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(8)2人で面接、所見は共有 検察官は「共同鑑定」と指摘

弁護側は、詐病の可能性がないことについても見解を求め、『心神喪失』の信憑(しんぴょう)性を高めるための外堀を埋めていった。木村鑑定人は詐病の可能性についてこう結論づけた。

木村鑑定人「(眠れない、誰かに追われているという)過覚醒(かくせい)から主張するというのは、『ふりをする』にしてはかなり知っていないとできない。勉強していたというのは無理がある。『本当に何か(フラッシュバックで)見えなかったか』と繰り返し聞いたが、一切出てきていない。フラッシュバックでやっと出てきたのがクリスマスツリー。(鑑定人を)信用させるならかなりの能力がないとできないが、そこまでできているとは思えない」

質問はここで検察側に交代する。到底受け入れられない鑑定結果に、どう反論するのだろうか。

検察官「2人で一緒に拘置所で面接したことは何回あった?」

金鑑定人「多分3回だと思う」

検察官「共同で聞いたいきさつは?」

金鑑定人「まず私が電話し、『医学的な問題なので所見は共有しよう』と面接の記録を送付し、『場合によっては一緒に見よう』と」

検察官「個別に面接の結果も送っている?」

金鑑定人「やり取りしている」

検察官「検査は別々にやった?」

金鑑定人「スライドで見せた検査はすべて私がやった。知能テストやロールシャッハテスト(心理テスト)は木村さんがやった」

検察官「知能テストなどは問題はなかった?」

木村鑑定人「IQは正常の範囲。バランスの悪さはあるが、犯行と関係ないと判断した」

検察官「所見は共通と言ったが、意見交換や調整はした?」

金鑑定人「打ち合わせをした」

検察官「犯行に至る経緯と、犯行の前後とに役割を分けたのは?」

金鑑定人「木村さんから提案があった。お若いので、遠慮して(私に)犯行時のほうをやらせていただいたのかと…」

検察官「共同鑑定という位置づけでいいのか?」

金鑑定人「何を意味するか分からないが、見解をやり取りしたことは間違いない」

木村鑑定人「私としてはそういう(共同鑑定)つもりでやっている」

検察側は「心神喪失」の判断が2人別個のものではなく、あくまで共同鑑定による判断であることを指摘したいようだ。

検察官「金先生に聞く。責任能力については一般的に、是非や善悪を判断する能力と、行動を制御する能力に分けられる。歌織被告にはどの能力がなかったのか?」

金鑑定人「殺害時には判断能力を発揮する余裕がなかった。強い興奮で制御能力もほぼなかった。その後は、自分が何かをしようとしたときに抑制する能力がほぼなかった」

検察官「そうすると、殺害時には是非や善悪を判断する能力、行動を制御する能力はなかったのか?」

金鑑定人「私はなかったと思う」

検察官「死体損壊、遺棄の際に行動を制御する能力はあったのか?」

金鑑定人「行動制御能力については踏みとどまって考える力がなかった」

検察官「木村先生にも同じことを聞く」

木村鑑定人「殺害時には行動制御能力はなかったと考える。何らかの判断をしたとしても、どんな結果になるかと考えたり、それに基づいて行動することが難しかった。判断能力についてはかなり追い込まれている状況だったので、合理的判断ができたかは疑問だ。死体損壊、遺棄については、現実感がなく、夢を見ているような状況でやっている。抑制して再検討するという行動責任能力について欠如していると思う。判断能力についても合理的な判断はしていないと思う」

検察官の尋問が終わらないため、この日は正午から5分回った時点でいったん終了。引き続き24日午前10時から鑑定人尋問が行われることになった。裁判長は「今回の鑑定人尋問で、再び歌織被告に尋ねたいことが出てきた」と述べ、12日午前10時から急遽(きゅうきょ)、被告人質問が行われることになった。

⇒第10回公判