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(3)テコンドー学んだリンゼイさん 母「力の限り自分を守ろうと」

英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第5回公判が再開。堀田真哉裁判長からリンゼイさんの父、ウィリアムさんに対する裁判所側の尋問がないことが告げられた。

続いて、リンゼイさんの母、ジュリアさんの検察側証人尋問が始まった。法廷中央の証言台に進んだジュリアさんだが、市橋被告と目を合わせない。市橋被告もうつむいたままだ。

検察官「リンゼイさんの実の母親ですか」

証人「そうです」

検察官「リンゼイさんは護身術などを学んでいましたか」

証人「13〜16歳の間、テコンドーを学んでいました」

検察官「護身術を使って事件でも抵抗したと思いますか」

証人「死にものぐるいで、力の限り、必死で自分を守ろうとしたと信じています。護身術は身に付いていたと思います」

裁判員らはジュリアさんの一言一言に注目し、メモを取っている。

検察官「リンゼイさんは大学卒業後、なぜ英会話講師を始めたのですか」

証人「リンゼイは大学を卒業した時点で18年間の教育を受けていました。その後、教職か医者かで(将来を)迷っていました。外国で無為な時間を過ごすのでなく、進路を決めるため海外に行きました」

検察官「なぜ日本を選んだのですか」

証人「小さなころから東洋にあこがれを持っていました。着物やヘアスタイルに興味を持ち、日本語の会話を学んだこともありました。そして、日本は安全と確認しました。英会話学校のイギリス支部で面接を受け、宿泊費や旅費を学校側に持ってもらう条件でオファーを受けたのです」

リンゼイさんは、市橋被告へのプライベートレッスン後、レッスン料を忘れたという市橋被告とともにマンションに向かい、被害に遭った。英会話学校での授業が控えていたリンゼイさんは、マンション4階に向かうエレベーターで、仕切りに腕時計を気にする様子が防犯ビデオに映っていた。

検察官「イギリスでは事件はどのように報道されましたか」

証人「実はリンゼイの死を真夜中に聞きました。月曜日の夜中から火曜日の朝方にかけてです。しかも、それまで音信不通で、2日間寝ていませんでした。事件は新聞など、ありとあらゆるところで報道されました」

検察官「イギリス人の日本に対する印象はどうなりましたか」

証人「残念なことに、この事件で、日本は世界で最も安全でない国になりました。海外で英語を教えようとしていた人が、日本から行き先を変えたと聞いたことがあります」

ジュリアさんは男性検察官の質問に対し、しばらく考え込んだ後、丁寧によどみなく答えている。頭の中で整理しているように見える。証言台の後ろの席に座った市橋被告はうつむいたままだ。

検察官「事件は家族に対し、どのような影響を与えましたか」

証人「みなさん、子供が死んだとき、親がどのような思いになるか分かりますか。想像を絶する悲しみがあります。子供が親より先に死ぬのは普通ではあり得ないことです。しかも、リンゼイは殺害されました。苦しみや悲しみは言葉を絶します。食べることもできません」

「残された2人の娘が目の届かないところに行くと、不安になります。なぜ日本に行かせてしまったのか。自宅にはベランダやバルコニーがありますが、足を踏み入れることはできません。エレベーターに乗っていて、誰かが乗ってくると震えます」

リンゼイさんの遺体は市橋被告のマンションのベランダに置かれた浴槽の中で土に埋められていた。ジュリアさんは、ベランダやエレベーターなど事件を連想させる場所に近づけないことを主張した。

証人「2人の娘は“親友”を失いました。影響は言葉では語れません」

検察官「2人の娘さんは公判傍聴のために日本には来ないということでしたが、なぜ家族みんなで来たのでしょうか」

証人「この目で自分の姉妹を奪った男を直視することが死の喪失感への対処につながると考えたからです。娘たちには判断力があります」

ジュリアさんは、長女が事件のショックでカウンセリングを受けていたことを明かした上、力強く語った。

⇒(4)手記の印税「1ペニーも受け取らない」 痛烈批判に被告の震え止まらず