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(7)右目のあざ「かなり強い力で暴行」 裁判員ら積極的に質問

英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第2回公判。リンゼイさんを解剖した女性医師に対する検察側、弁護側双方の証人尋問に続いて堀田真哉裁判長や裁判員の質問が始まった。

裁判長「裁判所から尋ねます。何か質問はありますか」

堀田裁判長は6人の裁判員に顔を向けて尋ねた。裁判員らは向かって左から1〜6の番号が記されたカードを首から下げている。3番の男性裁判員が手を挙げた。

裁判員「非常に分かりやすかったです。2点教えていただきたい。1点目は全身の状況についてですが、顔面の写真は痛々しかった。特に右目の回りに傷、あざがあったが、どれくらい暴行すればあの程度の傷になるのか」

証人「右目の皮下出血は下の筋まで挫滅していました。かなり強い力が加わったと思います。ただ、同じところを何回も殴ると、同じ部位に皮下出血ができるため、強い打撲ではありましたが、回数は不明です」

リンゼイさんの痛ましい姿を思いだしたのか、リンゼイさんの母、ジュリアさんは表情をゆがめた。

裁判員「2点目です。出血は口の中であったということですが、外部に血が付くようなけがはあったのでしょうか」

証人「口の中は粘膜内で出血していました。血が出る、というのは開放性損傷ということになる。(開放性損傷は)はっきりしたものはありませんでした」

4日の初公判で、検察側は市橋被告の自宅マンション玄関にあった黒い運動靴や室内などに、リンゼイさんのDNA型と一致する血液が付着していたことを明らかにしている。堀田裁判長が念を押して確認する。

裁判長「口の中の出血は血が(外部に)付くものではない?」

証人「粘膜下なので、外に出るものではないです」

裁判長「口の中を含め、血が出る傷はなかった?」

証人「なかったということです」

続いて5番の男性裁判員が質問した。

裁判員「死因が窒息死ということでした。輪状軟骨に正面から圧迫が加わったということですが、骨折の程度で、どれくらいの強さで押されたかの判断は可能でしょうか」

証人「どれくらいというのは難しいです。軟骨なので、骨よりは強くないです」

裁判員「とりわけ強かった、弱かったというのは?」

証人「私は解剖で直接軟骨を触ったが、人体の軟骨の中で、輪状軟骨は強くないです。親指で思い切り押せばへこむくらいです」

裁判員「明日、ご遺族の証言で分かるかもしれないですが、昨日、弁護側の冒頭陳述で、リンゼイさんが病気を患っていたということがありました。病気の兆候はあったのでしょうか」

弁護側は初公判の冒頭陳述で、「19年3月25日深夜、結束バンドで拘束されたリンゼイさんが市橋被告に対し、『持病がある。薬を飲まないといけない』と伝えた」としている。市橋被告はパソコンで病気と薬の名前を検索したという。

証人「特に情報はありませんでした。一通り、臓器の組織について病理検査をしましたが、(組織の)形が変わるようなものはなかったです。ただ、(臓器機能の)働きが変わるものまでは分かりません」

続いて6番の男性裁判員が皮下出血の発生状況について尋ねた。

裁判員「皮下出血は生前、打撃や圧迫ということだった。皮下出血は呼吸停止後にも起こりうるのでしょうか」

証人「心停止後に圧迫しても、皮下出血はほとんど起きません。心臓が動くことで血管内で血液が流れますが、心臓が止まっていれば毛細血管が破れても血液は流れ出さない。水を流したホースと同じ。蛇口を止めればホースを切っても、ホースの中にある水しか流れ出ません」

裁判員らはペンを持って、しきりにメモを取っている。1番の男性裁判員が質問した。

裁判員「説明では、頚部(けいぶ)圧迫で気道がふさがれたということでした。圧迫には15キロ必要ということでしたが、具体的にはどの程度になるのでしょうか」

女性医師は午前の検察側証人尋問で、圧迫の強さについて、「教科書には強くても15キロぐらいで気道がふさがる、とある。おそらくそれ以上でしょう」と答えている。

証人「いろいろな例えがあります。男性の握力は30キロくらい。その半分と考えてもらえれば」

裁判員「ということは、一般であれば容易に可能ということ?」

証人「相手が動かなければ。普通、抵抗があるのでその分をプラスした力ということになります」

裁判員「窒息の過程で、ステージが2期の人体の反応は?」

1番の男性裁判員は、検察側の証人尋問でモニターに映し出された「窒息の経過と症状」について質問した。2期は窒息後1〜3分の状態をいう。

証人「よく聞くのがけいれん。筋肉がまともに働かず収縮する。これに伴い、失禁などが起きる」

裁判員「弁護側は(リンゼイさんが)うつぶせの状態だったとしているが、その場合は?」

証人「首を引っ張る力に(リンゼイさんの)重さが加わる。気道がつぶれてもおかしくないくらいです」

裁判員「最後の質問です。窒息した場合、気道が確保されても声は出せないでしょうか」

証人「気道が完全に締まると無理です。気道の確保が不完全でも、空気を吸い込まないと声は出せません。空気の流れがあるくらいなら、窒息はしません」

⇒(8)「それは痛いですか」 縛られた手の組織が壊死する状況に思いをはせる裁判員