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(8)被害者が写っている…モニター暗転、5分沈黙

法廷では加藤智大被告(27)に背中を刺され、全治2カ月間の重傷を負ったKさんが倒れていた現場について、検察官が写真を交えながら説明している。

検察官「Kさんが倒れていた場所を東から西に向けて撮影した写真を示します」

続けて同じ場所を逆方向から撮影した写真も大型モニターに映し出される。Kさんが倒れていた路地の中央部分には画像処理で赤い丸印が付けられている。

検察官「倒れていた場所を近くから撮影した写真を示します」

道路には被害者の生々しい血痕が付いており、事件当時の凄惨(せいさん)な様子が思い起こされる。

検察官「続いてトラックの検証調書を示します」

検察官は加藤被告が事件で使ったトラックの製造元、車種、ナンバーなどを説明。そして写真による車体の損傷状況の説明に移った。助手席側のフロントガラスはクモの巣状に割れ、ウインカーも外れて車体から垂れ下がっているなど、事件時の衝撃の強さを物語っている。

検察官「トラックの内部の写真を示します。補助席にはリュックサックが置いてありました」

続けて加藤被告のリュックサックの中に入っていた緑色のポリ袋と携帯電話を、机の上に並べて撮影した写真が映し出される。さらにポリ袋の中身の写真も示された。

検察官「緑色のポリ袋には特殊警棒、ナイフ、ユーティリティーナイフが入っていました。ナイフはいずれもケースに収納されていました」

「これから示す写真については、写真内容をこちらが説明した部分を弁護側が不同意としたため、写真のみとします。写真は52枚で6秒間隔で示します。なお、被害者の写真も含まれているため、大型モニターには映しません」

傍聴席から見える大型モニターの電源が落とされた。裁判官、検察官、弁護人のそれぞれの席に設置された小型モニターには写真が映し出されているようだ。法廷は5分余り、水を打ったような静けさに包まれた。加藤被告は後ろに座っている弁護人と一度何かのやり取りをした以外、ほとんど身動きしない。

約5分後、検察官が「以上です」と告げると、村山浩昭裁判長は「本日分の要旨の告知はここまでです」と述べた。加藤被告に次回の公判期日などを告げると、加藤被告は消え入りそうな小さな声で「はい」と答え、村山裁判長は閉廷を告げた。

次回の公判期日は2月1日午後1時半から、この日の初公判と同じ東京地裁104号法廷で開かれる。書証の証拠調べや目撃者の証人尋問が行われる予定だ。

⇒検察側冒頭要旨(上)