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第34回公判(2012.3.12) 【論告求刑】

 

(5)「50キロ離れた店に練炭買いに行かない」「リフォーム楽しみ…」矛盾つく検察官

木嶋被告

 首都圏の連続殺人事件で練炭自殺に見せかけ男性3人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)に対する裁判員裁判(大熊一之裁判長)は、約1時間の休憩をはさみ、検察側の論告が再開された。

 午後は、3つの殺人事件のうち、最後となる千葉県野田市の無職、安藤建三さん=当時(80)=殺害事件などについて、検察官が意見を述べていく。

 起訴状によると、木嶋被告は平成21年5月、安藤さんに睡眠導入剤を飲ませて眠らせた上で、コンロを使って練炭に火をつけて殺害したとされる。

裁判長「午後の審理を再開します」

 木嶋被告は弁護側の席につき、机の上のメモに目を落としている。

検察官「千葉の事件について説明していきます。まず争点は何か。それは、安藤さんが死亡したのが事故なのか、他殺なのか。この点は何者かに殺害されたというのは間違いないと、われわれは確信しています」

「争点の2番目ですが、他殺とされれば、被告人が犯人かどうかです。これについても、われわれの結論は被告人が犯人で間違いないということです」

 こう検察官は述べた後、1つ目の争点とした事故なのか、他殺なのかを論じていく。

検察官「平成21年5月15日、安藤さん事件は発生しました。息子さんと暮らしていた自宅は全焼しました。死因は一酸化炭素中毒と気道熱傷の複合死と判断されました」

「次の2点が明らかになりました。1つ目は、火災発生前から置かれていた練炭が燃焼していたことが分かりました」

「次に、通常使用される10倍以上の睡眠薬が安藤さんの遺体から検出されました」

 検察官は一気に結論付ける。

検察官「この2点からすると、火災により死亡したとは考えられません」

「確かに、安藤さんはご高齢でしたが、生前、睡眠薬を服用していたことはありませんでした」

「また当日は楽しみにしていたリフォーム、畳替えの初日でした。さらにコンロや練炭をご自身で購入したのではなく、自殺した可能性もありません。結論として、何者かに殺害されたといえます」

 木嶋被告が犯人かどうかも簡単に説明する。

検察官「3つの点から説明してきます。1つ目は死亡直前に会っている。最後にあったのは被告人であると考えられます」

「2つ目は、被告人が準備した練炭やコンロを持ち込んだことです。4月に練炭やコンロを購入しています。練炭の個数は特定されませんでしたが、メーカーは一致します」

「3つ目は、安藤さんの殺害に使用された睡眠薬を被告人が用意したことです」

 検察官は、その他の点についても言及する。

検察官「被告人には5月15日に殺害する必要があったことや、証拠隠滅工作もしていたことが挙げられます。すべてを考慮すれば被告人が安藤さんを殺害した犯人であることは明らかです」

 検察官は簡単に立証のポイントを述べた後、細部の立証を進める。

 まず、安藤さんの死因について考察した。

 安藤さんは司法解剖の結果、血液の一酸化炭素飽和度は54%と高い値だったという。一方、火災のケースでは、のどに付着するはずの炭粉がほとんどついていなかった。

検察官「火災の煙をほとんど吸引していなかったということで、別の原因で発生した一酸化炭素を火災の発生前に吸い込んでいた」

 また、練炭は分析の結果、2時間〜3時間燃焼を続けていたという。こうした事実を挙げ、火災前から練炭が燃やされていたことを印象づけていく。

 検察官はコンロの入手方法にも言及した。弁護側は安藤さんが車などで遠くに買いに行った可能性を指摘する。

検察官「同じメーカーのものを購入できるのは最も近くて50キロ離れている。他の練炭は近くでも売られており、このことからも弁護人の主張は明らかに不合理で、必要があれば、近くで購入すればよいはずだ」

 状況証拠を重ねていく検察官。木嶋被告は時折、目を泳がせながら、論告に耳を傾けている。

⇒(6)「『被害者と男女関係なかった』は不合理」 最後は金を根こそぎ…