「つんのめった」…トラック突進の様子証言

休廷を挟み、法廷が再開される。加藤智大被告(27)は法廷に入廷してくると、傍聴席を向いて一礼し、弁護人席の前の被告人席に座った。村山浩昭裁判長が再開を宣言する。証人尋問が始まる。

裁判長「証人の方にお入りいただきたい」

裁判長の指示に従い証人の男性が、証言台に立った。平成20年6月8日、秋葉原無差別殺傷事件を目の当たりにした目撃者だ。黒のスーツの上下に茶色のメガネをかけている。

裁判長「名前や年齢はカードに書いた通りでよろしいですか。宣誓書を朗読してください」

証人「良心に従って隠さず偽らないことを誓います…」

裁判長は、証人に名前を言わせなかった。宣誓後、証人が着席すると検察官の質問が始まる。加藤被告はノートを開いてボールペンを取り、何かをメモし始めた。

検察官「聞き取りにくい場合は質問する側が悪いので、遠慮なく聞き返してください。あなたは事件の目撃者ですね」

証人「はい」

検察官「奥様と小さなお子さんと暮らしていらっしゃいますね」

証人「はい」

検察官「この日は、後で秋葉原で(家族と)合流する予定で先にいらっしゃっていたんですよね」

証人「はい」

検察官「目撃したのは合流する前ですか」

証人「はい」

検察官「それでは目撃直前からお聞きします。何をしていましたか」

証人「(秋葉原にあるチェーン牛丼店)吉野家で昼食を食べていました」

検察官「食事後はどこに行きましたか」

証人「店を出て歩道を歩いてから、どういえばよいのか…」

牛丼店を出て、事件現場となった交差点に向かった証人だが、口でどこに行ったということを説明しづらいらしく言いよどんだ。すると検察官が「助け舟」を出した。

検察官「事件の現場に向かったんですか」

証人「はい」

検察官「中央通りと(神田)明神通りの交わる交差点ですが、通りの名前は知っていますか」

証人「(通りの名前を)聞けばわかります」

検察官「この日も中央通りは歩行者天国でしたか」

証人「はい」

検察官「現場の地図を指し示したいのですが」

法廷の大型モニターに事件現場の地図が映し出される。

検察官「吉野家の場所から確認します。この地図だと、中央通りの左側のビルのところにある『秋葉原中央通り店』で間違いないですか」

証人「はい」

検察官「この店を出て、地図でいうと、上に向かったんですか」

証人「はい」

検察官「歩道を歩いたんですか」

証人「はい」

検察官「明神通りを横断したんですね」

証人「はい」

加藤被告は、持参したノートに視線を落としたままだ。検察官は、6月8日午後0時33分ごろ、事件を目撃したときの状況について、質問していく。

検察官「目撃したときのことをお聞きします。明神通りを横断したときのことで覚えていることを教えてください」

証人「昼食をとった後、交差点に歩いていきました。中央通り側は赤信号だったので歩道で待っていました。そのとき、午後から家族と合流するために妻に携帯電話で連絡していましたが、青に変わったので歩き始めました」

検察官「明神通りの信号は赤だったんですよね」

証人「はい」

検察官「信号待ちをしていた車はいましたか。この地図だと左ですが」

左右のモニターに地図上の交差点を指し示す検察官の指が映し出される。

証人「左にいました」

検察官「さて、明神通りを横断中、何がありましたか」

証人「突然、轟音(ごうおん)とともに、どういえば…左手で携帯を持っていましたが、左から何か来るような雰囲気があり、『あっ』という、押し出されるような感じになり、こけそうになりました」

加藤被告のトラックが背後を通り過ぎた衝撃でよろめいた状況を、身ぶり手ぶりで説明する証人。

検察官「轟音ですか?。『ゴー』という音ですか?」

証人「ちょっと…。今は車とわかるんですが、結構大きな音という感じで…」

検察官「音の響きはどんな感じですか」

証人「『ゴー』に近い感じだと思います」

検察官「他に横断していた人の記憶はありますか」

証人「前方に3、4人黒っぽい服を着た若い人がいたので、右から(私が)抜かしていきました」

検察官「そのときに、体のバランスが崩れた感じですか。そのときの状況を見ましたか」

証人「見るというよりも、後ろを通過したもののせいで左肩が前に出る感じでよろめいたんです」

証人は立ち上がり、裁判長の方を向きながら左肩を前に出し、右向きに体をひねるような体勢を再現してみせた。

裁判長「今動作したのは首と右肩が、右後方を向いてひねるような感じですか」

証人「風に押されたみたいな感じで、前につんのめって顔と体が後ろをむいた感じです」

裁判長「自然と後ろを見た感じということですね」

証人「はい」

検察官「思わず右後方を見た地点はどこですか。地図に書いていただけますか」

証人「自分がよろめいた位置ですか」

検察官「そうですね、カタカナでマルワ(○の中にワ)と書いてください」

検察官は、大型モニターに地図を映し出している機器の前に、証人を誘導した。証人は、地図にワという文字書き込んだ。

⇒(9)「耳から血が出ていて、ほとんど呼吸がないような…」言葉に詰まる証人