(7)モニターに映し出されるナイフの売上伝票 うつむいていた被告も顔をあげ…
犯行直前まで、携帯電話を使って自分の行動をネット上の掲示板に書き込んでいた加藤智大(ともひろ)被告(27)。法廷では引き続き、加藤被告の書き込みを大型モニターに映し、検察官がそれを読み上げている。検察官は、事件当日の平成20年6月8日の書き込みをまとめて読み上げる。
検察官「8日午前5時44分には『途中で捕まるのが一番しょぼいパターンかな』、6時31分には『時間だ、出かけよう』、7時30分には『これはひどい雨、完璧(かんぺき)に準備したのに』などとあります」
「9時41分に『晴れればいいな』、48分に『神奈川入って休憩、今のところ順調かな』、10時53分には『ひどい渋滞、時間までに着くかしら』と書き込まれています」
モニターに映し出される加藤被告の書き込み。これまでにも、新聞やテレビなどでたびたび報道されてきた内容も多いが、加藤被告は一心不乱に相変わらずノートにメモを取り続けている。
検察官「午前11時7分は『渋谷ひどい』、45分に『秋葉原に着いた』、48分『今日は歩行者天国の日だよね』、そして12時10分に『時間です』とあります」
「時間です」。この言葉で、書き込みは終わった。この約20分後、加藤被告はトラックで交差点に突っ込んだ後、ダガーナイフで通行人を次々と刺し、多くの人々の命を奪った。検察官は、書き込みの読み上げをやめ、犯行前の捜査報告書の読み上げへと移った。加藤被告が福井市内で凶器とされるナイフを購入する経緯について、触れていく。
検察官「これは、福井市内のタクシー会社の顧客データです。加藤被告は6月6日、福井市内の駅から、ミリタリーショップへと向かいました」
法廷の大型モニターに、伝票のようなものが映し出される。
検察官「これはその店の、ナイフの売上伝票です。加藤被告はスローイングナイフなど、計6本を購入しています」
法廷の加藤被告は、ノートを取るのをやめ、モニターに視線を移した。長時間うつむいていたが、表情に大きな変化はない。
法廷はここで約20分の休廷に入った。再開後は、犯行現場の目撃者の証人尋問が行われるようだ。加藤被告は傍聴人の方を向いて一礼をすると、係官に付き添われてゆっくりと法廷を後にした。