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(9)「誕生日は離婚の目標日」

約90分の昼の休廷を挟み、午後1時27分、予定より3分早く公判が再開される。落ち着いた表情だが、うつむき加減の歌織被告。中央の証言台に移動すると、弁護側の質問が始まった。

弁護人「平成18年の話をする。祐輔さんはあなたの交友関係について何か言っていたか」

歌織被告「一緒に会っていた知人に連絡を…無理やり電話させられ、(本当に会っていたかを)確認させられたりとか。いつもそういうことが続き、電話をしようとすると、『相手に話を合わせてもらっているんだろう』と怒りだしたり…」

歌織被告が『言いたかったこと』なのか、やや早口の独白はさらに続く。言葉を選ぶような感じで、声は小さめだがはっきりしている。

歌織被告「あと、私の親とのつき合いだが、平成17年末のホテルでのこと(離婚をめぐって夫婦と歌織被告の両親が話し合った)があってから、私と親が連絡を取ることを禁じていて、(電話に)着信拒否が設定されていた。『家庭を壊すやつは何倍にもして壊してやる』などと、連絡をすることを禁じていた」

弁護人「もし連絡を取っていることがばれたら」

歌織被告「気をつけてはいたが、それでも気づくと、仕事中でもタクシーに乗って帰ってきた」

弁護人「両親が上京してきたことは」

歌織被告「18年になり、私のことを心配して突然訪ねてきた。彼は、自宅マンションのモニターで話した父と、今にもつかみ合いが始まりそうな勢いでののしり合いになった。その後は彼の興奮状態が私の方に向かって暴力をふるわれた」

弁護人「祐輔さんはなぜ両親と連絡取るのを禁じたのか」

歌織被告「彼はよく『自分の知らないところで、家をコソコソ出ていこうとしてるのか』と言っていた。内緒で離婚や、家を出ようとしていると思っていたので、気にしていたのだと思う」

18年11月下旬にも、歌織被告の両親は祖母とともに新潟から再び上京してきたという。事件があった12月12日の半月ほど前のことだ。

弁護人「そのときは」

歌織被告「2人とも留守でいなかった。帰宅するとモニターに両親と祖母が録画されており、見た彼が『こそこそ連絡を取っていた。どうしてノコノコ親が来ているのか』とすごく怒った」

弁護人「祐輔さんの同僚に電話したことがあるか」

歌織被告「同僚の○○さん(男性の実名)」

弁護人「時期は」

歌織被告「18年5月ごろ」

弁護人「なぜ電話したのか」

歌織被告「そのころ、酒に酔って帰宅してからの暴力が増えた。内緒で離婚カウンセラーと連絡を取ったので、彼の束縛や監視が厳しくなっていた」

弁護人「反応は」

歌織被告「『彼が酒を飲んで変わるのは知っていたが、まさか暴力とは思っていなかった』と驚いていた」

泥沼の平成18年だが、歌織被告は誕生日である7月29日にある思いを抱いていたという。

弁護人「この日について何か覚えているか」

歌織被告「私の誕生日を1つの目標のようにして、離婚するために仕事を探すなどいろいろしていた。その日までに別れたいと考えていた。彼にはじめは本当のことを言わず、自宅近くの店に連れ出し、離婚の話を切り出した」

弁護人「反応は」

歌織被告「しばらくたってから、彼も『分かった』と応じるようなことを言った」

弁護人「その後は」

歌織被告「マンションに戻り、私が荷物をまとめていると、彼は『だまって見ていられない』と置き手紙のようなものを置いて出ていった」

弁護人「それで」

歌織被告「荷造りを進めていると、彼が突然帰ってきて、私がまとめていた荷物をばらまいてめちゃめちゃにした」

弁護人「何と言っていたのか」

歌織被告「『まだ分からないのか。結局こうやって逃げようとしたって無駄なんだよ』とそのときも言っていた」

そのときのことを思い出したのか、少し興奮したような涙声になった。

弁護人「18年11月5日、母を自宅に呼んでいる。なぜか」

歌織被告「彼の消費者金融の借金返済が9月ぐらいから始まったが、暴力が増えだし、『どうしても別れてほしい』と言うと暴力をふるわれる悪循環になっていた。1人でどうすることもできないと思って『離婚話に立ち会ってほしい』と頼んだ」

弁護人「マンションでの3人の話し合いの内容は」

歌織被告「最初、私のほうから『この言葉を言ったら離婚を認めてくれる』という言葉をあえて出したが、彼は応じてくれなかった。母が様子をみかねて『どうしてここまで言われているのに離婚に応じないのか。あなただって将来のある人。いいかげん別れなさい』とかなり強く説得していた」

『離婚を認めてくれる』という言葉が何なのかは明かされなかった。

弁護人「その場はどうなったのか」

歌織被告「それでも離婚に応じず、結局母が途中で怒り出して家から飛び出した」

⇒(10)お互いを「ダディ」「マミィ」と呼び合った