(7)「最初の処分は下半身」検察側と食い違い
引き続き検察側による質問が続く。殺害状況について淡々と語る歌織被告だが時折、言葉が詰まる。
検察官「ノコギリで切断したのは(平成18年12月)14日か」
歌織被告「はい」
検察官「ノコギリを買ったのは14日の昼ごろか」
歌織被告「はい」
検察官「その後、切断した。どれくらいの時間をかけてか」
歌織被告「切断する作業は、感覚では2時間から3時間くらいの間だと思う」
検察官「切断後はクローゼットの中に入れたか」
歌織被告、女性検察官を真っすぐ見る。
歌織被告「はい」
検察官「遺体の切断の順番は」
歌織被告「最初は頭部。その後、左手を切って、その後、右手を切って、その後は体の部分を切った」
検察官「その後どうしたか」
歌織被告「上半身と下半身の部分を袋に入れた」
検察官「ゴミ袋か」
歌織被告「そうです」
検察官「処分の順番は」
記憶を思い出すかのように、長い沈黙に陥った。
歌織被告「一番最初は下半身を処分した」
検察官「上半身はいつか」
歌織被告「14日の夜」
検察官「処分の場所である新宿にはどう運んだか」
歌織被告「キャリーケースに上半身を入れて自宅前からタクシーに乗り、新宿で下りて、上半身を植え込みに捨てた」
検察官「キャリーケースはそのために買ったものか」
歌織被告「はい」
検察官「下半身の処分はいつか。(下半身が見つかった場所辺りを回る)ガスメーターの検針員は、15日の段階では問題はなかったと言っている。(14日に捨てたというのは)あなたの記憶違いではないのか」
歌織被告「私が彼を切断した後、まず最初に運び出したのは下半身。その後、上半身をキャリーケースに入れて運んだ」
検察側の冒頭陳述によると、歌織被告は祐輔さんの下半身を自宅近くの民家の敷地内に捨てた−と指摘している。しかし、下半身を捨てたのは、上半身を新宿に捨てた後の『12月16日ごろ』としており、歌織被告の供述とは齟齬(そご)が生じている。
検察官「下半身を処分した時間は」
歌織被告「夕方、彼の会社の人が3人来た。その後、1時間もしないくらいで私は下半身を台車に乗せて運び出した」
検察官「下半身を放置した場所は下半身が見つかった場所か」
歌織被告「はい」
検察官「どのように運んだのか」
歌織被告「袋に入れて、台車に乗せて、歩いて捨てた場所まで行った」
検察官「下半身はゴミ袋から出して捨てたのか」
歌織被告「はい」
検察官「どうして」
被告はそのときの状況を途切れ途切れに語り始める。
歌織被告「中に…彼…私の取り調べでも言わなかったが、私の写真が中に入っているのではないかと思い、袋の中を探さなければならないと思い、袋を破った」
検察官「台車はどうした」
歌織被告「近くのゴミ捨て場に捨てた」
検察官「頭部の処分はいつか」
検察側の冒頭陳述によると、歌織被告は祐輔さんの頭部を東京都町田市内の公園内の雑木林にシャベルで穴を掘り、埋めた−としている。
歌織被告「捨てたのは16日」
検察官「その際に買ったものは」
歌織被告「近くの店でシャベルを買った」
検察官「それは(遺体を埋める)穴を掘るためか」
歌織被告「そう」
検察官「シャベルは16日に買ったようだが、遺体を埋めたのも16日か」
歌織被告「だと思う」
検察官「頭部を埋めた時間は」
被告は少し考える。
歌織被告「…真っ暗だったことは覚えている。夕方だと思う」
検察官「処分はどのようにしたか」
歌織被告「(頭部を捨てた)公園までは自宅近くの小田急線に乗って行った」
検察官「頭部はどういう状況で運んだか」
歌織被告「袋に入れて、その袋を大きいバックに入れて持って行った」
検察官「左腕と右手首はどう処分したか」
歌織被告「日にちは分からないが、袋に入れ、自宅近くのゴミ捨て場に一緒に捨てた」
検察官「一緒に捨てたのか」
歌織被告「捨てたときは別々だった」
検察官「捨てた場所は自宅マンションのゴミ捨て場ではないのか」
歌織被告「はい」
検察官「いつごろか」
髪をかき分けながら供述する被告。
歌織被告「腕は頭を捨てた以降。あとは部屋のリフォーム後」
検察官「どうして自宅マンションのゴミ捨て場に捨てなかったのか」
歌織被告「マンションの管理人がゴミ袋の中を確かめて仕分けする。だから出せなかった」
11時43分、午前中の質問は終了した。休憩をはさみ、午後1時半から再開する予定だ。