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(4)「背中を刺された。苦しい」事件直後に電話するも…

検察官による加藤智大被告(27)の襲撃状況の説明が続く。加藤被告は、現場見取り図が描かれたボードを用いて立ったまま説明する検察官を、じっと見つめている。

検察官「中村勝彦さん=当時(74)=はこの日(犯行日の6月8日)の午前11時ごろ、秋葉原に遊びに来ていて食事を終え、現場の横断歩道で信号待ちをしていました。信号が青に変わると北から南に向かって横断しました。その時、加藤被告が時速40数キロの速度で信号を無視してトラックで交差点に侵入させ、中村さんと川口隆裕さん=当時(19)=らは避けられず、はねられました」

検察官の後方のボードに張り付けられた被害者に見立てた印を、それぞれはねとばされた位置に移動させながら、検察官は説明を続ける。

検察官「(一緒にいた)中村さんの長男が中村さんの救護に当たりましたが、搬送先の病院で肝破裂などにより午後1時44分ごろ死亡しました。中村さんはその年の3月に歯科医師を引退し、余生を楽しもうとしていた矢先でした」

「現場の周囲にいた通行人もはねられた各人の救護に当たりましたが、Aさんは午後2時9分ごろ、脳挫傷などで、川口さんは午後2時15分ごろ搬送先の病院で亡くなりました。Aさんと川口さんは大学生でした。さらにこのほか(Aさんの友人)2人がけがをし、親友を失った悲しみからいまだ抜け出せないでいます」

加藤被告は無表情のまま、時折まばたきするだけで、まっすぐ検察官を見ている。

続いて検察官は加藤被告がトラックから降りてナイフで周囲の人々を襲撃した際の描写に移る。

検察官「Dさんはネットカフェで仮眠後、店を出てソフマップ前で加藤被告がトラックで人をはねた音を聞き、交差点を見ました。そしてトラックから降りてきた加藤被告に背後から刺されました。一命は取り留めたものの全治半年の傷害を負い、いまだ事件のショックから抜け出せずにいます」

「Eさんは携帯電話で110番通報した後、交差点に向かいマクドナルド前に行ったところ、そこへ加藤被告が来ました。Eさんは後ずさりしましたが、前から刺されました。搬送先の病院で午後3時40分ごろ失血死しました」

続いて、検察官は被害者の助けを求める悲痛な最期の声を紹介する。

検察官「Fさんはこの日、秋葉原に遊びに来ていて、交差点を渡っていました。加藤被告から逃げようとしましたが背後から刺されました。Fさんは119番し『刺された、背中を刺された。苦しい』と話しました。しかし午後2時26分、病院で失血死しました」

被害者の悲惨な状況を聞いても、加藤被告はひざの上で、両手の指を絡めたまま、微動だにしない。

検察官「次に、△△さん(タクシー運転手、法廷では実名)、Gさん、Hさん、○○さん(警察官、法廷では実名)の被害状況について述べます。タクシー運転手の△△さんは秋葉原で客を降ろした後、現場交差点で信号待ちをしている最中に犯行を目撃しました。トラックにはねられて倒れたAさんを救護したが反応がなく、その直後、前から来た加藤被告にナイフで刺されました。一命は取り留めましたが、全治半年で現在はその影響で、仕事を辞めざるを得ませんでした」

立ったまま図面を用いて淡々と説明を続ける検察官。その声に抑揚はない。

検察官「○○さんは(近くの)交番に勤務する警察官で、同僚と交通取り締まりに当たっていました。事故の音を聞き現場に行き、背後を振り返った瞬間、加藤被告にナイフで刺されました。○○さんは追いかけようとしてそのまま倒れました。一時、心肺停止したが一命は取り留めました。全治3カ月の重傷を負い、現在は事件のことを含めて多くの記憶を失っています」

「Gさんは午前10時ごろソフマップで友人と会い、その後、テニスに行くため店を出て交差点で事故の音を聞きました。そして川口さんたちを救護するため近づきました。Gさんは119番したが繋がらなかったようです。加藤被告が○○さんを刺したのを見た直後、前から腹部を刺されました。一命は取り留めましたが、全治3カ月の重傷を負いました」

被害者の襲撃状況の説明が続く。加藤被告は体を動かすことのないまま、廷内のモニターや検察官の指し示す図面を目で追っている。

⇒(5)「失礼しました」被害者多く順番を間違える検察官