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(4)「体格や足の長さにもコンプレックス」 顔写真のメールに返信なく

女性検察官が、加藤智大(ともひろ)被告(27)の供述調書の読み上げを続けている。

加藤被告は両親との関係がよくなかったことなどから、早く彼女を見つけたいとの思いが強くなっていったという。

検察官「女友達はおらず、結婚相手をネット上で探したものの、見つかりませんでした。被告はますますひとりぼっちだと疎外感を強めていきました」

加藤被告は弁護人の前の席にやや前かがみに座り、表情を変えずに聞き入っている。加藤被告は悩みをインターネットの掲示板に書き込んだが、真剣に取りあってくれる人はいなかった。

検察官「彼女ができず、一人で寂しいという思いを正直に掲示板に書きました。しかし、真剣に考え助けようとする人はいませんでした。私の存在が無視されていると感じ、不満でした」

続いて女性検察官は、加藤被告が不満を暴力的な行為で表現していたことを示す調書を読み上げていった。

検察官「短大のころ友人とトラブルになり、仕返しのために夜、寮に迷彩服を着てエアガンを持って侵入し、襲おうと思ったことがあります。仙台にいたころは、残業代をきちんと払ってもらえず、上ともめたことがあり、事務所にガソリンをまいて火をつけようと考えたことがあります。似た事件を報道で見たことがあり思いつきましたが、これも実行には移しませんでした」

続いての調書では、加藤被告が掲示板を利用する経緯が述べられた。加藤被告は仕事をやめ借金もあり、どう生きていくか不安だったという。

検察官「『生きていても仕方がない』と考える一方で、『死にたくない』という気持ちがありました。『死のうと思う』と友人や母親にメールをしたところ、みんな止めてくれたので自殺するのをやめました。特に出会い系で知り合った女の子が自殺を止めてくれたのがうしれかったです。この人なら私を大事にしてくれるのではと思い、会うことにしました」

加藤被告はこの女性に免許証の顔写真をメールしたが、返信はなかった。自分が“ブサイク”だからだとコンプレックスを抱くようになる。

検察官「自分の身長や体格、足の長さにもコンプレックスがありました。女性と話すのも苦手で、前々からコンプレックスに感じていました。性格はひねくれていると思っていましたし、本心を話せる友人もいませんでした」

加藤被告は早く恋人を見つけて結婚し、幸せな家庭を作りたいと強く思うようになっていった。出会い系サイトで知り合った女性の家を訪ね、泊まることもあった。

検察官「平成19年にはインターネットで知り合った群馬の女性の家に泊まりました。夜、寝ている女性に性器を押しつけ、腰を振ってしまいました。女性には『ちゃんと寝るよ』と言われ、それ以上は何もできませんでした。『寂しかったんだね』と言われ、最低なことをしたと思いました」

加藤被告は中央線に飛び込んで自殺しようかと考えるが、出会い系で知り合った女性からメールで「生きて」と言われ、がんばる理由になったという。

続いて女性検察官は、静岡県の関東自動車工業に派遣されていた当時の供述を読み上げ始めた。

検察官「この工場での仕事は時間の割に収入がよく、工場の仲間とも仲が良かったです。一緒に秋葉原の歩行者天国に行ったこともあります」

加藤被告は平成20年に入り、ネットで知り合った兵庫の女性と連絡をとるが、すでに女性には彼氏ができていた。女性の存在が『がんばる理由』になっていた加藤被告はショックを受ける。しかし女性がネットの掲示板で彼氏への不満を書き込んでいるのを見つけ、加藤被告は本当の気持ちをメールで伝えた。

ここで、裁判官や弁護人の手元のモニターに、告白メールとみられる資料が映されたようだ。傍聴席からは見ることができない。裁判官らはじっとモニターを見ている。

検察官「女性からは『気持ちありがとう』という返事がありました。しかし、女性が彼氏との幸せそうな様子を掲示板に書き込んでいるのを見つけ、幸せ自慢をしているのか、俺へのあてつけかと思いました」

女性検察官は淡々と読み上げを続ける。加藤被告は全く姿勢を変えることなく、聞き入っている。

検察官「静岡県の自動車工場で派遣社員として働いていたころの同僚とはカート遊びや焼き肉に行き、大事な友人でした。ゴールデンウイークに一緒に車で青森に行ったこともあります」

「この友人には、女を紹介しろと言ったことがあり、『どうしたんですか』と言われました。いつまでもフラフラしていられないというようなことを言いましたが、この友人に、本気で結婚相手を探そうとしていると思われるのが恥ずかしかったです。早く女性とつきあって幸せな家庭を持ちたいと思いましたが、希望通りにいかず不満でした」

加藤被告は20年5月末、工場から派遣終了を通告された。法廷内のモニターには、派遣終了を通知する書類が映し出された。

検察官「工場はいい職場でした。本当は残りたかったので、どうしようという気持ちになり、ショックでした。クビになると聞いてから、仕事では手抜きをしました。しかし6月になり『残留だってさ』と軽い調子で伝えられ、『へ?』という感じでした。自分がパーツ扱いされているようで、腹立たしく思いました」

加藤被告は、掲示板に本心を書けば、アドバイスをもらえたり、大事に思ってくれる女性と出会い、結婚できるかもしれないと期待を持っていたという。

検察官「本心や悩みを書いても、まともに心配してくれる人はいませんでした。そして6月5日、派遣先の工場でつなぎがなくなるという『事件』が起きたのです」

男性検察官が午前中はここまでにしたいと求め、村山浩昭裁判長は休廷を告げた。加藤被告は傍聴席に一礼し、退廷。午後は1時半から、引き続き検察側の供述調書が読み上げられる。

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